FOMC は予想以上にハト派、FED スピーカーから真意を探る

FX Weekly Report
USD/JPY
18 Sep 2015
FOMC は予想以上にハト派、FED スピーカーから真意を探る
■ 9/21 週のイベント
[重要度]
9/21 23:00 米 8 月中古住宅販売件数
☆
9/22 23:00 米 9 月リッチモンド連銀製造業指数
☆
9/24 21:30 米 8 月耐久財受注
☆☆
9/24 21:30 米
新規失業保険申請件数
☆☆
9/24 23:00 米
新築住宅販売件数
9/25 06:00 米
イエレン米 FRB 議長講演
9/25 21:30 米
4-6 月期 GDP 確定値
☆
☆☆☆
☆
■ 9/21 週の見通し ( ドル円予想レンジ :116.50-122.00)
今週のドル円相場は、週初は本邦の金融政策決定会合、黒田日銀総裁の記者会見で、準備預金への付利撤廃など追加期
待ムードが海外勢を中心に盛り上がった状態で、会合 2 日目を迎えた。日銀は金融政策の現状維持を 8 対 1 で決定、黒田
日銀総裁は「物価目標 2%に達するのは 2016 年度前半ごろになる」
「量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮している」
など、物価目標達成に向けて自信を見せたことなどで、失望した海外勢のドル売りから、119.40 円まで下落したが続かず、
金利市場でも FOMC での利上げを織り込み始め、米短期金利が上昇、FOMC 直前には 121 円手前まで上昇した。FOMC で
は FF 金利誘導目標を現行の 0-0.25%に据え置くとともに、声明では「委員会はいくらかのさらなる労働市場の改善が見ら
れ、インフレが中期的に目標の 2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利引き上げが適切であると予想」とインフレ
のさらなる改善が必要との認識が示された。また、イエレン米 FRB 議長は「賃金は引き続き伸び悩んでいる」
「インフレは
今後、数か月も極めて低い水準に」と発言、更に、
「世界経済には多くの不確実性が存在」
「中国と新興市場を重点的にみて
いる」と初めて外的環境に配慮を示した。一方、FOMC メンバーの 2015 年末以降の FF 金利誘導目標でも、全ての年末時
点での見通しが下方修正され、総じてハト派的な内容となったことで、ドル/円は 119.80 円まで下落、週末のドル売りが
先行して 119.66 円まで下げるも、中国人民銀に絡んだマネーフローもあり、120.40 円まで跳ね上がる場面があったが、
買い一巡後はドルが下落した。
来週は住宅関連件数(中古・新築)と耐久財受注が予定されている。その前の 20 日には中間派(ハト派寄り)のウイリアム
ズ米サンフランシスコ連銀総裁と中間派(タカ派寄り)のブラードセントルイス連銀総裁の講演が予定されている。イエレン
米 FRB 議長に近いウイリアムズ総裁の発言は週明けの為替市場の方向性を決める可能性があるため注意が必要。また、ロ
ックハート米リッチモンド連銀総裁(タカ派)の講演が 22 日、23 日、24 日と続くため、タカ派と目される FED スピーカー
がハト派寄り発言をしたときにはドルのもう一段安につながる可能性が高い。一方で、住宅関連指標はゆっくりではあるが
回復傾向を示しており、耐久財受注の中でも GDP の関連するコア資本財出荷の伸びが示されれば、7-9 月期の実質 GDP を
押し上げる可能性が示されることで、FED が 12 月の利上げを実施する期待感が市場に醸成されよう。そうなれば、FOMC
を受けて一気にハト派寄りとなった市場センチメントは改善し、ドルの下落も本年 3-4 月で下値が堅くなった 118.30-50
円レベルでは下げ止まる公算が高くなる。
来週のドル円予想レンジは、先週の予想(116.50-123.00)からレンジ上限を 122 円に引き下げた。米 FOMC でハト派
色が強いことがベースとなっている。テクニカル分析でみても、21 日移動平均線でレジストされていること、日足/一目均
衡表/転換線を下抜けたこと、日足/ストキャスティクス(スロー)がデッドクロスしていることから、ドルの下方圧力が継続
するだろう。足許では、9/4 安値(118.59 円)がサポートとなるが、この水準を突破されてしまうと、下降トレンドとなる
可能性が高い。この場合は 8/24 安値(116.22 円)が目標値として意識されることになる。
このレポートの記載事項はその内容を保証するものではありません。また、為替やその他いかなる商品について売買を推奨するも
のではございません。為替レートは参考値であり上田ハーロー株式会社の取引レートを保証するものではありません。このレポー
トの情報・分析・予測でいかなる損害が生じたとしてもその責を負いません。内容の無断転載・コピーを禁止します。
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E EU UR R, ,G GB BPP
188 Sep
2015
May 2015
不透明感続くも GBP の基調は強いか?
EUR/USD 日足
■ 9/21 週のイベント
[重要度]
9/21 15:00 独 8 月生産者物価指数
☆
9/22 23:00 欧 9 月消費者信頼感
☆
9/23 17:00 欧 製造業 PMI
☆
9/23 17:00 欧 サービス業 PMI
☆
9/24 17:00 独 9 月 IFO 企業景況感指数
☆
■ 9/21 週の見通し
EUR/USD 予想レンジ:1.1200-1.1600
週初は FOMC を控えてポジション調整的な動きが先行したことから、EUR は 1.13 ドル後半から 1.12 ドル前半へと軟化。FOMC
では金融正常化を見送り、声明もハト派的と USD 売りが強まった他、Fed の世界経済に対する慎重姿勢が株価や新興国市場への
不安を顕在化させる格好となったことからリスクオフに伴う EUR 買いの動きも見られ、1.1440 ドル台まで上昇した。
FOMC の利上げ見送りにより USD 売りとなったことは想定の範囲内ではあったが、株価や新興国市場へ配慮した判断を受けて、
当該市場の懸念を増大させるという皮肉な結果に。世界経済の下振れリスクは一朝一夕に収束するものではないだけに、不透明感
が継続する環境はリスクオフの EUR 買いを想起させるが、一方で「キャリーのアンワインド」と説明されるフローがどれだけ継
続するものなのかと言うことに対しては疑問も残る。短期筋主体の「アンワインドを想定した EUR 買い」が主体の上昇であれば
その上値余地は限定的との感が強い他、ECB が EUR 高を歓迎しないスタンスであることから、仮にその動きが強まったとしても
1.16 台を見ることが精一杯か。対して下押し材料は、ECB の追加緩和観測と市場の落ち着きに伴うキャリー等の EUR 売りが主体
となりそうではあるが、現状、欧ファンダメンタルが原動力となり相場が展開する可能性が低い他、来週の欧経済指標の影響力を
鑑みると、リスクオンムードが強まるか、或いは調整的に USD が値を戻す等の材料の影響力が高そうだ。20 日に予定されている
ギリシャ総選挙では与党 SYRIZA の内紛が同党の支持率を急低下させ、最大野党新国民民主党と拮抗する展開となっているが、ど
ちらが勝っても過半数を獲得する可能性は低く、中道的な政党と連立せざるを得ない状況となっている。EUR にとって最大のリス
クとなる反緊縮政権の誕生する可能性が低いという意味では大きなイベントとはなり難そうだ。相場は不透明感に包まれており、
短中期では 1.16 台のショートも魅力的に映るが、現実的にはリスクオン/オフを材料にデイトレードが無難な対応か。
GBP/USD 予想レンジ:1.5450-1.5900
FOMC 前のポジション調整に 1.5320 台まで軟化した GBP ではあったが、8 月インフレ指標が強く、8 月雇用関連指標で賃金の上
昇傾向が顕著となると、金融引き締め期待等に上昇。FOMC 後の USD 売り地合も相俟って 1.5620 台まで反発する流れとなって
いる。欧酒造会社による大型 M&A 案件も GBP 買い(EUR 売り)をサポートしたものと思われる。
英金融引き締め期待・利上げのライバル通貨 USD の失速・本邦や欧州からの大型買収と「好条件」が揃い GBP は反発基調を取り
戻した形。市場のリスク選好度は低いままであり、積極的な GBP 買いは期待できないが、消去法的に英ポンドが選好される地合
は整っていることから、1.60 ドルを目指す展開を予想する。来週は影響力の高い英経済指標の発表が予定されておらず、USD の
強弱と市場のセンチメントが方向感を決定する相場となりそうではあるが、GBP 優位の材料が同通貨を下支え、リスクオン等の条
件が整えば GBP 選好が強まる展開を想定している。
このレポートの記載事項はその内容を保証するものではありません。また、為替やその他いかなる商品について売買を推奨するも
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FX Weekly Report
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AUD,NZD
18 Sep 2015
来週本邦シルバーウィーク市場流動性に注意!!
豪ドル円予想レンジ
NZ ド ル 円 予 想 レ ン ジ
■9/18 週のイベント
85.00-90.00 円
75.00-78.00 円
[重要度]
09/22
10:30
豪
第 2Q 住宅価格指数
☆☆
09/23
10:45
中
CAIXIN 製造業 PMI・速報値
☆☆☆
09/24
07:45
NZ 8 月貿易収支
☆☆☆
■9/18 週の見通し
今週の豪ドルは堅調に推移。週末に発表された 8 月中国鉱工業生産・8 月固定資産投資が市場予想を下回り、14 日アジア時間帯には中国株
式市場が下落、AUDJPY は 84.93 円、AUDUSD は 0.70627 ドルまで下落した。その後、米ドルが全般的に売られ相対的に豪ドルか買われ
AUDJPY は 86.32 円、AUDUSD は 0.7164 ドルまで上昇。15 日に公表された RBA 議事要旨で「政策金利の据え置きは適切」「世界経済の
成長見通しは下振れリスクが増した」「豪ドルの下落が成長を支援する見込み」との見解が示されたほか、本邦日銀の金融政策決定会合及び
黒田日銀総裁の記者会見を受けた円買いで、AUDJPY84.94 円まで下落、AUDUSD も米金利上昇を受けた米ドル買いで相対的に、0.7105 ド
ルまで値を下げるも、15 日 NY 時間に NZ 乳製品大手のフォンテラの電子入札で前回比 16.5%上昇し、NZ ドルが買われ、豪ドル追随した
ほか、16 日中国株式市場で、引けにかけて急激に買い戻され、欧州、NY の株式市場も底堅く推移したことや、FOMC 理事会後の米ドル売り
の相対的な動きで、豪ドルは買いが加速し、一時 AUDJPY は 86.99 円、AUDUSD は 0.7231 ドルまで上昇した。(9/18 時点)
来週の豪ドルは、豪国内では重要な経済指標は予定されておらず、中国の経済指標や前日の FOMC 理事会を受けた米ドルの動きに加え、原
油先物市場や金利動向、株価動向を見ながらの展開が予想される。注目される WTI 原油先物相場は、16 日米エネルギー省が発表した週間在
庫統計で予想に反してガソリン在庫は増加、原油在庫が減少していたことで、買いが進行し 1 バレル=45 ドル前半から、47 ドル台まで上昇
した。今週豪国内では RBA 議事要旨が公表された。「世界の経済成長は下振れリスクが増加したが、オーストラリアの貿易相手国の成長率
の見通しを変更するまで過度ではない」「豪経済は豪ドルのさらなる下落によって貿易収支をから促進される」「経済·財政状況に関する新
しい情報を基に金融政策を判断することが適切」との見解が示され公表後は、豪ドル売りで反応したものの、一時的となった。また、今週は
豪与党が党首選挙の開催し、アボット首相に党首交代を求めたマルコム・ターンブル氏を新党首に選出した。総選挙を来年に控え、景気回復
の遅れや緊縮財政策が不評を買いアボット政権の支持率は低迷していた。ただ、政権与党内での党首後退であるために、金融政策に大幅な変
更はないと思われるが、マルコム・ターンブル氏は会見で、「守りに入ってはならない」と述べ、ハト派的なアボット氏に比べ、経済回復に
向け積極的に取り組む意向を示したこともあり、豪国内の不動産価格の高騰や、中国経済悪化でのコモディティー価格の下落を受けた豪国内
の景況感回復に向けての積極的な金融緩和政策が期待される。また、米国では前日 FOMC 理事会が開催され、FF 金利の誘導目標を 0.0%か
ら 0.25%の範囲に据え置くことを決めたと発表。声明でも「委員会はいくらかのさらなる労働市場の改善が見られ、インフレが中期的に目
標の 2%に向かうとの合理的な確信が持てた時、金利引き上げが適切であると予想」、米雇用環境と共にインフレのさらなる改善が必要との
認識が示されたために、現状の原油先物市場や中国の状況を勘案すると、年内利上げの可能性も低くなり、米ドルは急落。米長期金利も低下
し、株式市場は堅調な推移となったことで、米ドルの相対的な動きに加え、リクスオフの展開も豪ドルにはポジティブに働いた。来週は、豪
と交易関係の高い中国では、9/23 に 9 月 CAIXIN 製造業 PMI・速報値が発表される。市場予想は 47.3。8 月中国貿易収支で輸出・輸入とも
に大幅減となったほか、8 月 PPI の悪化、さらには 13 日に発表された 8 月中国鉱工業生産・8 月固定資産投資も悪化するなど、一向に回復
の兆しが見えてこない。ただ、8 月に行った対米ドルの人民元基準値合計 4.6%の切り下げは、短期的なスパンでの効果が期待できるとの思
惑もあり、市場の一部ではポジティブな見方がされている。個人的には、PMI は 46.8~47.00 へと悪化すると思われ、指標結果に呼応した
中国株式市場のボラタイル動きには注意が必要。特に、9/23 は本邦がシルバーウィーク中で祝日ということもあり、ここ最近の「中国株式
市場の下落が日経平均波及し下落するも・・年金関連に買い支えられる」といった動きが出来ないために、欧州、NY の株式市場でパニック
セルが起こる可能性が高く、為替市場では円買い・ドル買いとなりクロス円は下落。特に交易関係の深い豪ドルは急落する可能性がある。
このレポートの記載事項はその内容を保証するものではありません。また、為替やその他いかなる商品について売買を推奨するも
のではございません。為替レートは参考値であり上田ハーロー株式会社の取引レートを保証するものではありません。このレポー
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