4 MSA の確定診断にSCA の遺伝子検査を含めるべきか Should genetic testing for SCAs be included in the diagnostic workup for MSA? Kim HJ, Jeon BS, Shin J, et al. Neurology 2014;83(19):1733-1738. と臨床的に診断された 目的:多系統萎縮症(MSA) 以 上を占めた。これら22 名の発 症 年 齢は、変 異の 患者が脊髄小脳失調症(SCA)遺伝子に変異を有する なかった 280 名の患者と比べて有意差はみられなかった 割合を調査する。 5 。全 患 者 に 尿 路 (55.9±9.3 vs 59.2±8.9、p=0.102) 方法:MSA の臨床診断基準に合致する患者 528 名の 症状がみられ、10 名は起立性眩暈または起立性低血圧 うち 302 名に、SCA の遺伝子検査を実施した。通常は、 も呈した。家族歴は 3 名の患者でのみ報告された。注目 小脳症状や神経画像診断で小脳萎縮が認められた すべきは、REM 睡眠行動異常症を示唆する夢の行動 患者には SCA1、2、3、6、7、17 型、および歯状核赤核 化(dream enactment behavior)が問診を受けた 11 名 淡蒼球ルイ体萎縮症の遺伝子検査を実施し、小脳 中 9 名(81.8%)で報告されたことである。 症 状はなくパーキンソニズムが認められた患 者には 結論:本研究でMSA 患者にSCA 変異保有患者が高率 SCA2、3、17 型の遺伝子検査を実施した。 に認められたことは、MSA 患 者、特に小 脳 症 状を (7.3%) 結果:SCA 遺伝子の変異は患者 302 名中 22 名 呈する患者では SCA の遺伝子検査を実施すべきであ に認められ、そのうちSCA17 が変異陽性症例の半数 ることを示唆する。 Friedreich 失調症におけるdeferiprone:6ヵ月間のランダム化比較試験 Deferiprone in Friedreich ataxia: a 6-month randomized controlled trial Pandolfo M, Arpa J, Delatycki MB, et al. Ann Neurol 2014;76(4):509-521. 目 的:Friedreich 失 調 症(FRDA)治 療 に お け る はいなかった。20 mg 群または 40 mg 群では左室心筋 deferiprone の安全性、忍容性、および有効性を評価 重量係数が減少したのに対して、プラセボ群では増加し するために、6 ヵ月間のランダム化二重盲検プラセボ た。20 mg 群では FARSに有意な変化はなく、プラセボ 対照比較試験を実施した。 群と同 様 であったが、40 mg 群 では FARS スコアと 方 法:72 名の患者を対 象に、deferiprone を 20 mg、 ICARS スコアが悪化した。プラセボ群に増悪が認めら 40 mg、60 mg/kg/日、 またはプラセボを1日2 回投与した。 れなかったことから、deferiprone の保護作用は評価 主要評価項目として安全性を、副次評価項目として神経 できなかった。しかし、重症度が低い患者を対象とした 学 的 評 価(Friedreich Ataxia Rating Scale[FARS]、 サブグループ解析では、20 mg 群で ICARS、FARS、 International Cooperative Ataxia Rating Scale 運動機能、および 9 穴ペグ試験で改善傾向が認めら [ICARS] 、9 穴ペグ試験、25フィート歩行時間検査、 れた。 低コントラスト文 字 視 力検 査) 、全身機 能 状 態(日常 解 釈:本 研 究 か ら、FRDA 患 者 に 20 mg/kg/ 日の 生活動作) 、および心機能評価を含めた。 deferiproneを投与した際の安全性プロファイルは許容 結 果:deferiprone 20 mg 投 与 群は良 好な忍 容 性を できるものであることが立証された。サブグループ解析 示したが、40 mg 群ではプラセボ群よりも有害事象が から、重症度の低い患者では、deferiprone 20 m/kg/ 多く発生した。60 mg 群では、患者 2 名で悪化を認めた 日は疾患の進行を軽減し、より高用量では失調症を ことから投与中止となった。20 mg 群の 1 名が可逆的な 悪化させる可能性が示唆された。 好中球減少症を呈したが、無顆粒球症が生じた患者 Update on SCD 5
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