2015 秋 AU322 現代思想の諸問題1 哲学講義5 (金③13:15-14:45/5222教室) 09/25_01. ガイダンス 大熊玄 (立教大学21世紀社会デザイン研究科) 1 【授業の目標】 世界にZEN (禅) と日本文化を伝え広めた鈴 木大拙(D.T.Suzuki,1970-1965) の言葉をもと に、 いわゆる 「伝統的」な日本の思想が現代 において実効性を持ちえるのかを考える。 (cf. 2015年度「文学部 講義内容」259頁) 【授業の内容①】 日本近世以降の支配的な思想のひとつで あった 「禅」 は、現代日本にも深い影響を与 えながら、 近代以降の欧米文化・文明の流 入により表面的には忘れられつつある。 しか しその一方で、 その欧米での評価の高まり により逆に再評価を受けてもいる。 … 【授業の内容②】 …この授業は、 近現代の日本を代表する思 想家であり自ら禅者であった鈴木大拙の言葉 を参考に、 学生が単に知識を増やすのでは なく、 自ら考えてアウトプットする日本思想入 門となる。各授業は毎回、 前半・後半に分か れる。 前半は、 学生からのコメントメールの紹 介・解説・意見する 「擬似ワークショップ」 形 式の授業。 後半は、 以下の講義内容となる。 【授業の目的】 (1) 基本的な学ぶ力を高める (2) 迷う、楽しむ、考える (1)基本的な学ぶ力を高める ○高校までとは違った大学での基本的な 学び方に慣れる。 ○「コメント」を書くことにより、読む力・聞く力・ メモする力・表現する力を養う。 ○講師の話から要点をつかむ(まとめる)力 をつける。 6 大学における「学び」とは ○高校までは、 聞く(読む)→書きとめる→憶える 「学校」が問を作る→問を読む→答える ○大学からは、 聞く(読む)→考える→伝える(書く)。 自分で情報を集める→問を作る→答える 7 『大学生のためのレポート・論文術』 (小笠原 喜康/講談社現代新書 p.76 ) 大学に入ると、それまでのただひたすら「覚える」 という学びから、一転して自分で「調べる」「考え る」「まとめる」という学びになる。とりわけ文系で はこうした変化が著しくて、戸惑うことも多い。 大学は本来自分で考えるところなのだから、戸惑 う方がおかしいといってしまえばそれまでである。 だがこのギャップは日本ではかなり著しい。高校 までは「考えるな 覚えろ」式の教育を受けてきて、 いきなり大学で「考えろ」といわれても、どうしてよ いかわからない。 8 (2) 迷う、楽しむ、考える ○受験勉強とは異なり、すぐに解答が出ない (理解できない)ことに耐える。 その状況を楽しむ。 ○大学の講義という安全な空間で、 ためしに混乱に陥ってみる。 ○決して学習目標は「情報を暗記すること」 ではない。 9 『大学生のためのレポート・論文術』 (小笠原 喜康/講談社現代新書 p.76 ) 高校時代までは、正しい答えを書くということが求 められた。そのためどうしても、抜き書きしたように 正しい答えを書かなくてはという観念から抜けら れないかもしれない。 しかし間違えないでもらいたい。大学は、正しい知 識を学ぶところではない。自分で考える習慣を身 につけるところである。だから大切なのは、正しい かどうかではなく、自分でどんな論理を組み立て られるかである。そもそも「正しさ」などというのは、 相対的・限定的でしかない。 10 【講義をゲームとして楽しむ】 ○この「ゲーム(講義)」のルールを理解して 真剣に遊ぶ。 ○何のために、この「ゲーム」をするのか。 その目的はなにか。 結果(単位)or プロセス(内容)? ○楽しめるかどうかは、結局「相性」 11 【この講義の流れ(ルール)】 ①事前にテキストを読んでおく。 ②メモをとりながら講義を受ける。 キーワードを探す(最重要・重要・興味)。 ③忘れる前にコメント送付。[email protected] ④随時HPを確認。 http://okgdata.webnode.jp/ ⑤最後にレポートを出す。 12 【テキスト】 大熊玄 『鈴木大拙の言葉 』 世界人としての日本人 (朝文社、2007, 2009, 2015) 講義用HP http://okgdata.webnode.jp/ 14 【成績の評価方法】 毎回の講義へのコメントメール + 最後のレポート 15 毎回の講義へのコメントメール 受付時間:講義終了から24時間 宛先(送付先):[email protected] 件名(標題):学籍番号+名前 〔例:14AU001Z大熊玄〕 (全角×→12345、半角○→12345) (送信記録は残しておくと安全) 16 講義用メールアドレス [email protected] 01 学生番号 (半角で) スペース は不要 自分の名前 (フルネーム) 17 コメントメールの内容 (客観) 今日の話で外せないポイント、キーワード。 (主観) 今日の話で思いついたこと、 出てきた興味・疑問・感想・提案。 (それぞれ200字ほど) 授業計画と日程(前半) 09/25 10/02 10/09 10/16 10/23 11/06 11/13 01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. ガイダンス 自由ということ 自然と人間 詩と俳句 機械と人間 分けること・分けないこと 無心ということ 19 授業計画と日程(後半) 11/20 11/27 12/04 12/11 12/18 01/15 01/22 08. 日常生活が大事 09. 生きた全人格 10. 言葉と体験 11. 悟るということ 12. 禅と何か 13. 世界人としての日本人 14. まとめ 【レポート提出】 20 大学における「学び」とは ○高校までは、 聞く(読む)→書きとめる→憶える 「学校」が問を作る→問を読む→答える ○大学からは、 聞く(読む)→考える→伝える(書く)。 自分で情報を集める→問を作る→答える 21 Choice 見る、聞く、読む、 感じる、憶える Input 工夫する、 判断する、 選ぶ、疑う Output 話す、書く、運動する、 行う、作る、働く、遊ぶ 22 Input Choice (Consider, Criticize) Output 23 料理教室 24 考 行 見 え う る る 哲 学 の 始 ま り 西田幾多郎 (1870-1945) 鈴木大拙 (1870-1966) 鈴木大拙とは? 1870(明治3)~1966(昭和41)年。歿齢96歳。 石川県金沢市本多町に生まれる。本名、貞太郎。 大乗仏教(特に禅仏教)に関 して百冊以上の著書を書いた。 著書の二割は英文によるため、 その思想・文化を欧米に広く 知らせた「近代日本最大の仏 教者」。禅者。欧米で最も著名 な日本の思想家・宗教家の一人。 ZEN 鈴木大拙(貞太郎)の生涯 1 少年・青年時代(学生・英語教師・参禅) 明治3年(0歳)~ 2 アメリカ・イリノイ時代(編集者) 明治30年(27歳)~ 3 東京時代(学習院教授) 明治42年(39歳)~ 4 京都時代(大谷大学教授) 大正10年(51歳)~ 5 戦後時代(欧米滞在と講義) 昭和21年(76歳)~昭和41年(96歳) 1 少年・青年(学生・英語教師)明治3年(0歳)~ 誕生、父の死、第四高等中学校、友人、中退、 小学校英語教師、母の死、禅への興味、上 京、東京専門学校、鎌倉円覚寺(今北洪川、 釈宗演)、帝国大学選科、見性。 2 アメリカ・イリノイ時代(編集者) 明治30年(27歳)~ ポール・ケーラスの助手、イリノイ州のオープン・ コート出版社の編集員、『Outlines of Mahayana Buddhism』、国際スエデンボルグ大会出席 3 東京時代(学習院教授) 明治42年(39歳)~ 学習院教授(寮長)、東京帝大講師、 ビアトリスと結婚 4 京都時代(大谷大学教授) 大正10年(51歳)~ 真宗大谷大学教授、東方仏教徒協会設立、 英雑誌『The Eastern Buddhist』発刊、文学博士、 世界信仰会議(英)参加、英米の諸大学で 講義、ビアトリス夫人死去、山本良吉・西田幾 多郎死去、財団法人松ヶ丘文庫 5 戦後時代(欧米滞在と講義) 昭和21~41年(76~96歳) 日本学士院会員、東西哲学者会議(ハワイ) 出席。米六大学講義、コロンビア大学客員 教授、エラノス会議出席、欧米講演旅行、 ハワイ大学名誉学位、インド招待旅行、 第一回タゴール生誕百年賞、死 。
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