私たちは、干潟から豊かな水産資源の恩恵を享受するとともに、野鳥観察や潮干狩りを楽しむなど、干潟を様々 に利用しています。また、干潟は、多くの水生生物の生活を支え、産卵や稚魚に成育の場を提供するなど、大き な役割を果たしています。高度成長期、埋め立てや干拓が盛んに行われましたが、近年、干潟の重要性が見直さ れ、日本各地において干潟の保全を求める機運も高まっています。 [資料A]、[資料B]及び[資料C]を見て、あとの【問】に答えなさい。 [資料C] 日本の主な干潟と渡り鳥の渡来地及び渡り鳥の移動経路 繁殖地 1593 [資料A] 干潟で見られる主な底生動物※1 コムケ湖 アサリのろ過能力を示す実験 500ha 排水路農地化 中継地 3146 風蓮湖干潟 7806ha 水質悪化 オサガニ 4969 越冬地 谷津干潟 42ha ラムサール条約※4登録地 アサリ シオフキガイ アナジャコ カガミガイ ギボシイソメ 2つの透明な容器に海水を入れ、アサリを入れるものと 入れないものを用意して、両方に米のとぎ汁を加えてよ くかき混ぜ、海水全体を白く濁らせる。約2時間後、ア サリを入れないもの(右)の海水は白く濁ったままだが、 アサリを入れたもの(左)では海水が透明になった。 ムギワラムシ マテガイ 6304 和白干潟 2821 80ha 人工島建設中 小櫃川河口 8849 河川などから流入する有機物 栄養塩(ちっ素・リンなど) 780ha 観光開発 1030 (満潮時の海面) 植物プランクトン 底生ケイ藻類 海藻 (干潮時の海面) 底生動物 魚介類 漁業、鳥や魚の 捕食による系外 への持ち出し 諫早干潟 食物連鎖による栄養物質の輸送 12223 曽根干潟 藤前干潟 500ha 空港拡張工事 ゴミ埋立計画断念 323ha ラムサール条約登録地 1801 泡瀬干潟 290ha 海草藻場埋立進行 [資料B] 全国の干潟面積の推移 82621 80000 51443 ○の中の数値は、渡り鳥(シギ・チドリ) の渡来数を表しています。 干潟消滅原因別割合(昭和 53 年~平成 6 年) (ha) 53856 200ha ラムサール条約候補 2835 908 (岩波ブックレット「よみがえれ、宝の海」などより作成) 汐川干潟 河口堤計画中止 道路計画進行中 58ha ラムサール条約登録地 ※1 底生動物:水底に生活する動物。 8048 吉野川河口 諫早湾 3550ha 閉め切り 有明海海苔不作大異変 「渡り鳥」 漫湖 60000 1200ha 京葉港計画中止 「自然再生計画」検討中 3722 干潟のある内湾での栄養物質の輸送 100000 三番瀬干潟 49380 40000 消滅原因 消滅面積(ha) 割合(%) 埋め立て 1671 42.0 しゅんせつ※2 432 10.9 干拓 84 2.1 その他※3 1789 45.0 ※4 ラムサール条約:1971 年にイランのラムサールという都市で採択された、湿地(湿原、沼沢地、干潟 など)の保全に関する条約。2013 年 10 月現在、締結国 168 ヶ国、条約湿地数は 2165 湿地。 (藤前干潟を守る会ホームページ及び環境省ホームページなどより作成) ※2 しゅんせつ:水底の土砂をさらうこと。河川の流路を広げ、航路の水深を増し、また埋め立てのための 土砂採取などの目的で行う。 ※3 そ の 他:土砂の自然流失による自然消滅など。 【問】 [資料A]、[資料B]及び[資料C]を踏まえ、「産卵や稚魚に成育の場を提供」すること以外に干潟の大 きな役割を2つ取り上げて説明するとともに、地域産業との関連を考慮しながら、干潟の保全・再生を進 めるためには、どのような方策が考えられるか。干潟の役割の説明と、あなたの考える方策を書きなさい。 ただし、字数は 500 字以上 600 字以内とし、記述に当たっては、 「水質]、 「渡り鳥」、「干潟面積」及び 「地域産業」という言葉を必ず用いなさい。 なお、指定された言葉は、何回用いてもよく、用いる順序も問いません。また、書き出しや改行の際の 空欄、 、 や 。 や 「 なども、それぞれ字数に数えるものとし、10 などの算用数字と小数点、 (環境省「第4回自然環境保全基礎調査」などより作成) アルファベットを用いる場合には、1 ますに二つの数字や小数点、アルファベットなどを記入してよいも のとします。 20000 0 昭和20年 昭和53年 平成6年 平成10年
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