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2015.10.9 Fri.
経済
日本以上に「アジア」へのダメージ大
中国経済「減速」が各国経済に与える影響
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中国経済に対する不安から世界的な株価下落が生じている。背景には、中国経済の減速が世界に伝染する懸念があるようだ。今回は、
当研究所が行った最新の試算から、中国経済の減速がもたらす各国への影響についてご紹介する(※「新興国懸念を高める中国リスク」
『みずほインサイト』http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/mk150827.pdf もご参照ください)
。
と、それだけで世界の成長率が0.16%押し下げられるこ
とになるが、今回の試算では、貿易を通じた影響が各国
近年の中国経済の高成長とそれに伴う輸入の拡大から、
に波及することにより、世界全体が0.24%下押しされる
世界経済は以前より中国の景気動向に影響を受けやすい
という、IMF試算を上回る結果になった。
構造になっている。
新興国の資金流出や株安が実体経済に与える影響を加
特に対中依存度が高いアジアでは、中国減速の影響を
味すれば、実際の影響は試算結果を上回ることもありう
受けやすい。今回行った試算では、中国の成長率が1%
る。そのため、中国経済減速の影響が株価暴落の段階か
低下した場合に、世界経済の成長率が0.24%下押しされ
ら、貿易を通じて新興国を中心に実体経済へ伝染してい
るとの結果が得られた。地域別でみると、下押し圧力は
くという悪循環が起こるのではないかとの不安も台頭し
アジアを中心とした新興国で相対的に大きくなる。その
ている。また、そうした実態面の不安が新興国、もしく
ため、中国経済が減速すれば、新興国で景気下押しを通
は新興国企業のクレジットに影響を与え得ることに注視
じた株安・通貨安圧力が高まりやすい。新興国で資金流
が必要となる。
出や株安が実際に起きると、中国経済の減速による影響
(チーフエコノミスト 高田 創)
は、さらに大きくなる可能性もある。
図 中国経済の成長率が1%減速した場合の各国成長率への影響
中国における地域別輸入構造をみると、アジアからの
輸入が多く、その他、欧州からの輸入も大きい。中国経
済減速の影響をみるには、対中貿易がGDP(国内総生
産)に対してどの程度の規模になるかをつかむ必要があ
るが、NIEs(新興工業経済地域)では対中貿易がG
DPの15%に達し、ASEAN(東南アジア諸国連合)
でも8%になるなど、中国経済への依存度が高い。また、
欧州の対中輸出は、金額としてはアジアに次ぐ規模であ
り、その結果、間接的に欧州依存度が高い中東欧などに
まで中国経済減速の影響が及ぶ。
図は、中国経済の成長率が1%減速した場合の各国成
長率への影響を示したものである。中国の成長率が1%
低下した場合、世界全体では成長率が0.24%押し下げら
れるが、日本の成長率の低下幅は0.2%と世界全体の平均
を下回る。一方、アジア諸国は影響を受けやすく、なか
でも台湾、マレーシア、フィリピン、韓国への影響が大
きい。また、鉄鉱石や石炭を中国に輸出するオーストラ
リアも中国経済減速の影響を受けやすい。
■ アジア諸国は中国経済減速の影響が大
■ 実際の影響は試算を上回る可能性も
IMF(国際通貨基金)によれば、2014年の中国経済
は世界全体に占めるシェアが購買力平価ベースで16%
になっている。そのため、中国の成長率が1%低下する
(注)2014 年の経済構造をもとに試算。
(資料)IMF、世界銀行よりみずほ総合研究所作成
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