所得税法

第 66 回税理士試験
解答速報
所得税法
本解答は平成 28 年 8 月 12 日 15 時 30 分に学校法人大原学園が独自に作成したもので、予告なしに内容を変更する場
合があります。また、本解答は学校法人大原学園が独自の見解で作成/提供しており、試験機関による本試験の結果等に
ついて保証するものではありません。
本解答の著作権は学校法人大原学園に帰属します。無断転用・転載を禁じます。
所得税法
本試験模範解答
〔第一問〕
問1(35 点)
1
〔1〕概 要(8 点)
納税管理人の届出をすることなく海外に移住する場合には出国に該当し、居住者Aは次の確定申告の
種類に応じた手続をすることとなる。
確定所得申告
出国の時までに確定申告(準確定申告)の手続をしなければならない。また、原則として第 3 期(平
成 29 年 2 月 16 日から 3 月 15 日)においても確定申告の手続をしなければならない。
還付等を受けるための確定申告
申告期間の定めなく確定申告の手続ができる。
確定損失申告
出国の時までに確定申告(準確定申告)の手続をすることができる。また、原則として第 3 期(平
成 29 年 2 月 16 日から 3 月 15 日)においても確定申告の手続をすることができる。
〔2〕確定所得申告(法120①、措法41の2の2④二)(2点)
居住者は、その年分の総所得金額等の合計額が雑損控除その他の所得控除額の合計額をこえる場合に
おいて、総所得金額等から所得控除額を控除した後の金額を課税所得金額とみなして各別に税率を適用
して計算した所得税の額の合計額が、配当控除額及び住宅借入金等年末調整控除額の合計額をこえると
きは、確定損失申告書を提出する場合を除き、第 3 期において、税務署長に対し、確定所得申告書を提
出しなければならない。
〔3〕還付等を受けるための確定申告(法 122①②)(2 点)
居住者は、その年分の所得税につき所得税額の計算上控除しきれなかった外国税額控除額、源泉徴収
税額もしくは予納税額があるためこれらの金額の還付を受ける場合又は外国税額の控除不足額の繰越等
の規定の適用を受けるため必要がある場合には、確定所得申告書を提出すべき場合及び確定損失申告書
を提出できる場合を除き、税務署長に対し、還付等を受けるための申告書を提出することができる。
〔4〕確定損失申告(法 123①)(2 点)
居住者は、次のいずれかに該当する場合において、その年の翌年以後において純損失もしくは雑損失
の繰越控除の適用を受け、又は純損失の繰戻し還付を受けようとするときは、第 3 期において、税務署
長に対し、確定損失申告書を提出することができる。
その年において生じた純損失の金額がある場合
その年において生じた雑損失の金額がその年分の総所得金額等の合計額をこえる場合
その年の前年以前 3 年内の各年において生じた純損失の金額及び雑損失の金額(前年以前において
控除されたもの及び純損失の繰戻し還付の計算の基礎となったものを除く。
)の合計額が、その年分
の合計所得金額をこえる場合
〔5〕復興特別所得税の確定申告(1 点)
確定所得申告(復興法 17①③④)
所得税の確定所得申告書を提出すべき者は、一定の事項を記載した復興特別所得税申告書を、その
確定所得申告書の提出期限までに、その申告書に併せて税務署長に提出しなければならない。
-1-
資格の大原 本文中無断転載禁
還付等を受けるための確定申告(復興法 17②③④)
所得税の還付等を受けるための申告書を提出する者は、一定の事項を記載した復興特別所得税申告
書を、還付等を受けるための申告書に併せて税務署長に提出しなければならない。
確定損失申告(復興法 17②③④)
所得税の確定損失申告書を提出する者は、一定の事項を記載した復興特別所得税申告書を、確定損
失申告書に併せて税務署長に提出しなければならない。
〔6〕出国の場合の確定申告(法 127①②③)(6 点)
確定所得申告
居住者が年の中途において出国をする場合において、その年 1 月 1 日からその出国の時までの間に
おける総所得金額等について確定所得申告書を提出すべき場合に該当するときは、その者は、確定損
失申告書を提出する場合を除き、その出国の時までに、税務署長に対し、確定所得申告書を提出しな
ければならない。
還付を受けるための確定申告
居住者が年の中途において出国をする場合において、その年 1 月 1 日からその出国の時までの間に
おける総所得金額等について還付を受けるための申告書を提出できる場合に該当するときは、その者
は、確定所得申告書を提出すべき場合及び確定損失申告書を提出できる場合を除き、税務署長に対し、
還付を受けるための申告書を提出することができる。
確定損失申告
居住者が年の中途において出国をする場合において、その年 1 月 1 日からその出国の時までの間に
おける純損失の金額もしくは雑損失の金額又はその年の前年以前 3 年内の各年において生じたこれら
の金額について、確定損失申告書を提出できる場合に該当するときは、その者は、その出国の時まで
に、税務署長に対し、確定損失申告書を提出することができる。
-2-
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2
〔1〕国外転出をする場合の譲渡所得等の特例及び納税管理人の届出の有無による相違点(法 60 の 2①)
(6 点)
国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう。以下同じ。
)をする居住者が、有
価証券等を有する場合には、その者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算につい
ては、その国外転出の時に、次の区分に応じ次に掲げる金額により、その有価証券等の譲渡があったも
のとみなす。
その国外転出をする日の属する年分の確定申告書の提出の時までに納税管理人の届出をした場合
……その国外転出の時におけるその有価証券等の価額に相当する金額
以外の場合……その国外転出の予定日から起算して 3 月前の日(同日後に取得をした有価証券等
にあっては、その取得時)におけるその有価証券等の価額に相当する金額
〔2〕当該特例が適用除外となる要件(法 60 の 2⑤)(3 点)
〔1〕の規定は、国外転出をする時に有している有価証券等の価額に相当する金額が 1 億円未満であ
る居住者又は国外転出をする日前10年以内に国内に住所もしくは居所を有していた期間の合計が5年以
下である居住者については、適用しない。
〔3〕当該特例の適用がなかったものとすることができる場合(5 点)
内 容(法 60 の 2⑥⑦)
① 国外転出の日の属する年分の所得税につき〔1〕の適用を受けるべき個人が、その国外転出の日
から 5 年(納税猶予の期限の延長の届出をした場合には 10 年)を経過する日までに帰国をした場
合には、その帰国の時まで引き続き有している有価証券等については、その者のその年分の事業所
得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上その譲渡がなかったものとすることができる。
② ただし、その計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠蔽又は仮装があった場合には、その
隠蔽又は仮装があった事実に基づく所得については、この限りでない。
修正申告(法 151 の 2①)
国外転出の日の属する年分の所得税につき確定申告書を提出し、又は決定を受けた者は、その申告
書又は決定に係る年分の総所得金額等のうちに ①の適用があることにより、その年分の所得税につ
き修正申告書を提出できる場合に該当するときは、帰国の日から 4 月以内に、税務署長に対し、修正
申告書を提出することができる。
更正の請求(法 153 の 2①)
国外転出の日の属する年分の所得税につき確定申告書を提出し、又は決定を受けた者は、その申告
書又は決定に係る年分の総所得金額等のうちに ①の適用があることにより、その年分の所得税につ
き税額等が過大となる場合又は損失の金額等が過少となる場合には、帰国の日から 4 月以内に、税務
署長に対し、更正の請求をすることができる。
-3-
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問2(15 点)
〔1〕概 要(4 点)
雑所得の基因となる元本債権の回収が不能となった場合には、その回収が不能となった年分の雑所
得の金額を限度として、その年分の雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
各種所得の金額の計算の基礎となる収入金額等の回収が不能となった場合には、その各種所得の金
額の計算上、なかったものとみなす。
履行に伴う求償権が行使不能となった場合には、その行使不能となった金額として一定
保証債務の
の金額を回収不能となった金額とみなして、各種所得の金額の計算上、なかったものとみなす。
の場合において、前年以前の申告等に係るものについては、更正の請求をすることができる。
〔2〕事業上の債権以外の債権が回収不能となった場合(9 点)
雑所得の基因となる元本債権(法51④)
貸倒れによる損失の金額は、その者のその損失の生じた日
居住者の雑所得の基因となる元本債権の
の属する年分の雑所得の金額(この規定の適用前)を限度として、その年分の雑所得の金額の計算上、
必要経費に算入する。
各種所得の金額の計算の基礎となる収入金額等(法64①)
その年分の各種所得の金額(事業所得の金額を除く。)の計算の基礎となる収入金額又は総収入金
動産所得又は山林所得を生ずべき事業から生じたものを除く。)の全部又は一部を回収するこ
額(不
とができないこととなった場合には、その各種所得の金額の合計額のうち、その回収することができ
ないこととなった金額に対応する部分の金額は、その各種所得の金額の計算上、なかったものとみな
す。
償 行使不能額がある場合の特例(法64②③)
求 権の
① 内 容
履行するために資産(棚卸資産等を除く。)を譲渡した場合において、その履行に伴
う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなったときは、その行使することができ
ないこととなった金額(不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費
保証債務を
に算入されるものを除く。)は回収することができないこととなった金額とみなして、各種所得の
金額の計算上、なかったものとみなす。
② 申告要件
①の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に一定の事項の記載があり、かつ、一定の
添
書類の 付がある場合に限り適用する。
〔3〕更正の請求(2点)
通
通
国税 則法の原則( 則法23①)
納税申告書を提出した者は、〔2〕
由
の事実が生じたことにより、その申告書の提出により納付
すべき税額が過大となること等の事 が生じたときは、その申告書に係る国税の法定申告期限から5
年以内に限り、税務署長に対し、更正の請求をすることができる。
所得税法の特則(法152)
確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者は、その申告書又は決定に係る年分の各種所得の金
額につき、〔2〕
由
の事実が生じたことにより、納付すべき税額が過大となること等の事 が生じ
たときは、その事実が生じた日の翌日から2月以内に限り、税務署長に対し、更正の請求をすること
ができる。
-4-
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Z-66-C 〔第二問〕 答 案 用 紙
問1
1 各種所得の計算
(単位:円)
区 分 及 び 金 額
不動産所得
計
算
の
過
程
・
留
意
点
1 総収入金額
① 賃貸料収入
28,800,000+534,000-76,000=29,258,000
20,867,311
(注)敷金は収入計上なし
② 更新料収入 900,000
①
①
①
③ 共益費収入
576,000+24,000-4,000=596,000
①
④ 合計
①~③の計=30,754,000
-5-
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(単位:円)
区 分 及 び 金 額
不動産所得
計
算
の
過
程
・
留
意
点
2 必要経費
① 租税公課
926,400+308,800=1,235,200
② 損害保険料 42,600
①
①
③ 修繕費 312,600
④ 借入金利子 582,391
⑤ 水道光熱費 183,627
⑥ 仲介手数料・管理料 2,944,000
-6-
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(単位:円)
区 分 及 び 金 額
不動産所得
計
算
の
過
程
・
留
意
点
⑦ 減価償却費
イ 建物
132,275,800×0.9×0.022=2,619,061
①
ロ 給排水設備
(イ) 5,162,000×0.9×0.066=306,623
(ロ) 206,480-5,162,000×5%≦0
1
(ハ)(5,162,000×5%-1)× =51,620
5
(ニ) 206,480-1=206,479
(ホ) (ハ)<(ニ) ∴51,620
①
ハ アスファルト舗装
(イ) 927,800×0.9×0.100=83,502
(ロ) 92,780-927,800×5%=46,390
(ハ) (イ)>(ロ) ∴46,390
①
ニ ノートパソコン
259,200<300,000 ∴259,200
①
ホ 合計額
イ~ニの計=2,976,271
-7-
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(単位:円)
区 分 及 び 金 額
不動産所得
計
算
の
⑧ 専従者給与 960,000
①
⑨ 貸倒引当金繰入額 0
①
過
程
・
留
意
点
⑩ 必要経費合計額
①~⑨の計=9,236,689
3 青色申告特別控除前の所得金額
1-2=21,517,311
4 青色申告特別控除額
3>650,000 ∴650,000
①
5 所得金額
3-4=20,867,311
-8-
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(単位:円)
区 分 及 び 金 額
計
利子所得
算
私募公社債 17,452(源分)
普通 172(源分)
①
の
過
程
・
留
意
点
①
0
配当所得
中間 126,000
期末 157,500
①
283,500
給与所得
収入金額 3,652,600
給与所得控除額
①
3,652,600×20%+540,000=1,270,520
2,382,080
雑所得
- =2,382,080
組合債 1,524
株主 10,000
①
①
11,524
-9-
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(単位:円)
区 分 及 び 金 額
計
算
の
過
程
・
留
意
点
一時所得
0
退職所得
<判定>
3 年 11 月→4 年
①
4 年≦5 年 ∴特定役員退職手当等
14,400,000
①
収入金額 16,000,000
退職所得控除額
400,000×4 年=1,600,000
- =14,400,000
非課税所得
①
①
納税準備預金の利子は非課税
宝くじの当せん金は非課税
総所得金額
20,867,311+283,500+2,382,080+11,524=23,544,415
23,544,415
-10-
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2 所得控除額の計算
(単位:円)
区 分 及 び 金 額
社会保険料控除額
①
計
算
の
過
程
・
留
意
点
462,800+1,273,200=1,736,000
1,736,000
小規模企業共済等
掛金控除額
①
840,000
生命保険料控除額
新契約
8,000≦20,000 ∴8,000
①
旧契約
50,000
120,000>100,000 ∴50,000
+ =58,000>40,000 ∴40,000
>40,000 ∴50,000
地震保険料控除額
①
26,500
-11-
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(単位:円)
区 分 及 び 金 額
計
配偶者控除額
算
の
過
程
・
留
意
点
専従者のため適用なし
①
0
配偶者特別控除額
専従者のため適用なし
0
扶養控除額
長女 836,320-650,000≦380,000 ∴630,000
長男 控除対象扶養親族に該当しないため適用なし
①
①
630,000
基礎控除額
380,000
所得控除額合計額
1,736,000+840,000+50,000+26,500+630,000+380,000=3,662,500
3,662,500
-12-
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3 課税される所得金額等の計算
(単位:円)
区 分 及 び 金 額
課税総所得金額
計
算
の
過
程
・
留
意
点
23,544,415-3,662,500=19,881,000(千円未満切捨)
19,881,000
課税退職所得金額
14,400,000 (
〃
)
4 税額等の計算
(単位:円)
区 分 及 び 金 額
す
課税総所得金額に対 る税額
計
算
の
過
程
・
留
意
点
19,881,000×40%-2,796,000=5,156,400
5,156,400
す
課税退職所得金額に対 る税額
14,400,000×33%-1,536,000=3,216,000
3,216,000
す
課税退職所得金額に対する税額の
課税総所得金額に対 る税額及び
5,156,400+3,216,000=8,372,400
合計額
8,372,400
-13-
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(単位:円)
区 分 及 び 金 額
配当控除
計
算
の
過
程
・
留
意
点
19,881,000>10,000,000
①
283,500×5%=14,175
14,175
差引所得税額
8,372,400-14,175=8,358,225
(基準所得税額)
8,358,225
復興特別所得税額
8,358,225×2.1%=175,522
やり方①
175,522
復興特別所得税の額
所得税及び
8,358,225+175,522=8,533,747
8,533,747
泉徴収税額
源
16,000,000×20.42%+159,900+126,000×15.315%+157,500×15.315%=3,470,517
②
3,470,517
-14-
資格の大原 本文中無断転載禁
(単位:円)
区 分 及 び 金 額
復興特別所得税の
所得税及び
計
算
の
過
程
・
留
意
点
百
8,533,747-3,470,517=5,063,200( 円未満切捨)
申告納税額
5,063,200
復興特別所得税の
予定納税額(第 1 期分・第 2 期分)
所得税及び
①
3,240,000
復興特別所得税の
所得税及び
第 3 期分の税額
②
1,620,000+1,620,000=3,240,000
5,063,200-3,240,000=1,823,200
1,823,200
-15-
資格の大原 本文中無断転載禁
問2
1 各種所得の計算
(単位:円)
区 分 及 び 金 額
計
算
の
過
程
・
留
意
点
事業所得
1,234,567
不動産所得
△417,856
給与所得
4,682,400
譲渡所得
譲渡損益
総短 720,000
総長 △1,725,638
総合課税
①
△1,005,638
離
△1,725,638+720,000=△1,005,638
譲渡損益
分短 △1,683,000
分 課税
①
通算
2,069,000
分長 3,752,000
通算
△1,683,000+3,752,000=2,069,000
(注)
一時所得
1,846,000-500,000=1,346,000
(注)1,846,000>500,000 ∴500,000
①
1,346,000
雑所得
68,500
-16-
資格の大原 本文中無断転載禁
(単位:円)
区 分 及 び 金 額
総所得金額
計
算
の
過
程
・
留
意
点
損益通算
417,856>345,678 ∴345,678
6,083,470
△
△1,005,638+1,346,000=340,362 やり方①
( 417,856+345,678)+1,234,567+4,682,400+68,500=5,913,289
やり方①
1
5,913,289+340,362× =6,083,470
2
①
譲渡所得の金額
長期
2,069,000
-17-
資格の大原 本文中無断転載禁
2 所得控除額の計算
(単位:円)
区 分 及 び 金 額
計
算
の
過
程
・
留
意
点
失
雑損控除額
損 額
①
(注 1)損失発生事由が災害・盗難・横領でないため、母の現金 5,000,000 円は雑損控除の対
象とならない ①
(注 2)宝石(時価)476,000 円は生活に通常必要でない資産に該当するため、雑損控除の対
象とならない ①
足切額
500,000+72,000+127,000=699,000
0
1
(6,083,470+2,069,000)× =815,247
10
- <0 ∴0
以外の
雑損控除
配偶者控除 380,000
所得控除額
扶養控除 380,000
①
母 1,365,000-1,200,000≦380,000
その他 1,683,600
2,443,600
あり ①
∴適用
~ の計=2,443,600
所得控除額合計
2,443,600
-18-
資格の大原 本文中無断転載禁
3 課税される所得金額の計算
(単位:円)
区 分 及 び 金 額
課税総所得金額
①
計
算
の
過
程
・
留
意
点
6,083,470-2,443,600=3,639,000(千円未満切捨)
3,639,000
譲渡金額
課税長期
①
2,069,000 (
〃
)
-19-
資格の大原 本文中無断転載禁
□合格ラインの読み□
理論問題は、ボリュームの多い問題でしたが、全体的な難易度は高くない問題であり、多くの受験生が
解答範囲を迷うことなく解答できたと思います。従いまして、正確な記述が求められる問題であったと考
えられます。
問題は、総合問題 2 題の出題であり、全体的な難易度は例年と比較して低い問題でした。ボリュー
ムも少ない問題であったことからも、ミスすることなく得点できたかどうかが重要なポイントです。
全体としては、例年に比べ難易度が低い問題であり、高得点の勝負になると考えられます。
〔第一問〕
問 1 は、確定申告の種類ごとにおける出国時及び第 3 期の確定申告についての問題と国外転出時課税制
度についての問題でした。
確定申告の種類ごとにおける出国時及び第 3 期の確定申告については「確定所得申告」、「還付等を受
けるための確定申告」及び「確定損失申告」並びに「年の中途で出国する場合の確定申告」等が解答範囲
として挙げられます。出国時の確定申告だけでなく、原則として第 3 期においても確定申告を要すること
について触れられたかどうか、また、「納税管理人の届出をすることなく海外に移住する」という設定で
あるため、「出国に該当する」という旨に触れられたかどうかがポイントであったと考えられます。
また、国外転出時課税制度については、問題の指示に従い「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」、
「納税管理人の届出の有無による相違点」、「適用除外となる要件」及び「特例の適用がなかったものと
することができる場合」をそれぞれ理論テキスト通りに解答することになります。創設から間もない規定
であり、模擬試験等で充分な対策を講じてきた論点であるため、手応えを感じた受験生は多かったものと
考えられます。
問 2 は、事業上の債権以外の債権が回収不能となった場合の取扱いを問う問題で、「雑所得の基因とな
る元本債権」、「各種所得の計算の基礎となる収入金額等」、「求償権の行使不能額がある場合の特例」
及び「更正の請求」が解答範囲として挙げられます。問 2 についても、オーソドックスな理論問題であっ
たため、解答作成には難なく取り掛かれたのではないかと考えられます。
理論問題全体としては、答案用紙が問 1 に 4 枚、問 2 に 2 枚と解答ボリュームの多い問題でしたが、計
算問題の解答後に理論問題に戻って解答することもできたと考えられるため、時間の許す限り答案を書い
て得点を稼ぐことが必要であったと考えられます。
〔第二問〕
問 1 は、不動産所得を中心とした申告納税額までを計算する総合問題で、賃貸料や敷金等の総収入金額
算入額の計算、租税公課や損害保険料等の必要経費算入額の計算、減価償却費の計算並びに利子等、配当
等の所得区分及び非課税の判定等の論点が出題されました。全体的に難易度が低かったため、正確な解答
ができたかどうかがポイントであったと言えます。
問 2 は、損益通算及び所得控除を中心とした課税所得金額までを計算する総合問題で、不動産所得に係
る損益通算の特例、雑損控除の対象資産の判断等の論点が出題されました。問 2 についても難易度が低く、
ミスなく解答できたかどうかがポイントであったと言えます。
なお、答案用紙に「留意点」とあったことから、金額で表すことができない論点等について、適用の有
無等をコメントしアピールすることで、アドバンテージを取ることができると考えられます。
計算
踏
ボーダーラインは理論 37 点、計算 43 点、合計 80 点前後になると思われ、合格確実
ラインは合計 88 点以上になると思われます。
以上を まえると
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