~「財産及び債務の明細書」から「財産債務調書」へ整備~ 平成27 年2

平成 27 年 2 月 16 日
No.487
~「財産及び債務の明細書」から「財産債務調書」へ整備~
平成 27 年度税制改正大綱が、平成 27 年 1 月 14 日に閣議決定されました。今回の改正のうち納税環境整備の
項目において、
「財産及び債務の明細書」が、新たに、所得税及び相続税の適正な課税・徴収の確保を図る観点から
「財産債務調書」として整備されます。改正案では現行制度を基本としていますが、提出基準の要件が追加される
ため、提出すべき対象者は現行制度より絞られることとなります。その一方で、対象者については記載事項の追加
及び記載すべき財産の価額等の見直しにより、書類作成に係る負担は増加するものと考えられます。
なお、この改正は平成 28 年 1 月 1 日以降に提出すべき財産債務調書から適用されます。
1.現行制度 ~ 平成 27 年提出分(平成 26 年分の確定申告)
(1)名称 : 「財産及び債務の明細書」
(2)提出基準 : 平成 26 年の所得金額が 2 千万円超であること
(3)記載事項 : 財産の種類、数量及び価額
(注)国外にある財産についても記載が必要です。ただし、
「国外財産調書」を提出する方は、
「財産及び債
務の明細書」に記載する必要はなく、備考欄に「国外財産調書に記載のとおり」と記載することとさ
れています。
(4)記載すべき財産の価額
土地建物や骨とう品等については、その年 12 月 31 日現在の見積価額や取得価額
有価証券については、その年 12 月 31 日現在の価額(計算が困難な場合等は取得価額)
(注)前年の明細書の提出の有無、また、財産の種類に応じて異なります。
2.改正案 ~ 平成 28 年以降提出分(平成 27 年分以降の確定申告)
赤字の部分が現行制度と異なります。
(1)名称 : 「財産債務調書」
(2)提出基準
その年分の所得金額が2千万円超であること
かつ 次の①又は②を満たす者
① その年 12 月 31 日において有する財産の価額の合計額が 3 億円以上
② その年 12 月 31 日において有する所得税法に規定する有価証券等の価額の合計額が 1 億円以上
(注)所得税法に規定する有価証券等とは、平成 27 年度税制改正により創設される予定の「国外転出を
する場合の譲渡所得等の特例」の対象資産をいい、所得税法第 2 条 17 項に規定する有価証券若し
くは匿名組合契約の出資の持分又は決済をしていないデリバティブ取引、信用取引若しくは発行日
取引とされる予定です。
(3)記載事項
国外財産調書の記載事項と同様の事項
(注)同様の事項とは、財産の種類、数量及び価額のほか財産の所在、有価証券の銘柄等をいう。
また、国外にある財産についても記載が必要です。ただし、
「国外財産調書」を提出する方は、
「財産債
務調書」に記載する必要なく、備考欄に「国外財産調書に記載のとおり」と記載することとされていま
す。
(4)記載すべき財産の価額
時価(見積金額とすることもできる。
)
(注)有価証券等については、取得価額の記載も必要です。
(5)過少申告加算税等の特例(新たに創設)
財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置
3.注意事項
提出基準である所得金額には、上場株式等の配当及び株式等の譲渡による所得のうち、確定申告をしないことを選択
したものは含みませんが、これらの所得につき確定申告を選択した場合や、不動産の譲渡による臨時的な所得の発生に
より所得金額が 2 千万円を超え、要件に該当する場合には提出する必要がありますのでご注意下さい。
(担当:木田 高志)