5280 本講義では、19 世紀後半の激動する大陸ヨーロッパにおいて

5280
社会調査論
担当教員名
村上
文司
授業概要
本講義では、19 世紀後半の激動する大陸ヨーロッパにおいて、フランスのフレデリック・
ル・プレー(Pierre Guillaum Frederic Le Play:1806-1882)が開始した質的調査の生成に
かかわる活動と、かれとも親交のあったドイツのエルンスト・エンゲル(Christian Lorenz
Ernst Engel:1821-1896)の統計調査の革新をめざす活動をとりあげ、今日隆盛する国勢調
査や家計研究の起源が、両者の多様な社会調査活動にあることを明らかにする。
到達目標
①ル・プレーの「直接観察」に基づく「家族モノグラフ」に、今日隆盛する質的調査の起
源があることを理解できる。
②エンゲルの官庁統計の改革や家計研究に、今日隆盛する国勢調査や家計調査の起源があ
ることを理解できる。
③社会調査を基盤とする社会科学の生成は、ル・プレーの「社会科学協会」の設立やエン
ゲルの「統計ゼミナール」の開設に起源があることが理解できる。
授業方法(展開)
授業内容の要点を整理したプリントを毎回、またその内容を補足する年表や調査関連の資
料を適宜配布し、これらに基づいて講義する。
準備学習(予習・復習)の内容と分量
履修に際して、時代背景や社会調査に関連する基礎的な用語については、事前に予習し理
解しておく。また、その日学習した講義内容については、講義で配布するプリントに基づ
いて復習する。
関連科目・知識・スキル
社会調査法については、多数出版されている量的調査や質的調査の技法書に基づいて事前
に学習しておくことが望ましい。
成績評価
授業への参加態度(受講票の提出と内容)20%、講義の節目でおこなう課題 30%、最終
論述試験の結果 50%に基づいて評価する。
教科書・参考書など
教科書は使用しない。参考書は
村上文司 2014『社会調査の源流-ル・プレー・エンゲル・ヴェーバー』法律文化社。
村上文司 2005『近代ドイツ社会調査史研究-経験的社会学の生成と脈動』ミネルヴァ書
房。
履修上の注意事項
毎回の授業では、受講票を配布し、講義についての関心や印象、疑問を記してもらう。ま
た、講義の節目では講義内容の理解について尋ねる小テストをおこなう。
授業の柱(単元)と授業スケジュール
第 1 講目
はじめに 19 世紀後半の大陸ヨーロッパにおける社会調査
第 2~3 講目 第 1 章
ル・プレーの社会調査活動
第 4 講目
第2章
「直接観察」に基づく社会科学
第 5~6 講目 第 3 章
「直接観察」のガイドと家族モノグラフ
第 7 講目
第4章
世紀転換期の「直接観察」
第 8~9 講目 第 5 章
エンゲルの社会調査活動
第 10 講目
第6章
官庁統計の革新者
第 11~12 講目第 7 章
家計調査の彫琢者
第 13 講目
第8章
世紀転換期の統計調査と現地調査
第 14 講目
第9章
社会調査を基盤とする社会科学の生成
第 15 講目
まとめ
学生への一言
本講義を通じて、同時代の複雑な社会的現実に立ち向かう社会調査の積極的な意義を理解
し、社会調査を基盤とする社会科学の創造に自ら進んで着手する姿勢を身に着けてほし
い。