M.K.さん(6年生)の感話

 感話
M.K.
私は恵泉での六年間で私の人生の糧となるたくさんの人と出会い、
大切なことを学ぶことが出来たと思います。
私に将来の夢のきっかけをくれたのは恵泉でした。私は幼少期を
海外で過ごした経験があり、家では日本語、外では英語という環境
で育ちました。幼いながらもそのような環境にいたせいか、もとも
と英語というものに対する意識として苦手だとか、壁というような
ものを感じることは無く、どちらかと言えば好きな方でした。しか
し、恵泉に入学して、ただ好きだった英語を活用して将来海外で活
躍したいと考えるように発展していきました。
一番のきっかけとなったのは、恵泉での英語の授業です。日々の
授業を通して、宿題をやり、予習や復習もしっかりやるという習慣
が身について徐々に英語の成績が伸び、小さい頃よりももっと興味
がわき、もっと学びたいと思うようになりました。それから進路を
決めるにあたって、私は英語を中心に将来を考えることを決めたの
です。
正直、英語はどこの学校に行っても学びます。しかし、先生の存
在は違います。私の場合、恵泉の先生方に教えて頂いて、英語に興
味を持ちました。中には怖い先生もいらっしゃいましたが、私には
励みになりました。私はこれは一つの運命のようなものだと捉えて
います。
私と同じように、恵泉生活の中で、色々な分野で将来の夢のきっ
かけを見つけた人も多くいるのではないでしょうか。その意味で、
今改めて恵泉に入学して良かったと思います。
私は部活を通して、大切なことを二つ学びました。私はサッカー
部に所属していたのですが、サッカーはご存知の通りチームスポー
ツです。中学生の頃は、チームスポーツは自分のミスが連帯責任に
なるから楽だと安易に考えていましたが、高校生になり、試合に出
場し、後輩たちを引っ張る立場になると、試合に出る、出ない、あ
るいはポジションなどは関係無く、全ての選手に役割があり、その
役割に対してそれぞれが責任を持って行うものであるというチーム
スポーツの意義を身を持って再認識しました。
もう一つ私が学んだ事は、サッカー部において一番大切なのは体
力や技術よりもコミュニケーションであるという事です。私は五年
生の時にキャプテンをやらせて頂きました。その中で、サッカーに
はもちろん体力や技術が必要不可欠だと思うのですが、部活におけ
るサッカーという意味では、それよりも試合中の上下関係の無い選
1
手間のコミュニケーション、あるいは部活中の先輩と後輩のコミュ
ニケーションの方が意味のあることであり、最も重要な事なのでは
ないかという考えに至りました。ですから、私自身、キャプテンと
して、上級生として特にこのコミュニケーションを心掛けたつもり
です。試合の行き帰りの電車で部員達と作戦会議をしたり、試合の
反省をしたりしたことはとても充実した時間でした。引退した今、
足りないことが多かったキャプテンの私をサポートして下さった顧
問の先生方、部員の皆に感謝したいです。
ここまで、恵泉生活で学んだ事を話して来ました。しかし、今ま
での恵泉生活を振り返って、こうすれば良かったと後悔している事
が二つあります。四年生や五年生が私のような後悔を抱かなくても
良くなると良いなという願いを込めて、話します。
一つ目は、先生や友達に頼まれた仕事を面倒くさい、無理だなど
の理由をつけて断ってきてしまった事です。恵泉生活の中で何かと
グループの中でのリーダー、部長、委員長、皆の前で話す代表など、
大きな責任を伴う仕事が多く存在すると思いますが、私自身それら
の仕事を頼まれた時、いつも失敗のリスクを恐れ、逃げてきました。
しかし、家族で「イエスマン」という映画を見て、今までの自分の
行動を後悔しました。この映画は、全ての事においてノーと言い続
け、決して幸せだと言えなかった男性がある事をきっかけにイエス
と言えば人生が変わるとアドバイスされ、色々な依頼や誘いにイエ
スと言うようになってから、様々な新しい体験を通して一気に人生
が良い方向に変わり、最終的に幸せになる事が出来るというストー
リーなのですが、この映画を見て、私は今まで自分に巡って来たせ
っかくのチャンスを自ら無駄にしてきたのだと気付きました。頼ま
れる人は信頼されているから頼まれているのであり、それを無下に
断ってはいけない、多少自分の力量に合っていないと思っても引き
受けるべきです。たとえ結果が失敗であったとしても、やる事で得
られるものがきっとあると思うからです。
二つ目は、メディアセンターをあまり利用しなかった事です。小
学生の時からよく本を読んでいたのですが、恵泉に入ってから五年
生まで勉強や部活などで読書から遠ざかっていました。しかし、部
活を引退してから少し余裕が出来て、再び読書をするようになり、
読書というのは自分が未知の事でも本を通して代理経験をする事が
出来、それを自分に置き換えて、自分ならどうするかと考える事が
重要であり、そこから知識や教養を得る事が出来ると気付きました。
もう少し早く気付けていれば、メディアセンターという本の宝庫を
もっと利用出来たのにと、とても残念に思っています。在校生でい
2
る間に、出来る限りメディアセンターに行って、読書をしたいと思
います。
最後になりますが、この六年間で私が得たもの。最も大きいもの
の一つは友人だと思います。私自身、友人が多い訳ではありません
が、ありのままの自分で話せる友人、困った時に進んで手を差し伸
べてくれる友人に出会えました。もちろん、友人関係に悩まされ、
苦しんだ時期があります。しかしながら、私が恵泉で出会った全て
の友人から学び、彼女達が私の人生をより豊かなものにしてくれ、
私を成長させてくれた事は紛れもない事実であり、良い事も悪い事
も私の人生における大切な糧になったと感じています。そして、も
う一つ自分の成長を陰に陽に支えて下さった担任の先生方に感謝し
たいです。学年が上がるにつれて上級生としての責任やプレッシャ
ー、進路の事などで悩んだ時に叱咤激励をして、勇気付けて下さり、
それによって私自身助けられ、自己成長する事が出来たと思います。
さらにもう一つ、私が恵泉で得たものの中で、これからもずっと
自分に持ち続けたいと思うものがあります。恵泉という場所だから
か、私は自分の考えが他人と多少違っても、自分の意見を主張して
来ました。同じような人もいると思いますが、それは恵泉に通って
いるからこそ存在する事の出来る一つの個性だと思います。ある先
生が、恵泉生で、大学に行くと自分の意見を主張出来なくなる人が
いるとおっしゃっていたのを聞いた事がありますが、それではいけ
ないと思います。恵泉で個性を生かして来たからこそ、より広い社
会に出た時にその個性を発揮すべきではないでしょうか。
私は恵泉で学んだ事、後悔した事、そして得た事を大切にし、特
に個性に関しては、私の中の一本の軸にして、いつでも私らしさを
失わずに生きていきたいです。
3