補足プリント5:連続確率変数 松井宗也 南山大学経営学部 平成 27 年 5 月 10 日 連続確率変数 1 1.1 定義 確率変数のとりうる値が連続的な場合、その確率変数は連続確率変数と呼ばれる。 • 取りうる値の数を数えることができない。1 と 2 の値には数えることができない程の数が詰まっ ている。 (有理数と無理数:有理数は数え上げることができるが、無理数はできない)参考: 「集 合への30講」 志賀浩二 朝倉書店 の第10講。 • そのような数に対して離散確率変数の場合のように確率を定義すると、とりうる値の全体の 確率は限りなく大きくなり、全体の確率は 1 でなくなる。 連続確率変数の場合は、特定の 1 点を取る確率はゼロとし、確率は区間に対して定義される。 分布関数 確率変数 X に対して関数 F (x) を F (x) = P (X ≤ x) と定義。X が区間 [a, b] に入る確率は P (a ≤ X ≤ b) = P (a < X ≤ b) = P (X ≤ b) − P (X ≤ a) = F (b) − F (a) と関数 F (x) を使って表現。累積分布関数とも言う。 離散の時はとびとびにジャンプする。連続の時はなめらかに変化。 分布関数の性質 1. 0 ≤ F (x) ≤ 1. 2. F (x) は単調非減少関数。 3. limx→∞ F (x) = 1, limx→−∞ F (x) = 0 1 確率密度関数 離散確率変数のときの確率関数に相当するものとして分布関数の微小な増加分を表す関数 f (x) = d F (x + dx) − F (x) F (x) = lim dx→0 dx dx のことをいう。逆に分布関数は ∫ x F (x) = f (w)dw −∞ と f (x) より求まる。 連続分布の例 一様分布 (1) 閉区間 [0, 1] を連続確率変数 X がとりうる範囲とする。P (X < 0) = 0, (2)X が同じ長さの区間に入る確率は同じ。P (X ≤ x) = x, (0 < x ≤ 1) 0 F (x) = x 1 0 f (x) = 1 0 P (1 < X) = 0 (x ≤ 0) (0 < x ≤ 1) (1 < x) (x ≤ 0) (0 < x ≤ 1) (1 < x) この確率変数は [0, 1] 区間では、一様に同じ確からしさをもっている。 分布関数と確率密度関数の対応 分布関数の F (x) は確率密度関数 f (x)(非負)を積分したもの。非負の関数をある区間で積分すると いう事は、その区間内での関数の下側(x 軸、関数 f (x)、y = a と y = b で囲まれた領域)の面積を 求めることと同じ。 ∫ a f (x)dx = F (a) = P (X < a) −∞ ∫ b ∫ b f (x)dx = a −∞ ∫ f (x)dx − a −∞ f (x)dx = F (b) − F (a) = P (a < X < b) まとめ 連続確率変数 X は特定の 1 点をとる確率はゼロ P (X = x) = 0。確率を考えるには区間に入る確 率を考える。X が区間 [a, b] に入る確率は f (x) の区間 [a, b] における面積で表され、で分布関数 を用いて F (b) − F (a) となる。確率密度関数自体は確率でない。 2
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