地理歴史科(世界史B)学習指導案

地理歴史科(世界史B)学習指導案
日
時:平成26年9月5日(金)5校時
対
象:2年B、C組世界史選択者
教
室:2年C組
教 科 書:詳説世界史B(山川出版)
指 導 者:湯沢高等学校 石垣裕介
1
単
元
名 第3章 内陸アジア世界・東アジア世界の形成 2.北方民族の活動と中国の分裂
2
単元の目標
遊牧民の華北進出と華北住民の江南への移住を通して、遊牧民の定住化や均田制などの新しい傾向が生まれ遊
牧民と漢民族との融合が進んでいったことを理解させる。また、遊牧国家突厥の成立などを背景にして隋・唐帝
国が成立したこと、特に唐は支配体制を整え、周辺諸国との間に安定した関係を結んで東アジア世界と内陸アジ
ア世界を含む政治的秩序を形成したことを日本も含めた視点から考察させる。
3
生
徒
観
2年B、C組24名の世界史選択者クラスである。受験科目として意欲的に授業に臨んでいる生徒が多いが、
受け身の姿勢で教師の話を聞き、プリントをまとめるだけという生徒もおり、取り組み状況はさまざまである。
また、積極的に発言しようとする生徒は多くないので、生徒が主体的に考え、自らの考えを表現できるような指
導の工夫が必要である。
4
指
導
観
本時に学習する内容は、1学期に学習済みである。すでに得ている知識をもとにして、ある出来事について異
なる視点から書かれた二つの史料を比較することで、多面的・多角的な歴史的思考力を培いたい。新学習指導要
領にある「言語活動の充実」と「日本史との関わり」を意識して、史料の読解を授業の中心とする。史料の読解
はジグソー学習の要素を取り入れ、生徒一人ひとりが役割をもって活動を進められるようにする。また、異なる
史料の読解を最後に組み合わせる(クロストーク)ことで、多面的な見方の中から客観的事実を選び取る力を育
みたい。授業の導入とまとめで同じ問いを考察させ、授業内での成長を実感させるようにする。
5
指導と評価の計画
(1)指導の計画
・2.北方民族の活動と中国の分裂……1か月前に学習済み
・主題学習
資料から読み解く歴史の世界……本時1/1
(2)単元の評価規準
関心・意欲・態度
思考・判断・表現
資料活用の技能
知識・理解
隋・唐時代における周辺
隋・唐と周辺国家の関係
三国時代の領域図や、魏
遊牧民の華北進出と定
国家との国際秩序につい
について、日本を適切に位
晋南北朝の系統図、唐王朝
住に伴い、均田制などの新
て、その後の歴史や現代の
置づけて考察し、東アジア
の社会や文化の国際性を
制度が普及したこと、遊牧
社会とも結びつけて学習
文化圏の全体像を文章に
示す資料・図版・写真を適
民と漢民族の融合を背景
しようとしている。
まとめることができる。
切に活用している。
にして隋・唐帝国が成立し
たことを理解している。
6
本時の計画
(1)本時の目標
・異なる史料の読み取りを通して隋と日本との関係について多面的に考察し、説明できる。
(2)展開
導入
学習活動
指導上の留意点
・
「職貢図」をもとに、問いに対する
・百済と倭の使者の服装の違いか
考えをワークシートに記入する。
評価
ら、日本に対するイメージを考
察させる。
(7分)
課題:隋と倭(日本)は、お互いをどのような存在と考えていたか?
展開
・楊堅(文帝)の内政について、ワ
ークシートをもとに説明を聞く。
・煬帝の内政・外交について説明を
聞き、ワークシートに記入する。
・諸制度がその後の唐にも受け継
がれたことについて説明する。
・大運河の建設や高句麗遠征の失
敗が隋の滅亡につながったこと
を説明する。
(10 分)
資料の読み解き
・4~6人グループになり、異なる
・列ごとに読む史料を指定する。
史料を読んで隋と倭との関係が分
資料A:『隋書』(倭国伝)
かる部分に線を引く。
資料B:『日本書紀』
・同じ史料を読んだ者同士で話し合 ・箇条書きで簡潔にまとめさせる。 ・史料を正確に読み取り、
い、年表をまとめる。
・机間指導を行い、適宜助言を与
える。
(13 分)
的確にまとめているか。
(観察)
【資料活用の技能】
資料の比較・検討
・異なる史料を読んだ相手にまとめ
・自分の史料と共通する部分、異 ・多面的な視点から関係を
た内容を伝え、共通点と相違点に
なる部分を意識して聞くよう助
考察し、説明できている
ついて話し合う。
言する。
か。(観察)
【思考・判断・表現】
・話し合った内容を発表する。
・各班1分程度で発表させる。発
表後、重要な部分を全員で再度
(12 分)
確認する。
まとめ
(8分)
・最初の問いの答えをワークシート
に記入する。
・当時の東アジア全体の国際状況
を踏まえて考察するよう、助言
する。
資料2 校内授業研修 授業研究会の記録
1.対象授業:9/5(金) 2年文型(B・C組) 世界史B
2.授業者:石垣裕介
3.授業者の反省
本時の目標に対する反省
・学習活動の明確化のため、本来3つの史料を分析す
るところを、2つとした。
・授業の前半部分の説明に時間をかけすぎ、最も時間
をかけるべき史料の読み取りとクロストークに十分な
時間がとれなかった。
・生徒は予想以上に意欲的に取り組み、相手に分かり
やすく伝えようと表現を工夫していた。
・史料を正確に読み取っているが、伝えることが苦手
な生徒がいた。限られた時間でどのような支援ができ
るのか、研究が必要である。
成果と課題
・慣れない学習活動ながら、生徒は意欲的に取り組ん
でいた。史料の読み取りも決して簡単な活動ではない
が、協力しながら前向きに取り組んでいた。
・複数の史料を多面的に分析する力、世界の中に日本
を位置づけた歴史的思考力の育成については、成果が
あったように感じられる。
・ジグソー学習の有効性については疑いの余地はな
い。準備を容易にしてより実践の回数を増やしていく
こと、史料の読み取りが苦手な生徒に対する支援、表
現することが苦手な生徒への支援を研究していきた
い。
4.参観者から
評価できる点
・グループワークでの話し合いのポイントが明確で、
短時間で作業や意見交換ができ、期待される答えも出
せた。
・国語、英語、数学などの授業では、生徒の発表時の
声が聞こえないことがよくあるが、適切な声で、しか
も自分の言葉で説明できていた。
・前半の説明の部分が長いかと思ったら、生徒の活動
がてきぱきしていて最後は十分まとまった。普段から
のこうした学習形態への習熟が伺える。
・中学校でも学習済みの事実からさらに深く日本と
隋、朝鮮半島との関係を考えさせるというテーマ設定
がよかった。
・当てられた生徒が自分の言葉でしっかりと考えを述
べており、普段からの指導の跡が窺える。
・これまでの復習、新しい内容の説明、本時のテーマ
と生徒自身が考察することが整理されて生徒に提示さ
れており、生徒自身が何に取り組めばよいかがわかり
やすい授業だった。
・「言語活動が活性化している授業」の好例だった。
改善すべき点
・異なる資料について説明し、共通点、相違点を話し
合って明らかにしていく活動にもう少し時間を使いた
かった。「多面的な視点」が必要だということを生徒
に気づかせたかった。
・時間がなかったからだと思うが、生徒が発表してい
るときに表を掲示すべきではない。
・共通点、相違点のまとめの表は、色分けするとわか
りやすかったのでは。
・終盤部分で「なぜ608年に隋は日本に使者を送っ
たか」は、思考力、判断力を高める重要な『発問』で
ある。指導計画に明確に位置づけるべきだ。
・最後の発問は、推測もあるので、もう少し様々な答
えがほしいところだった。
・資料を基にしながらも、生徒が推測して話し合う内
容なので、時間の制約はあったかもしれないが、様々
な生徒、グループの考えを発表する場面があってもよ
かった。