学校だより3月号「怒りの正体を知る!?」

学校だより
坂戸市立若宮中学校
平成27 年
宇佐美
3 月 2日
学校教育目標
「自ら考える力
美巳子
第 14 号
信頼する心
健やかな体」
※本校は、ESD を推進し、ユネスコスクール申請
中!
3月は別れの月ですが、しかし、まとめの月でもあり、4月からの新しい出会いのた
めの準備の月でもあります。教師というのは、高速道路に設置されている街灯のような
もので、車を走らせている人にとっては、明るく輝く一つの目印にもなり、安心できる
ものではありますが、運転している人(子供たち)にとっては、決してそこに留まるこ
とはなく、安心して、前の道を目指して走りすぎていく存在であり、それでよいのだと
思っています。前を向いて生きている子供たちにとっては、忘れられていく存在であり、
それが教師の幸せなのだと、しみじみ思うわけです。さて、後一月、がんばります。
【 学校教育目標 】 「 自ら考える力
考える広場
信頼する心
健やかな体 」
「怒りの正体を知る?!」
~怒りをマネジメントするために~
今月は、私たちを怒らせるものの正体について、考えてみたいと思います。それは誰
かが・・・怒らせるということでしょうか?それとも、怒らせることになったのは出来
事が原因でしょうか?それとも、まったく違う何か別のものでしょうか?
実は、私たちを怒らせるものの正体は、自分の願望や希望、欲求を象徴する言葉の「○
○すべき」というときの「べき」にあるのではないかと言われています。
一見すると、とても正しいように思える「べき」ですが、それは、その人が信じてい
る「べき」であって、違う人にとっては、「○○べき」とは思わないかもしれません。
ごはんは残さず食べるべきだ・・・と信じている A さんがいても、B さんにとっては、
「嫌いなものまで我慢して食べる必要はない」と思っているかもしれません。このよう
に、いらついたり怒る理由は、自分がさまざまなものについて「こうあるべきだ」と信
じているある理想が、他の人にとっては、全く違う感覚であったり、常識と思っている
ことが通用しなかったりする現実を目の当たりにして、そのギャップを感じたときに、
怒りがわき上がってくるわけです。この「○○べき」は、人によって解釈が異なり、こ
の「○○べき」という思考は、次の2つの理由から難しさがあります。
すなわち、一つは、すべての「○○べき」は、その人にとっては正解であるというこ
とと、もう一つは、すべての「○○べき」というとらえ方は、程度問題にしか過ぎない
からという理由からでもあります。この程度問題というのは、たとえば、
「時間は守るべ
きだ」という「べき」を持っている人がいても、たとえば5分遅れても、時間は守ると
いう範疇として許せる人もあれば、1分でも遅れれば、その遅刻は許せないという人も
いる・・・ということを想像しても、説明できると思います。
この「べき」の境界線は、① 自分と同じ ②少し違うが、許容範囲 ③自分と違う
し、許容できないという3段階に分けることができますが、この③の部分に当たったと
きに、怒りの感情が出てくるわけですね。
また、怒りは二次感情であると言われており、怒りの感情の前には、一次感情が先に
起こり、この一次感情というのは、たとえば、
「不安」
「痛い」
「疲れた」
「苦しい」
「悲し
い」
「むなしい」というようなネガティブな感情だといわれています。
たとえば、子供が、夜遅く連絡もなく、帰宅してきたとします。すると、当然ではあ
りますが、親は子供に対して、
「こんな時間まで何をしているの?」と怒ります。しかし、
その怒りは、別に、子供を怒ることが目的ではなかったはずです。どうして、帰らない
のだろう・・・何かあったのではないか?交通事故にでもあったのだろうか?等、一次
感情としての「不安」
「心配」が、心の中にいっぱいに広がって、いてもたってもいられ
なくなったわけですね。そして、二次感情として、怒りがでてきて、帰宅した子供の顔
をみたとたんに、
「今頃まで、何をしていた?!」と目を三角にして問い詰めてしまうわ
けです。では、このときに、なんと言えばよいのでしょうか?一次感情をはじめに子供
に伝えてみてはどうでしょうか?「こんなに遅く帰ってきたので、何かあったのではな
いかといろいろと考えて、とても心配したんだよ。どうしたの?」
・・・おそらく、そのように問われたら、子供も、
「連絡しないでごめんなさい。心配か
けちゃって。
」という言葉がでてくるかもしれませんね。
最後になってしまいましたが、怒りをマネジメントするということは、もちろん、怒
らないということではありません。マネジメントするということは、怒るものか、怒ら
ないものか、区別できるようにするということです。言い換えれば、怒る必要のあるこ
とには怒ることであり、怒る必要のないことには、怒らないということになります。
さらに、この怒りの感情には4つの特徴があると言われています。一つは、身近な対
象ほど、強くなってしまうということ、二つ目は、伝染しやすいと言うこと(いらいら
している人が一人いると、雰囲気が悪くなったことを経験した人は多いと思います)
、三
つ目は、高いところから低いところへ流れるということ(お父さんが会社でむしゃくし
ゃしてお母さんに八つ当たりし、お母さんは子供に当たり、子供は学校で弱いものいじ
めを・・のように)
、そして四つ目は、怒りは実はエネルギーになるということ(ノーベ
ル物理学賞の中村博士は、会社での不当な扱いからパワー発揮し、アメリカで成功しま
したね)があげられます。ほんの一例ではありますが、このように、
「怒りの正体」につ
いて考えてみました。そして、この「怒り」を上手にマネジメントできれば、もっと、
スムーズに子育てはもちろん、家庭の中も、居心地がよくなるかもしれません。
これをひとつのきっかけとしていただいて、ご自分が怒りの感情を抱いたときに、自
分の「○○べき」を他人に当てはめていないかどうか、または、自分のこの怒りの一次
感情はいったいなんだろうかと考えていただければうれしいなと思います。