多系統萎縮症患者における神経節後性発汗神経の脱

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日本における脊髄小脳失調症 6 型の自然経過に関する
3 年間のコホート研究
A 3-year cohort study of the natural history of spinocerebellar ataxia type 6 in Japan
Yasui K, Yabe I, Yoshida K, et al.
Orphanet J Rare Dis 2014;9:118.
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背景:どのような臨床症状や因子が脊髄小脳失調症
結果:46 名の患者が登録された。3 年目の追跡率は
6 型(SCA6)の重症度に関連するのかを検討したプロ
93%であった。SARA スコアは年々有意に悪化した。
スペクティブ研究は、ほとんどなされていない。日本にお
3 年間で、SARAスコアは 1 年当たり1.33±1.40 ポイント
けるSCA6 の自然経過および疾患進行に影響を及ぼす
減少した。SARA スコアの減少に関する多変量解析の
因子を明らかにするために、多施設縦断コホート研究
結果は有意ではなかった。IDR スコアは SARA スコア
を実施した。
や BI スコアと良好に相関した。IDRレジストリの 7 年間
方法:2007∼2008 年に連続的に患者の登録を行っ
のデータに基づくKaplan-Meier 曲線は、歩行能力と
た。Scale for the Assessment and Rating of Ataxia
疾患の経時変化との間に相関があることを示した。
(SARA)および Barthel Index(BI)のスコアを毎 年
結論:SCA6 患者の失調の進行および日常生活動作
プロスペクティブに収 集した。さらに、難 治 性 疾 患
(ADL)の低下に関する情報を、3 年間のコホート研究
レジストリのデータを、2003∼
克服研究事業(IDR)
と7 年 間 の IDR 研 究 から獲 得した。SCA6 患 者 の
2006 年 はレトロスペクティブに、2007∼2010 年 は
SARA スコアの低下率は、年間 1.33±1.40 ポイントで
プロスペクティブに収集した。結果的に、1 年毎に 3 回
あった。今回の結果から、SCA6 の自然経過、疾患
来院する過程を通じて、3 年分のレトロスペクティブ
の重 症 度に影 響を及ぼす因 子、および日本の IDR
データと4 年分のプロスペクティブデータが収集できた。
レジストリのデータの有用性が明らかになった。
多系統萎縮症患者における神経節後性発汗神経の脱支配
Postganglionic sudomotor denervation in patients with multiple system atrophy
Provitera V, Nolano M, Caporaso G, et al.
Neurology 2014;82(24):2223-2229.
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目的:多系統萎縮症(MSA)の自律神経節後障害を
刺激性神経線維の長さの総和をデジタル共焦点画像上
評価する。
で測定した。
方法:MSA 患者 29 名(男性 19 名、女性 10 名、年齢
結果:発汗神経密度(腺組織の体積当たりの神経長の
60.0±7.7 歳)、ならびに年齢と性別の一致する健常者
総和)の計測値は、不偏立体解析法で得られた値と
29 名の皮膚生検で、発汗刺激性の神経線維の分布
良好に相関した。発汗神経密度は、検査部位のすべて
を定量した。試料は大腿および下腿から採取し、29 例
において、対 照 群よりも患 者 群で低 かった
(指 尖 部
中 20 例では指 尖 部からも採 取を行った。自律 神 経
0.9±0.2 vs1.9±0.4 nm/μm3、p<0.001、大 腿 0.7±0.2
障害による愁訴は自記式調査票 SCOPA-AUT で評価
vs1.9±0.5nm/μm3、p<0.001、下腿 0.6±0.2 vs1.8±0.4
した。患者の一部では、サイラスティック・インプリント試験
。
nm/μm3、p<0.001)
(シリコンシートに汗を転写させる)で発汗機能を評価した。
結論:今回の結果から、MSA では神経節後障害が
皮膚試料は、神経細胞全般のマーカーとコリン作動性
生じ、これが併存する中枢神経系の変性および MSA
神経細胞選択的マーカーとを用いた間接蛍光抗体法で
での自律神経障害発生の一因となる、という仮説が
処理した。半自動化された形態計測法を用いて、発汗
裏付けられた。
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