No. 1 平成26年 4月 9日号

原石を磨く営み
『ダイヤモンドを磨くにはダイヤモンドを使う。同じように人間を磨くのは人間でしかありえない』
私の好きな言葉です。わたしたちは様々な方法を用いて自分自身を磨こうと日々努めています。読書を
したり、趣味に没頭したり、毎日のトレーニングで自分自身に負荷をかけたりするのもそうかもしれま
せん。けれども本当の意味で自身を磨くのはいろいろな人との出会いや接触ではないかと思っています。
学校の使命は子どもたちに確かな学力を身につけさせることには違いありませんが、同時に将来社会の
中で生きていくための素地となる社会性を身につけるところでもあります。言葉を換えると、学校は集
団生活を通して「生きる力」を育む場であるとも言えるかも知れません。
集団で生活することはある意味本当に難しいことです。自分の思いや考えを周囲にしっかり伝えるこ
とが大事ですが、反対に自己主張が強くてもだめな場合があります。また価値観の違う者が集まって生
活するわけですから大なり小なりのストレスは絶対にあるわけです。ですからこうした集団生活におい
ては、旨く自身の感情をコントロールしながら、周りと折り合いをつけていく術が求められます。また
相手の思いや考えをきちんと受け止めながら、自分の考えも相手にしっかり伝えることも必要です。時
には我慢したり、譲歩したりすることも求められます。一方「切磋琢磨」という言葉があります。人と
競い合うことで自分の力をより高め合うことができます。スポーツ選手がよく口にする言葉です。
「わた
しにはライバルがいたからこそ常に努力を重ねられた・・・。
」このように人と人との交わりを通してわ
たしたちは成長していると言っても過言ではありません。
子どもたち一人ひとりはどの子もダイヤモンドの原石であることは間違いありません。限りない可能
性を秘めたその原石を磨いていくのは家庭そして学校という異なった子育ての場の融合でしかありえま
せん。
「この子をこんなふうに育てたい・・・」そんな保護者の思いや願いをしっかり受け止めていくの
が学校の役割でもあります。個の力を如何にして集団の中で生かせるか。学校と家庭のコミュニケーシ
ョンを密にとりながら今年 1 年矢倉小学校の教育活動を進めていきたいと考えています。
桜の花が咲く季節を迎えると、何かしら新鮮な気持ちがふつふつと湧き上がってくるのを実感します。
きっと子どもたちも「今年こそは」と心に期すものを秘めて、新年度を迎えたことと思います。私自身
もこの 4 月より矢倉小学校にお世話になることになりました。心機一転、この学校が子どもたちにとっ
て心ときめく楽しい居場所であり、保護者の皆様から信頼を得るにふさわしい学校となるよう努力して
いきたいと思います。1 年間よろしくお願いいたします。
校長
五十嵐 信博