H25 宮崎公立大学定期公開講座 第2回講座テーマ 神 話 と 文 化 講 師 宮崎公立大学教授 永 松 敦 ●発表要旨 宮崎県は、昨年『古事記』が編纂されて 1300 年目に当たり、観光や地域づくりの面で大 いに沸き、記紀神話に対する関心度が高まった。イザナギが禊をした池、トヨタマヒメが 出産した鵜戸神宮などが脚光を浴びたが、実際には神話の地名を特定させることは極めて 難しい。江戸時代の国学の発達により、日向の地に様々な神話伝説の地が誕生することに なり、これが現在まで踏襲されている。西都市の都萬(つま)神社では、コノハナサクヤ ヒメの伝説を語り、七夕の更衣祭が行われているが、前日に初盆の家の者が高鍋の浜まで 禊にいく習慣が現在も続いている。神話と仏教の行事を併せ持つのである。中世に創られ た神話もまた重要で、記紀には記されない独特な内容が語られる。高千穂町の鬼八伝説は 南北朝期から語られており、神仏習合時代の独特な宗教世界を語り伝えている。今回は、 宮崎でこれまであまり触れられることのなかった神話の仏教的影響について語り、新たな 地域づくりや観光の在り方を問う契機としたい。 ●講師紹介 略 歴 大阪府出身 総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻 博士後期課程修了 博士(学術) 専 門 日本民俗学・日本芸能史 主な著書・ 論文 『狩猟民俗と修験道』白水社 1993 『狩猟民俗研究―近世猟師の実像と伝承―』法蔵館 2005 『阿蘇と草原 環境・社会・文化』 (共著)2012 鉱脈社など。 学会・社会 貢献活動など 日本民俗学会・民俗芸能学会員 日本山岳修験学会評議員 九州民俗学会 会長など 平成 24 年度「『古事記編纂 1300 年記念研究会』 」25 年度は「記紀編纂記 念研究会」を開催中(宮崎市学術研究振興助成事業)。 - 2 -
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