魚肉中のヌクレオチドの分析(K値による鮮度測定)

LC Technical Note
魚肉中のヌクレオチドの分析(K値による鮮度測定)
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GL Sciences Inc.
今回は、GL7700HPLCシステムを用いた魚肉中のヌクレオチドの分析をご紹介します。
動物の筋肉中にはエネルギー源として知られるATPが存在しています。
筋肉中に存在するATPは、死後時間経過と共に以下のように分解していきます。
ATP→ADP→AMP→IMP(イノシン酸)→Ino(イノシン)→Hyp(ヒポキサンチン)
これらATP関連化合物を分析し、その種類と量を下の式に入れることで、鮮度(魚類鮮度判定恒数:K値)を算出できます。
今回、InertSustain AQ-C18を用いた魚肉中のヌクレオチドの分析において良好な結果が得られましたのでご紹介します。
(R. Hirano)
Ino+Hyp
K値(%)=
×100
ATP+ADP+AMP+IMP+Ino+Hyp
標準液測定例
InertSustain AQ-C18
mAU
2.0
5
1.0
23
4
1
0.0
6
0
10
Time (min)
20
2.0
5
市販C18カラム
mAU
4
1.0
23
1
0.0
6
0
HPLC条件
カラム
溶離液
流量
カラム温度
検出
注入量
10
Time (min)
20
Analyte
: 上図に記載
1.IMP(イノシン酸)
(μm, 150 x 4.6 mm I.D.)
2.ATP(アデノシン3リン酸)
: 50 mM K2HPO4 in H2O (pH 7.0, H3PO4)*
3.ADP(アデノシン2リン酸)
4.AMP(アデノシン1リン酸)
: 1.0 mL/min
5.Hyp(ヒポキサンチン)
: 40 ℃
6.Ino (イノシン)
: UV 260 nm
: 1 μL(感度が足りない場合は5-10 μL程度に注入量を多くして分析してください)
5 mg/L
5 mg/L
5 mg/L
5 mg/L
5 mg/L
5 mg/L
*分析終了後、カラムはCH3CN/H2O =1/1,v/v 等に置換してください。
長期保管する場合は、さらにCH3CN 100%等の有機溶媒に置換して保管してください。
ヌクレオチドは親水性化合物のため、C18(ODS)カラムには保持しづらいという問題があります。
このような場合、移動相にイオンペア試薬を添加することで保持時間を増大させることができます。
しかし、イオンペア試薬はカラムへの残存の懸念があることや平衡化に時間がかかること等いくつかの問題があります。
今回使用したInertSustain AQ-C18は、親水性化合物の保持が増大するように設計されたカラムのため、イオンペア
試薬を使用することなく十分な保持が得られるカラムです。
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検量線(5~ 100 mg/L)
前処理例
試料
- 刺身 2 g
ホモジナイズ
-10 % 過塩素酸水溶液 10 mL(冷却)
-乳鉢ですりつぶす 10 min(冷却)
-上清を50 mL遠沈管にうつす
残渣
-10 % 過塩素酸水溶液 5 mL(冷却)
-乳鉢ですりつぶす 2 min(冷却)
-50 mL遠沈管にうつす
遠心分離
2500 g 7 min 4 ℃.
中和・定容
-上清 5 mL
-10 M KOH 1 mL(冷却)
-移動相(50 mM K2HPO4 in H2O (pH7.0, H3PO4))
で50 mLにメスアップ
ろ過
-上清をろ過(クロマトディスク25A 0.45μmフィルター)
HPLC
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試料測定例
市販のタイとマグロの刺身を購入日に前処理したものと2日間冷蔵保存してから前処理したものを分析し、
K値を算出しました。
タイ刺身のK値測定
2日間冷蔵保存後前処理
購入日に前処理
1
0.8
6
mAU
0.4
6
2 4
4
4
-0.2
0.0
mAU
0.2
-0.2
mAU
1
0.2
mAU
0.4
6
5
2 4
0.0
6
1
3 5
0.6
8
3
0.6
8
0.8
1
0
10
Time (min)
0
20
0
3 5
2 4
6
0
0
3
2 4 5
10
Time (min)
6
0
20
20
拡大
2
2
拡大
10
Time (min)
10
Time (min)
20
K値=7.5%
K値=5.1%
2日後
マグロ刺身のK値測定
購入日に前処理
2日間冷蔵保存後前処理
1
3
0.2
0.0
6
4
4
2 4
-0.2
mAU
0.0
6
5
0.6
8
6
24
-0.2
mAU
0.8
1
mAU
0.4
mAU
0.2
0.4
6
1
3 5
0.6
8
0.8
1
0
10
Time (min)
20
0
6
10
Time (min)
3
2 4
0
0
3 5
2 4
20
0
5
2日後
20
6
10
Time (min)
K値=5.1%
K値=2.1%
10
Time (min)
拡大
2
2
拡大
0
20
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カラム
Coffee Break
InertSustain AQ-C18 5 μm, 150 x 4.6 mm I.D.
Cat.No. 5020-89730
K値の指標はおおよそ以下のようになっています。
~20% 刺身用
~40% 煮魚用
~60% 焼き魚用
60%~ 腐敗の兆候
また、K値の変化は魚の種類によっても異なります。
サバやアジなどの青魚に比べ、白身魚は比較的K値
が上がりにくい(鮮度が長持ちする)事がわかってい
ます。
そして、分解過程で生成するイノシン酸はうまみ成分
として有名です。腐り始める少し手前がおいしさの
ピーク・・というのも納得です。
GLクロマトディスク
水系25A 0.45 μm
Cat.No. 5040-28512
DG7760
分析装置:GL7700 シリーズ
番号
①
②
③
④
⑤
品名
脱気装置
送液ポンプ
オートサンプラー
PDA検出器
カラムオーブン
型式
DG7760
PU7710
AS7720C
PD7752
CO7730





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