ワレンベルグ症候群により運動失調を呈した症例の歩行自立

【演題名】
ワレンベルグ症候群により運動失調を呈した症例の歩行自立判定に関する検討~ICARS を用いて~
【所属機関名】社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院 回復期リハセンター
【報告者】
斉藤 諒二
【キ-ワード】
運動失調 ICARS 歩行
【はじめに】
当院では、急性期の小脳脳血管障害患者に対して ICARS スコアから歩行自立の判別点を分析し、リハ
開始時 ICARS スコア 29 点、退院時 ICARS スコア 17 点として、先行研究として、発表した。しかし、回
復期リハビリテーション病棟(以下;回復期リハ病棟)を経由して退院する患者については、自立歩行
を判断するための基準値を分析できておらず、先行研究においても、その報告は少ない。今回、当院回
復期リハ病棟を経由した症例において、自立歩行の判断基準として、ICARS のスコアを用いて検討したの
で、ここに報告する。なお、今回の症例報告に際して本人・家族へ説明し同意を頂いた。
【症例紹介】
80 代男性、身長 164cm、病前 mRS:0、診断名:アテローム血栓性脳梗塞(右延髄外側)、既往歴:狭心症・
高血圧
【初期評価(3 病日目)
】
MMSE:27/30 点、MMT:体幹屈曲 4 股関節屈曲 3/4 膝関節屈曲 3/4 足関節底屈 3/4、ICARS:57/100 点、FIM:
58/126 点、基本動作:中等度介助、歩行:重介助
【治療内容】
起立練習、歩行練習、立位バランス練習、体幹・右下肢の協調運動練習
【経過】
1 病日より PT・OT・ST 介入。18 病日歩行器歩行病棟監視(ICARS:34 点)。29 病日 4 点杖歩行病棟監視
(ICARS:27 点)
。46 病日屋内 4 点杖歩行自立(ICARS:16 点)
。56 病日屋内 T 字杖歩行自立。81 病日自
宅退院。
【最終評価(80 病日目)
】
MMSE:30/30 点、MMT:体幹屈曲 5 股関節屈曲 4/5 膝関節屈曲 4/5 足関節底屈 3/5、ICARS:8/100 点、FIM:
116/126 点。
【考察】
本症例の入院時から回復期リハ病棟退院時までの ICARS スコアの経過をみると、初期評価時 ICARS ス
コアは 57 点であったが、46 病日で ICARS スコアは 16 点まで改善し、歩行自立に至った。このことから、
ICARS スコア 17 点という判別点は、回復期リハ病棟を経由して退院する患者の自立歩行の判断基準とし
ても有用である可能性があると考えられた。今後症例数を増やして詳細な判別点等を検討していきたい。