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資料3
くじょう け
さ
九条袈裟
でんそう き
じ きり たけほうおう き りんもん あや
田相黄地桐竹鳳凰麒麟文綾
じょう よ う う す ち ゃ じ ふ た え づ る ぼ た ん か ら く さ
条 葉薄茶地二重蔓牡丹唐草
もんあや
文綾 1領
1 大きさ
縦158.0㎝ 横375.0㎝
2 所有者
宗教法人 妙 興寺(一宮市大和町妙興寺2438)
みょうこう じ
3 文化財の概要
田相注1に黄地桐竹鳳凰麒麟文綾注2、条葉注1に薄茶地二重蔓牡丹唐草文綾を用いた九条
めっしゅうそうこう
く げ しょうぞく
袈裟注3。妙興寺注4を創建した滅 宗 宗興注5が所用したと伝えられている。公家 装 束 に用
かた じ あや
ほう
きれ
いられる固地綾注6の織物で、天皇の袍注7にのみ用いられる桐竹鳳凰麒麟文様を表した裂
ゆうそくおりもの
を用いた特異な袈裟。現存する遺品がきわめて少ない中世の有職織物注8として非常に重
要である。
注
1 田相、条葉
は ぎれ
袈裟は本来、粗末な端裂をつなぎ合わせた僧衣のため、その精神を
形に示して、数枚の裂をつないで作った一条をさらに数条並べて
縫った形をとる。そのつなぎ目の部分と四周の部分に別の裂を配し
よう
えん
たものが多く、前者を葉、後者を縁といい、縁葉に囲まれた部分を
田相という。
2 綾
織面に経糸・緯糸により織り目が斜めに連なって現れる織物。
3 九条袈裟
僧が出家者の標識として着る法衣を袈裟といい、細長の布を縦に一
定数縫い合わせて横長の形にし、それを縫い合わせる枚数によって
五条、七条、九条、二十五条などの別があり、九条の場合をいう。
4 妙興寺
一宮市にある臨済宗妙心寺派の寺。正平3=貞和4年(1348)
滅宗宗興の創建。足利将軍家の祈願所、後光厳天皇の勅願所として
隆盛。
5 滅宗宗興
1310年∼1382年。南北朝時代の臨済宗の僧。嵯峨源氏の子
はくあんそう い
なん ぽ じょうみょう
孫、尾張中島氏の出身。鎌倉建長寺で柏庵宗意に師事し、南浦 紹 明
の塔を拝してその法を嗣ぐ。尾張妙興寺をひらき、京都竜翔寺にも
し ごう
まねかれた。諡号は円光大照禅師。
6 固地綾
地を三枚綾、文様部分を六枚綾で作るしっかりとした腰の強い織物。
ほう
かりぎぬ
経緯ともに生糸で織り、その後で精錬・染織を行う。袍や、狩衣な
ど装束の多くがこの織物で仕立てられる。
7 袍
まるえり
公家の装束の盤領の上衣。
8 有職織物
公家階級で製作され用いられた織物。
九条袈裟 田相黄地桐竹鳳凰麒麟文綾 条葉薄茶地二重蔓牡丹唐草文綾
(愛知県総務部法務文書課県史編さん室提供)