急性下痢の実地診療(寺井裕二)

医事小論
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急性下痢の実地診療
長崎県医師会広報委員会委員
以下の文章は、自分なりの経験をまとめたもの
で、エビデンスもなければエクスパートオピニオ
ンでもなく、中堅医師の手あかのっいた手引書の
ようなものである。うっかりしそうな事なども含
めて下痢の診療マニュアルのっもりで記述した。
専門の先生に見せるのは恥ずかしい限りだが、専
門以外の先生に少しでも役立てぱ嬉しく思う。気
付いた点などがあればお知らせ下さい。
下痢をどう定義するか
地域の一般内科クリニックにとって下痢は感冒
症状の次に多い症状と思われる。下痢は「糞便の
水分量が多くなった状態のことで、水分の吸収障
生:
腸液分泌の亢進、腸管運動の亢進による」と
定義されているが、便回数の増加も含めるのが実
用的である。ここで注意するべき点は、「下痢」
という言葉が日常的に使用され、医師と患者で理
「コ、
解が異なることである。一例を挙げると、先頭部
寺井裕二
いる。専門に閉じこもらず、広い視野をもって診
療に当たっている様子が伺える。
P辻fa11に陥らないためには、常に全身状態に対
する注意や観察が必要で、特に血圧や脈などバイ
タルサインの把握と腹部理学的所見が診断の鍵に
なる。顔色不良または皮膚湿潤や脈が弱い時は
シヨツクを考える。下痢が頻回であれば「急性胃
腸炎」の診断に問題は少ないが、軟便が1-2度
だけという訴えは、腹痛や発熱などの他の随伴症
状から鑑別を考えた方が間違いが少ない。たとえ
ばシヨツク時に軟便を伴うことをしばしぱ経.験す
るが、これは交感神経とともに副交感神経も賦活
され一過性に腸管運動が亢進するためで、円兒糞J
にあたると思われる。ほかにも、虫垂炎やPID
など腸炎以外の腹腔内の炎症性疾患、もしくは腫傷
でも下痢を来たしうる。さらには大動脈瘤切迫破
裂や子宮外妊娠により骨盤内に血液が貯留すると
消化管を奬膜側から刺激して下痢をきたすことが
ある。繰り返しになるが、軟便が1-2回出ただ
けで腸炎と判断すると過ちを犯す可能性がある。
に硬便を形成し塞栓となり、残りの多くが軟便ま
たは泥状便の場合、「下痢」と訴えられることが
ある。この場合は便秘として扱う。温明昜湯などの
漢方薬が有効なことが多い。もう一例挙げると、
患者の立場から考えても、下痢を何度も繰り返す
から受診するのが通常であり、 1度の軟便で受診
軟便が 1-2 度だけ多く出て、その後に羽肖更が
したと聞いた時は、むしろその背景にある胸痛や
ない場合である4患者の多くは「下痢」と表現す
るが、一部には円兌糞」として扱った方がよい場
合も含まれ、ショックや虫垂炎、骨盤内炎症性疾
患(PID)などが鑑別に挙がる。
下痢診療にあたって問題となる点は?
腹痛'嘔気・気分の悪さ・言葉にならない違和感
などが隠、れた主訴ではないかと推測して対応する
べきであると考える。
急性下痢をどう定義するか?
急、性腹症のバイブルである Cope's acute abdo、
一方で、忙しい日常診療において下痢を主訴と
する心血管疾患や悪性腫傷例に遭遇することは稀
m飢には「急性胃腸炎という診断は、診断でき
ていない病態にとりあえず無難な名前を与える行
で、一例一例に対して鑑別信今断全てを除外してぃ
為であることが多い」とあり、急性下痢の診療に
まずは発症からの時間経過から急、性と慢性に区
別することが有用である。急、性の下痢は一般に2
週間以内に治まるものとされ、通常は1週間以内
際し機械的に胃腸炎と診断するのではなく、鑑別
診断を考えるべきだと警鐘を鳴らしてぃる。同様
に感染症のエクスパートである青木眞は、「『急性
くのは実際的ではない。
胃腸炎』様症状←下痢・発熱・悪心・嘔吐など)
をみたら腸管の外側の非感染性疾患から鑑別診断
が多い。これに対して1力月以上続くものは慢性
下痢とする。 2週間から1力月の間は持続性下痢
で、急性と慢性の緩種珀勺な意味がある。この分類
を挙げるというのが筆者の鉄則である」と述べて
の利点は、急性下痢のほとんどはウィルスや細菌
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などの感染症と判断され、他方の慢性下痢は多く
が潰傷性大腸炎やCrohn病などの非感染性の炎
症性腸疾患とみなされることにある。感染性疾患
で慢性下痢をきたすものは結核やGiardia'糞線
﹂二
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性としては潰傷性大腸炎やCrohn病など)
0吸収不良(緩下剤、手術、消化酵素の不足など)
0腸管狭窄・閉塞(腸管悪性腫傷など)
0腸管運動異常(過敏性腸症候群、 DMや強皮症
などの運動異常、ⅥP産生腫傷、甲状腺機能亢
虫など一部である。
下痢をどう分類するか?
進症など)
急性下痢は小腸炎型と大腸炎型に分類すると分
と分類されることもある。問題点、は、現在の日本
であれぱ分泌性下痢と溶出性下痢を
かりゃすぃ。小腸炎型は主にウィルスや細菌毒素
の Practlce
によるもので大量の水様便がみられ、腹痛が軽度
であることが多く、嘔気もありうる。腹部診察で
区別するのが難しいことである(アメリカでは便
は圧痛が軽度で腸音が低下している。腹部超音波
検査では典型的には小腸の拡張がみられ、嬬動が
低下してぃるのが確認される。これに対して、大
腸炎型は細菌による腸管組織への侵入を基本病態
下痢の危険因子は何か?
とし、小腸炎型に比べ少量の便が頻回にでて、「裏
急後重」と呼ばれる状態になる。また、便意はあっ
ても便が出ないという「しぶり腹」の症状を伴う
こともある。一般に発熱や腹痛が強く、嘔気は少
ない。場合によっては粘血便がみられることもあ
る。粘血便があれば腸管の炎症と考えてよいが、
粘血便がなく便の回数が少ない時は、前述のよう
に虫垂炎や骨盤内炎症疾患(PID)などへの注意
を怠らないようにする。診察では圧痛が明瞭で、
腸音が亢進することが多い。腹部超音波にて結腸
壁肥厚を認めるため、非典型例で診断に迷うとき
にはエコーによる確認が勧められる。
ほかに、下痢よりも腹痛や発熱が目立っ例を
entericfever と分類することもある。代表は腸チ
フスである。また、 vibrio vuln途CUS は肝硬変患
中WBCを鏡検して鑑別に役立てている)。
小児、高齢者、海外旅行、キャンプなどの野外
活動や合宿、保育園や介護施設などの利用、胃切
除後、薬剤(抗菌薬、抗腫傷薬、制酸剤、酸化マ
グネシウムを始めとする緩下剤、ジギタリス'利
尿剤など)、アルコール、ペット(亀などの両生
類)、炎症性腸疾患の既往(再燃を考える)など
が挙げられる。特に海外旅行帰りは、毒素性大腸
菌(ETEC)など大腸菌、キャンピロバクター、
コレラ、サルモネラ、細菌陛赤痢、アメーバ赤痢、
などなど鑑別すべき病原体が一気に増えるため重
要である。ちなみに、エボラ出血熱も高熱と全身
痛とともに下痢が強いそうだ。ほか、免疫打時小1犬
態ではサイトメガロウィルス腸炎を考えるが、本
稿では割愛した。
小腸炎型下痢をどぅ診療するか?
頻回で多量の水様便で、腹痛が軽くて38度ほ
どの発熱を伴っていた場合、冬季を中心とする流
行期であればソロウィルスと考えてほぼ間違いな
必要である。
い。同じ条件で発熱が39度近くの時も、迷うけ
れどもノロウィルスを考える。ノロウィルスの場
合には咽頭痛などの呼吸器症状は全くない。ノロ
の流行期以外に発症した時はエンテロウィルスや
アデノウィルスなどの他の腸管感染ウィルスを考
え、たまに咽頭痛など上気道炎症状を伴うことが
下痢の病態生理学的な分類は?
下痢は上記の分類のほか、病態からの分類とし
ある。ノロウィルスの場合は潜伏期が18 72時
間、症状は 1 2日(実際は 3日続くこともある)
て、
とされてぃる。東京池袋のホテルでの集団感染の
ように、吐物が乾燥してウィルスを含む粉塵を吸
者の腸炎や蜂禽織炎で致命的となりうる重大な感
染症であり、肝硬変患者が生の魚介類を喫食して
強い下痢や軟部組織感染症を来たした場合はすぐ
に基幹病院搬送が望ましい。肝硬変でなくとも、
ステロイド使用者、糖尿病の患者などにも注意が
0浸透圧性下痢得畔唐・キシリトールなど甘味料、
下剤やマグネシウムなど)
0分泌性下痢絲田菌の毒素など例:コレラ)
0溶出性下痢(来舗莫の異常や障害によるもので、
感染性としては赤痢やサルモネラなど、非感染
引して発症する例があり、粉塵感染なる名称も与
えられてぃる。症状が3日で治まらなかったら再
診してもらって、ノロウィルス以外の原因の評価
を進める必要がある。
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問題となるのは毒素型食中毒と呼ぱれるブドゥ
球菌や腸炎ビブリオ、またはウェルシュ菌やボッ
リヌス、病原性大腸菌(EPEC)などが、症状だ
けではウィルス陛胃腸炎と区別が難しいことであ
る。いずれも平熱から微熱で、腸炎ビブリオは魚
介類が、ウェルシュ菌は弁当や飲食店・旅館など
が、ポツリヌスは加熱不十分な保存食品が感染源
になっていることが多い。病原陛大腸菌は乳幼児
の回数が多く、大量の水様便がでてウィルス性腸
炎を考えていても、便が出にくぃ時があるとか、
食後にすぐに便に行きたくなるという症状を併せ
もっていると仮定する。この場合、経過とともに
便の回数と量が改善してきても、「出にくぃ感じ」
や「食後すぐの便意」は改善せずに、結局は細菌
性腸炎の治療が必要になるという症例が時に経.験
が多い。ただし、ブドゥ球菌は調理時の汚染を機
血便がある時は、 0-157 などの腸管出血性大腸
序とし、家庭内で発症することが多いだけに原因
菌(EHEC)、 campylobacter、 salmone11a、細菌
'性赤痢、 vibrio parahaemolyticus (腸炎ビブリオ)、
を示唆する情報は得られにくい。ウィルス性胃腸
炎が腸音低下をきたすことが多いのに対して、毒
素型食中毒の場合は腸音が亢進してぃると今のと
ころ考えているが、筆者の思いすごしかもしれな
い。海外からの帰国者の場合は流行地であれぱコ
レラも鑑別にあがる。
いずれにせよ、小腸炎型下痢の場合は数日で症
状が寛解する。また、特異的な治療法はないので
制吐剤や整腸剤などの対症療法が中心となる。五
苓散を好む先生も多い。ここでは一番の問題は脱
水の評価であろう。筆者の経'験では、患者さんが
最も喜ぶ治療法は輸液である。体重がある程度減
少し、顔色が蒼白で頻脈も見られる場合は生理食
塩水500 10oom1の輸液で倦怠感などがとれる
ことが多い。輸液をするかどうかは経口摂取が可
能かどうかで判断するが、水を飲んでも吐く時は
点滴を勧めている。個人的には嘔吐が2回あれば
点滴を勧めるというルールにしてぃるが、エビデ
ンスはない。閉院の時間や予定なども考えて点滴
するかどうかを判断しているのが実情である。十
数年ほど前に19歳の男性が急、性下痢で福岡の診
療所を受診し、発熱のため解熱薬(座薬?)を処
方されて帰宅したが、 2日後にアパートで死亡し
ているのが発見されたというケースがあり、新聞
報道された。おそらく頻回の下痢で低K血症を来
たし不整脈を合併したか、脱水と解熱薬により
シヨツクを併発したかと推測されるが詳細は不明
である。不幸な転機を避けるため、個人的には積
極的に゛餌夜を勧めている。
大腸炎型の下痢をどう診療するか?
「便意があっても出にくい」という症状や「食
後すぐに便意を催す」という症状は、どちらかと
言えば細菌性腸炎を考える。例えぱ、発症時に便
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される。
アメーバ赤痢を老える。ここでは、血性下痢とい
う意味では虚血性腸炎が鑑別にあがる。下痢とい
うほど液体成分が多くない時は下血と判断し、大
腸腫傷や結腸憩室・arlgiodysplasia が鑑別の対象
になる。ついでながら、便の色はあまり鑑別の役
に立たないが、筆者の乏しい経'験からはサルモネ
ラ腸炎の場合には緑色便を呈することが多かった
気がする。細菌性赤痢やアメーバ赤痢例でのトマ
トケチャップ便も経験はある。
ほか、発熱や「しぶり腹」があり大腸炎型を考
えたいが、分類が難しい時は混合型を考える。
Campylobacter は水様便を、 Yersinia は嘔気を伴
うことがあり、いずれも回腸末端炎と周囲のりン
パ節炎を伴う。
大腸炎型腸炎には便培養が積極的に行われるべ
きと考える。特に出血性下痢や発熱・腹痛が強い
場合は必ず便培養を提出している。便培養を提出
する意義は、感染症法に基づく届出のためや家庭
や職場への影響という公衆衛生的な見地、または
食中毒を探査するという点が大きい。日常診療で
は培養結果が判明する頃には抗菌薬が奏功し再来
しない場合も多く、経済的問題から検査を遠慮す
ることも多い。だが、細菌の検出は診断を確定で
きる利点があり、また、結果を連絡すると納得し
て喜んでもらえることが多いのも事実である。
細菌性の大腸炎型腸炎の治療の治療に当たって、
一番大事な点は止痢薬やブスコパン侭など抗コリ
ン薬を出さないことだと思ってぃる。個人的にも
フエロベりン@を使ってしまって発熱や腹痛を増
悪させた経験がある。初診の時に細菌性腸炎の症
状がはっきりしていなかったためで、ある程度は
やむをえないが、今後の診療においても「裏急後
長崎県医師会袈第831号平成27年4月
儲偽翻命尋尋嵒妾倉易慈魯務鰯尋務命郵尋希倉曇趣曇嵒懇論鄭儲翁羅命惑鶏翻命翁霧尋命翁尋勢偽舎怨器尋a勢卿尋識へ、,
医事小論
§
重」や「しぶ明夏」など症状の確認を続けるしか
方法はないと思う。症状がごく軽いか無症状の場
合抗菌薬は不要だが、ある程度症状があれぱ抗菌
薬の適応があると老えている。成人の場合だとキ
ノロンが最適と思われる。小児はホスミシンで治
療することが多い。ただし、後述の抗菌薬閧連下
痢の場合は確実に増悪するので、薬歴だけは必ず
チェックしてぃると慢性下痢になると腸結核やア
メーバ赤痢を考えないといけない場合がある。そ
の場合は内視鏡診断後に前者は抗結核薬を、後者
はメトロニダゾールを出すことになる。出血性腸
炎は一般的に輸血が必要になることは少ないため、
全身状態がよかったら暫く点滴で外来治療するこ
とも考える。腹部超音波検査で虚血性腸炎を否定
できたら便培養の上、キノロンを処方し数日外来
で点滴を続けて様子を見るが、失敗例は少ない。
あくまでも全身状態が良かったら、である。
抗菌薬関連腸炎をどぅ診療するか?
抗菌薬を使用した後に下痢が続くことは日常的
によく経験され、概ね原因となる薬剤を中止し自
然経過や整腸剤のみで寛解することが多いが、入
院例や施設発生例では院内感染予防の意味で問題
となる。抗菌薬の使用に伴う下痢の20-30%が
Clostridium di丘icile によるとされている。本菌の
芽胞は近年アルコール消毒剤に耐性であるため、
手袋の使用や手洗いの励行が重要である。原因と
なる抗菌薬は第3世代セフェムが多く、クリンダ
マイシンやアンピシリンなども知られている。ま
た 5・FU やメトトレキセート、ドキソルビシン、
シクロホスファミドなど抗菌活性のある抗癌剤も
原因となる。診断の確定は本菌の毒素AとBを検
出することである。ただ、 ELISAやイムノクロ
マド法でも感度が不十分なことがあり、 S状結腸
鏡での偽膜の確認が勧められる。毒素検出のラ
テックス凝集反応は感度・特異度に問題があり、
使用すべきでない。治療は原因薬剤の中止で、止
痢薬は禁忌である。メトロニダゾール(フラジー
ル@250mg) 1錠を 1日 4 回または 2錠を 3 回で
10日分処方するが、保険適応外であり注意が必
要である。安価であるため経済的にはそれほどの
負担ではない。バンコマイシン 125mgを 1日 4回
の方法もあるが、 MRSA治療のキーとなる薬で
あり、適応をメトロニダゾール投与後のしつこい
再発例に限り、投与量を増やさない方が良い。ち
なみに、一般的に「MRSA腸炎」の診断は、実
際は偽膜性腸炎であることが多いようで、その理
由はMRSAに直接抗菌t舌性のないメトロニダ
ゾールが奏功することで説明されている。
ほか、抗菌剤関連の血性下痢として Klebsie11a
Oxytocaが知られている。この菌はぺニシリン系
への自然耐性をしめすが、出血性腸炎をきたすメ
カニズムは不明であるとされていた。2006年に
抗菌薬起因性出血性大腸炎の患者から分離された
同菌が細胞障害性毒素をもち、動物モデルを作成
できたとの報告があり、原因菌と考えられるよう
になった。治療は抗菌薬の中止と絶食・ネ献夜のみ
で改善する。個人的には大腸ポリープ治療の直後
にへりコバクターピロリ除菌を行い、その3日後
に血性下痢で基幹病院に入院し、便培養から
KlebsieⅡa oxytoca が検出された自験例がある0
ピロリ除菌薬に含まれるアモキシシリンによる菌
交代と思われる。大腸ポリープ治療後はピロリ除
菌を2 4週間ほど待った方がよいとされている
ことを後で知った次第である。
おわりに
下痢はありふれた症状で、多くは自然治癒し受
診されないことが多いが、時にPi仕aⅡとなること
があるため注意して診療に当たって頂きたい。
参考文献
Silen w: cope'S Early Diagnosis of the Acute
Abdomen,20血 ed,, oxford university press,
2000
青木眞:レジデントのための感染症診療マ
ニュアル、医学書院、 2008、 P 649-702、
大川清孝Υ清水誠治編:感染性腸炎 Atoz、
第 2 版、医学書院、 2012
M即del, GL et al(eds.): prindples al)d practice
Oflnfectious Diseases.3rd ed., church辺 LiV血晋
Stone, New York,1990, P 837-905
長崎県医師会報第831号平成27年4月
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