馬産地ライター村本浩平の 2015スタリオンシリーズ競走 種牡馬名鑑 Vol.2 ★★★★★★★ 6/30(火)~ 7/22(水)開催分 ★★★★★★★ 6/30(火) 7/1(水) アイルハヴアナザー賞 【栄冠賞】 フリオーソ賞 父Flower Alley、母Arch's Gal Edith(母父Arch)。初年 度産駒は16年デビュー。昨年の種付頭数は123頭。1ヶ月 半で3つのGIが行われる過酷な日程もあってか、1978年以 降は誕生していない米三冠馬。しかし、2012年の米クラ シック戦線に颯爽と現れたアイルハヴアナザーは、GIケン タッキーダービーとGIプリークネスSを優勝するも、最後の 一冠となるGIベルモントSの前に屈腱炎を発症。アメリカの 競馬ファンの夢はまた潰えてしまう。それだけに引退間もな い時期での日本導入は驚きとともに、「幻の三冠馬」の産駒 たちを間近で見ることができる、このうえない機会ともなっ た。世界中が注目する初年度産駒のデビューが待ち遠しい。 父ブライアンズタイム、母ファーザ(母父Mr. Prospector)。初年度産駒は16年デビュー。昨年の種付頭 数は131頭。南関東のエースとして、GI全日本2歳優駿、 JpnI川崎記念、そして2勝をあげたJpnI帝王賞と、中央所 属馬を幾度となく退けてきたフリオーソ。幾多のクラシック ホースを含む数々の名馬を送り出してきた父ブライアンズタ イムにとっても、晩年の最高傑作であり、後継種牡馬として の期待の大きさもまた、2年続けて100頭を優に超える種付 頭数にも証明されている。高いダート適性だけでなく、2歳 から8歳まで息の長い活躍を続けた丈夫さも産駒には遺伝さ れるはずであり、今後は地方競馬を代表する名種牡馬として 末永く君臨して欲しい。 7/8(水) 7/9(木) ブラックタイド賞 パイロ賞 【星雲賞】 父サンデーサイレンス、母ウインドインハーエア(母父 Alzao)。初年度産駒は現5歳で、主な産駒にはテイエムイナ ズマ(GIIデイリー杯2歳S)、タガノエスプレッソ(GIIデイリー 杯2歳S)、キタサンブラック(GIIスプリングS)。昨年の種付 け頭数は122頭。ディープインパクトの全兄でもあるブ ラックタイドだが、弟よりも馬格に恵まれ、それでいながら 配合のしやすい種付け条件が設定されたことで、繋養初年度 から150頭もの繁殖牝馬を集める人気種牡馬となる。その 人気の後押しをするかのように、初年度産駒から途切れるこ となく中央の重賞勝ち馬が誕生。産駒初となるGIホース誕 生もそう遠いことでは無さそうだ。 父Pulpit、母Wild Vision(母父Wild Again)。初年度産駒 は現4歳で、主な産駒にはシゲルカガ(JpnIII東京スプリント 2着)、シャークファング(浦和桜花賞)、ブラックヘブン(ハ イセイコー記念)。昨年の種付頭数は129頭。2歳時、3歳 時と重賞戦線で好走を続けたパイロは、4歳時のGIフォア ゴーSでGI初制覇。現役引退後は日本に導入されると、父 Pulpitにとって国内初の後継種牡馬ということからも注目を 集める。父譲りと言える好馬体も受け継いだ産駒たちは市場 での評価も高く、仕上がりの良さも相成って、初年度産駒か ら地方、中央問わずダート戦線を沸わせていく。2013年に は過去最高となる171頭もの繁殖牝馬への配合を行った。 7/14(火) 7/16(木) オウケンブルースリ賞 ケイムホーム賞 父ジャングルポケット、母シルバージョイ(母父Silver Deputy)。初年度産駒は16年デビュー。昨年の種付頭数は 12頭。近年の日本競馬における「夏の上がり馬」と言えば オウケンブルースリ。3歳の6月に未勝利戦を勝利すると、 そこから500万下、1000万下と3連勝。GII神戸新聞杯で3 着に入り、出走を叶えたGI菊花賞では、1番人気の支持に答 えて優勝を果たす。3歳4月のデビューから184日目での菊 花賞制覇は史上最短記録ともなった。次の年にもGII京都大 賞典を優勝。トニービン-ジャングルポケットと受け継がれ てきたサイアーラインは、芝中長距離に高い適性を示してい ることは間違いなく、その中には自身のようなGI級の大物 もいるはずだ。 父Gone West、母Nice Assay(母父Clever Trick)。日本 での初年度産駒は現6歳で、主な産駒にはサウンドリアーナ (GIIIファンタジーS)、ケイアイライジン(プリンシパルS)。 昨年の種付頭数は56頭。2歳時にはGIホープフルSを優勝。 3歳時にはGIサンタアニタダービーとGIパシフィッククラ シックを優勝など、全9勝のうち重賞で8勝という素晴らし い成績を残したケイムホーム。現役引退後はアメリカで種牡 馬となり、持ち込み馬のケイアイライジンの活躍もあり注目 を集める中、08年からは日本で繋養される。産駒は主に ダートで堅実な活躍を残しているが、サウンドリアーナが芝 の重賞を制して、さらに父の評価を高めた。 7/22(水) ゴールドアリュール賞 【ノースクイーンカップ】 父サンデーサイレンス、母ニキーヤ(母父Nureyev)。初年 度産駒は現10歳で、主な産駒にはスマートファルコン(南部 杯3勝を含むGI9勝)、スマートファルコン(JBCクラシック 2勝を含むGI6勝)。昨年の種付け頭数は188頭。日本の芝 コースにおける驚異的な切れを産駒に伝えたサンデーサイレ ンスだが、ゴールドアリュールが父から受け継いだのは、ア メリカのダートを力強く駆け抜けた「パワー」だった。産駒 にも父譲りと言える馬格の良さと、この「パワー」が遺伝さ れ、ダートで一時代を築く馬を続々と輩出。昨年はコパノ リッキー(フェブラリーS連覇などGI4勝)などの活躍もあ り、2度目の地方リーディングサイアーに輝いた。 「スタリオンシリーズ競走」は、 一般社団法人JBC協会(ジャパン ブリーダーズカップ協会)が 産地の支援を得て、優勝馬の 馬主や生産者に種牡馬の 翌年度種付権利を副賞として 贈呈する競走です。 ※生産牧場が海外の場合は 付与対象外となります。
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