安倍暴走政権による「学校支配」を許すな(第 2 回)

2015 年
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3 月 21 日(土) № 4
京都市立高等学校教職員組合
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安倍暴走政権による「学校支配」を許すな(第 2 回)
安倍政権による「教育再生」の全体像は、自民党の教育再生実行本部が 2012 年 11 月にまとめた
「中間とりまとめ」に示されています。
自民党教育再生実行本部がめざす「教育再生」
自民党教育再生実行本部は、安倍自民党総裁の直属機関として設置されたもので、本部長は下村博文
氏(現文科大臣)です。下村氏は現在国会で「政治とカネ」の問題で追及されていますが、以前から、
前回紹介した「教育再生実行会議」(内閣の諮問機関)の有識者委員である佐々木委員(成基コミュニ
ティ代表)との関係が指摘されていました。
下村大臣は佐々木氏を“同志”と公言し、「成基グループ」の 50 周年記念式典においては、600 人の
参加者を前に下村氏が「(成基は)目標とする塾であります」と絶賛しました。平成 23 年度の下村氏の
政治資金収支報告書を見ると、成基コミュニティグループの名前で 12 万円の献金の記載があります。
要するに“スポンサー”を公の会議に押し込んだという指摘です。
教育再生実行本部は、5 つの分科会
自由法曹団による批判
「基本政策分科会(座長:遠藤利明)
」
「(中間とりまとめの内容は)学校現場に上意
「いじめ問題対策分科会(座長:馳浩)
」
下達の管理強化・中央集権体制を確立し、国家
「教科書検定・採択改革分科会(座長:松野博一)
」
による復古的な教育の押し付けを可能にさせ
「大学教育の強化分科会(座長:山谷えり子)
」
るとともに、教育の複線化によって試験成績の
「教育委員会制度改革分科会(座長:義家弘介)」
良くない子どもたちへの教育を切り下げるも
を設け、それぞれ意見の取りまとめを行いました。
のである」
以下、「教員の管理・統制強化」「教育行政の中央集
権化」
「教育内容の国家統制」
「体系の複線化・新自由主義化」等の観点から、内容を見ていきましょう。
1、教員の管理・統制強化
●「教師インターンシップ制度の導入」(基本政策分科会)…大学、大学院卒業後、准免許を付与し、
インターンシップ(1~2 年)を経て、採用側と本人自らが適性を判断する。インターンシップ終
了後、認定の上、本免許を付与して正式採用する。
●「教員免許法の改正」
(教育委員会制度分科会)…大学の教職課程修了により授与される免許状を「准
免許状」とする。採用後、一定の実務経験を積み、試験に合格した者に、免許管理者である教育長
は「普通免許状」を授与する。
●「管理職養成コース」(教育委員会制度分科会)…教師大学院に「管理職養成コース」を設置する。
インターンシップにおける指導は「管理職養成コース」修了者等が実施する。
●「教育公務員特例法の改正」
(教育委員会制度分科会)…「教育公務員倫理規定」
(仮称)の制定。政
治的行為の制限に違反した教員に対し、罰則規定を課す。教員の勤務評価及び、それに基づく処遇
が適切に行われるよう、教育長及び校長の責務を設ける。
第 1 次安倍内閣では、
「やらせタウンミーティング事件」を引き起こしてまで、2006 年に教育基本
法を変えてしまいました。そして今、自由法曹団が批判しているように、「学校現場に上意下達の管理
強化・中央集権体制を確立し、国家による復古的な教育の押し付けを可能にさせ」ようとしています。
まず、教員採用を行う教育委員会や学校管理職の意向に沿わなければ、「普通教員免許」自体を取得
することができなくしようとしています。
さらに、「教育公務員倫理規定」を設け、一方的に「政治的行為」に当たる内容を決め、罰則を科そ
うとしています。その上、実行本部では、教員に学習指導要領等及び上司の命令に従う義務を設けるこ
とや、3 年ごとに学習指導要領を遵守する等の観点から勤務評定をする、教職員団体に収支報告書の提
出を義務付けるなど、強固な管理・統制が検討されています。
戦前の日本では、国の方針に従って首長が地方の教育行政を担い、子どもたちを戦場へ送り込む軍国
主義教育がすすめられました。戦後は、その過ちを繰り返さないよう、政府や首長から独立した教育委
員会が設置され、そして 1947 年 3 月 31 日には教育基本法が公布・施行されました。その第 10 条
1項「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもので
ある。」には、痛切な反省が込められています。教師が自ら考えることをせず、「お上の言うとおり」
で子どもを「教育」していたことへの反省です。
ところが自民党政権は戦後教育改革の見直しを掲げ、早くも 1956 年に公選制の教育委員会を廃止
しました。学習指導要領についても、それ自体は法律ではなく大臣告示というものであり、もともと「試
案」として作られたものですが、それをまるで法律であるかのような扱いをしようとしています。
そして今、安倍内閣は、戦前のような「お上の言うとおり」の学校現場にしようとしているのです。
(2、
「教育行政の中央集権化」
3、
「教育内容の国家統制」など、次号に続く)
2015 年核不拡散条約(NPT)再検討会議ニューヨーク国際共同行動代表派遣カンパのお願い
「核兵器のない世界」をめざし、2015 年NPT再検討会議では、4 月 26 日から 3 日間にわたって展開さ
れるニューヨーク国際共同をメインにした計画がされています。京都教職員組合では、松元さん(紫野高校卒
の青年教師)を代表派遣します。この行動には、40 万円ほどの費用がかります。カンパにご協力ください。財
布の中の小銭を協力していただくだけでも、合わせれば大変な額になります。よろしくお願いします。
紹介
京都大学職員組合「ミニ講義」
京大職組の栗山書記次長が市高書記局を訪れ、
京大職組「ミニ講義」に関する情報をいただきました。
京大職組は、昼休みに組合員が様々な分野の「ミニ講義」
を行い、その模様をネットで公開しています。とりわけ、
理科や社会の分野の話題が充実。
学校での教育実践に活用できるのではないでしょうか。
アドレスは http://www.kyodai-union.gr.jp/mlec/
または、
「京都大学職員組合ミニ講義」で検索してもOK。
「ミニ講義」に込められた思い(案内文より)
近頃、政府や地方行政が公教育への過剰な干
渉を行い、戦前の事柄についての歴史修正主義
的な教科書の採択が進むなど…「ミニ講義」に
おいては、戦前の話題についても委縮すること
なく掲載しています。「自由の学風」と評され
る京都大学にある労働組合として、その気風を
守り活かし、権力に臆することなく果敢に情報
発信することを通じて、教育関係者を勇気づけ
ていきたいという思いもこの「ミニ講義」の企
画に込められています。