八幡浜市における農業者年金加入推進の取り組み

八幡浜市における農業者年金加入推進の取り組みについて
愛媛県
八幡浜市農業委員会・JA 西宇和
1. 八幡浜市における農業の概要・特徴
愛媛県八幡浜市は、九州と宇和海を挟んだ対岸に位置し、温暖な気候や水捌けの
良い段々畑を利用して、農地の約97%を占める樹園地で殆どの農家が温州ミカン
や中晩柑等を生産しています。地域では、「日の丸みかん」や「真穴みかん」など
のブランドも確立しています。
温州みかんの収穫期(農繁期)は10月から12月で、中晩柑等を栽培する農家
では5月頃まで収穫するところもあります。すなわち、当市における組織的な農業
者年金加入推進は農繁期を除いて行うため、必然的に1月~9月頃までとなります。
2. 新規加入実績と表彰
(1) 新規加入実績
平成24年度 目標16人 実績19人
平成25年度 目標10人 実績12人(うち、39 歳以下8人、女性7人)
平成26年度 目標10人 実績19人(うち、39 歳以下10人、女性8人)
3. 加入推進の基本的な考え・方針
加入推進にあたっては、次の2点を大切にしています。
① 農業委員が農業者年金について理解すること。
② 農家の将来の為に JA と農業委員会が連携すること。
4. 加入推進の取組
(1) 加入推進対象者名簿の作成・更新
農業委員会事務局で抽出したデータを基として、農業委員・JA 職員が連携
して名簿を作成しています。
(2) 研修会、説明会、広報
八幡浜市における農業委員は、半数以上が一期3年で代わります。平成26
年は改選の年であり、前回の23年には改選で新規加入率が落ち込んだ反省か
ら、新人委員の研修には力を入れました。まずは、農業委員の農業者年金への
理解を深めることが大切です。制度を理解していない者が、制度を説明できる
はずもありません。こういった考えから、事務局で新任農業委員に農業者年金
についての研修を行い、農業者年金基金で研修を受け、農業者年金の加入に熱
心に取り組んでいる九州地方への視察も行いました。また県農業会議の研修や
指導も積極的に受け、農業委員の研修を重ねました。
また、説明会における一例ですが、農業委員会会長の地元である日土地区に
おいて、地域農業者の殆どが参加する農業者主催の勉強会に参加させてもらい、
農業者年金について説明をさせていただいたことで加入者が増えました。説明
の際には、経営主(男性)だけでなく、配偶者(女性)の加入をお願いしたところ、
既に加入している経営主の配偶者(女性)の加入が増え、日土地区の新規加入者
は半数以上が女性の加入者となりました。
広報では、市の広報紙に年数回、農業者年金の紹介文を掲載しています。年
1回発行の農業委員会だよりにも載せていますが、一番効果があると感じるの
は、年末の選挙人名簿登載申請書の送付と一緒に送る農業者年金のパンフレッ
トです。税務申告時期の前に、「公的年金ならではの税制上の優遇措置」とい
うキーワードに反応される方が多く、1月から2月にかけてパンフレットを見
ながら問い合わせをされる方が増えてきました。
(3) 加入推進対策会議等の打合せと個別訪問
① 戸別訪問の実施体制
八幡浜市では、市内を5地区に分け加入推進班をつくりました。各班の構成
員は、農業委員会事務局職員、農業委員、JA 西宇和の各事業所の営農指導担
当者で6~10人です。農閑期の8~9月に各班で加入推進対策会議を開き、
加入推進対象者名簿を確認し、戸別訪問の進め方を協議しました。
② 戸別訪問対象者の決定の仕方
戸別訪問の対象者は、多くは加入推進対策会議の中で決定しています。加入
推進対象者名簿を基本として、名簿にない新規就農者も考慮して決めています。
③ 戸別訪問の実施
加入推進班ごとに加入推進対策会議で日程を設定して戸別訪問しています。
戸別訪問だけでも効果はありますが、特に新規加入者の多い日土地区では、加
入推進班で戸別訪問し、後日、担当農業委員が頻繁に対象者と話しをして、加
入の可能性が高くなれば担当の JA の営農指導員等が詳しい説明や加入手続き
に赴く方法に効果がありました。一度ではなく、何度も説明しながら興味を持
ってもらい、納得いただいた上で JA 職員と連携して加入してもらう、という
方法です。時間はかかりますが、多くの人間が時間をかけて「あなたの将来の
為に」という姿勢で取り組むことにより、少しずつではありますが、過去に失
った農業者年金に対する信頼を取り戻し、新規加入者が増えています。
④ 訪問時の持参資料
訪問時には、農業者年金基金が作成したパンフレットを持参し、その内容に
沿って説明するようにしています。加入要件、政策支援、節税効果などの説明
に必要な項目が一目瞭然で、スムーズな戸別訪問が出来ています。