FORUM-M事務局 みずほ総合研究所株式会社 https://www.forum-m.jp/ Copyright(C)みずほ総合研究所 2015 無断転載を禁ず 2015.10.9 Fri. 経済 日本以上に「アジア」へのダメージ大 中国経済「減速」が各国経済に与える影響 記事に関するご照会先:会員事業部 高宇知(TEL 03-3591-7907) FAX 送信に関するご照会先:FORUM-M 事務局(TEL 03-3591-7769) 中国経済に対する不安から世界的な株価下落が生じている。背景には、中国経済の減速が世界に伝染する懸念があるようだ。今回は、 当研究所が行った最新の試算から、中国経済の減速がもたらす各国への影響についてご紹介する(※「新興国懸念を高める中国リスク」 『みずほインサイト』http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/mk150827.pdf もご参照ください) 。 と、それだけで世界の成長率が0.16%押し下げられるこ とになるが、今回の試算では、貿易を通じた影響が各国 近年の中国経済の高成長とそれに伴う輸入の拡大から、 に波及することにより、世界全体が0.24%下押しされる 世界経済は以前より中国の景気動向に影響を受けやすい という、IMF試算を上回る結果になった。 構造になっている。 新興国の資金流出や株安が実体経済に与える影響を加 特に対中依存度が高いアジアでは、中国減速の影響を 味すれば、実際の影響は試算結果を上回ることもありう 受けやすい。今回行った試算では、中国の成長率が1% る。そのため、中国経済減速の影響が株価暴落の段階か 低下した場合に、世界経済の成長率が0.24%下押しされ ら、貿易を通じて新興国を中心に実体経済へ伝染してい るとの結果が得られた。地域別でみると、下押し圧力は くという悪循環が起こるのではないかとの不安も台頭し アジアを中心とした新興国で相対的に大きくなる。その ている。また、そうした実態面の不安が新興国、もしく ため、中国経済が減速すれば、新興国で景気下押しを通 は新興国企業のクレジットに影響を与え得ることに注視 じた株安・通貨安圧力が高まりやすい。新興国で資金流 が必要となる。 出や株安が実際に起きると、中国経済の減速による影響 (チーフエコノミスト 高田 創) は、さらに大きくなる可能性もある。 図 中国経済の成長率が1%減速した場合の各国成長率への影響 中国における地域別輸入構造をみると、アジアからの 輸入が多く、その他、欧州からの輸入も大きい。中国経 済減速の影響をみるには、対中貿易がGDP(国内総生 産)に対してどの程度の規模になるかをつかむ必要があ るが、NIEs(新興工業経済地域)では対中貿易がG DPの15%に達し、ASEAN(東南アジア諸国連合) でも8%になるなど、中国経済への依存度が高い。また、 欧州の対中輸出は、金額としてはアジアに次ぐ規模であ り、その結果、間接的に欧州依存度が高い中東欧などに まで中国経済減速の影響が及ぶ。 図は、中国経済の成長率が1%減速した場合の各国成 長率への影響を示したものである。中国の成長率が1% 低下した場合、世界全体では成長率が0.24%押し下げら れるが、日本の成長率の低下幅は0.2%と世界全体の平均 を下回る。一方、アジア諸国は影響を受けやすく、なか でも台湾、マレーシア、フィリピン、韓国への影響が大 きい。また、鉄鉱石や石炭を中国に輸出するオーストラ リアも中国経済減速の影響を受けやすい。 ■ アジア諸国は中国経済減速の影響が大 ■ 実際の影響は試算を上回る可能性も IMF(国際通貨基金)によれば、2014年の中国経済 は世界全体に占めるシェアが購買力平価ベースで16% になっている。そのため、中国の成長率が1%低下する (注)2014 年の経済構造をもとに試算。 (資料)IMF、世界銀行よりみずほ総合研究所作成 Management Flash はEメールですべての社員の方に配信ができます。登録は会員専用HP(https://www.forum-m.jp/)をご覧下さい。 次回の FORUM-M Management Flash は 10 月 13 日(火)に「強くて頼れる人脈を築く『6つの心掛け』 」をお届けします。2015.10.9
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