2015年度 須磨学園高等学校 入学試験問題 国語 出題の意図

2015年度 須磨学園高等学校 入学試験問題
国語
出題の意図
全体について
例年と同じく、「小問集合」・「評論」・「小説」・「古典」から出題しています。
一は基礎知識に関する出題です。二は評論文を題材とした文章理解に関する出題です。
三は小説文を題材とした文章理解に関する出題です。四は古文を題材とした文章理解
に関する出題です。文章の内容自体は基礎的ですが、限られた時間のなかで、どれだけ
正確に文章を読み、手際良く解答できるかがポイントになっています。
各問題について
一
問一
基本的な国語知識に関する問題です。受験生の語彙力を試しています。
文学史に関する問題です。須磨学園の所在地である神戸(兵庫県)ゆかりの作家
を知っておいてほしいという意図で出題しました。
問二
文学史に関する問題です。平素から国語便覧を活用する態度が身についているか
どうかを確認するために出題しました。
問三
表現に関する問題です。出題頻度の高い修辞である比喩について理解できている
かどうかを確かめています。
問四
故事成語に関する問題です。出題に際しては、頻度の高いもの、基本的なものを
選びました。故事成語とその意味とが理解できているかどうかを確かめています。
問五
漢字の構成に関する知識を問う問題です。
問六
ことわざに関する問題です。出題に際しては、頻度の高いもの、基本的なものを
選びました。ことわざとその意味とが理解できているかどうかを確かめています。
問七
敬語に関する問題です。敬語はコミュニケーションを円滑にします。昨今誤った
「敬語」をよく耳にしますが、社会で通用する正しい使い方が理解できているかどう
かを確かめています。
二
環境問題について、「近代」とは何かを踏まえながら述べられた文章です。現代の
環境問題はその地域に限定されたものではなく、地球規模で影響を受ける問題となっ
ています。筆者は慈円らの思想に触れながら、グローバルな環境基準を語るためには
「ローカルであること」が重要であると述べています。国際化がもたらすさまざま現
代社会の問題についても、一つの指針となるものとなっています。
出典 桑子敏雄『環境の哲学 日本の思想を現代に活かす』
問一
基本的な漢字知識とともに、傍線部前後の文脈への理解力を問う問題です。
問二
傍線部の理由を理解する問題です。身体の配置が人間の個性の源泉であることを
踏まえ、地球環境というグローバルな問題をローカルに行動することで考えるという
逆説的な論旨を読解する力を試しています。
問三
抽象的な表現が示す内容を把握する問題です。類義の表現を頼りに読み取る力を
試しています。
問四
文法に関する問題です。自立語と付属語の違いを踏まえた文節の知識を確かめて
います。
問五
傍線部の内容を説明する問題です。「ローカルであること」が普遍性とは相反す
る価値観であることを、本文の論理の展開に沿って読み取る力を求めています。
問六
脱文補入の問題です。本文のキーワードの一つである「グローバリゼイション」
とは何か、「都市」という一例から近代について理解する力を確認しています。
問七
筆者の主張を問う問題です。グローバリゼイションが進行する現代社会において
「ローカルであること」が軽んじられてはならない、ということを慈円の例から読み
取る力を確認しています。
三
主人公「僕」が「藤木」と親密になりたいと画策するが、その願いが叶わずに帰途
につくという小説文です。「藤木」がことば少ない青年として描かれているため、理
解しにくいところもありますが、情景描写を細かく読み取ったり、流れを丁寧かつ忠
実にたどって問題を解いてもらいたいと考え、作成しました。
出典 福永武彦『草の花』
問一
語彙に関する問題です。日頃から辞書をひき、文脈に照らし合わせて考える態度
が身についているかどうかを試しています。
問二
抽象的な表現の内容を文脈から読み取る問題です。「何もかもがうまく行きそう
な気がして」向かった「藤木」の家で「藤木」と会話した内容が何であったのかを丁
寧に読みとることができているのかを確認しています。
問三
登場人物の思考を文脈から読み取る問題です。この場面だけでなく、「僕」がど
んな気持ちで「藤木」のところにやってきたのかなど、前半部分の内容も考慮して答
えを導き出す必要があります。
問四
比喩表現に注目し、その内容を読み取る問題です。
「とてつもなく大きな蛾の翅」
が意味するものを文脈に照らし合わせて、イメージできるかどうかを確認しています。
問五
登場人物の心情を表現に即して読み取る問題です。「がらんと」した車内で「肌
寒い風」を受け、「暗い窓の外」を見つめるのはすべて「僕」です。描写されている
風景を正確にイメージし、傍線部前後の流れを整理して理解できるかがポイントです。
問六
心情を示す空欄に入るのに適切な語句を選ぶ問題です。空欄以降に述べられてい
る心情表現にも着目する必要があります。
問七
本文全体を理解し、表現の特色をとらえられているかを問う問題です。人物の心
情やその情景を押さえること、また文章の叙述に表れている特徴を見つけるなど、文
脈を丁寧に読み取る読解力を確かめています。
四
有名な「猿楽者」(即興的な滑稽を演じる者、ひょうきん者)であった家綱、行綱
兄弟の話から出題しました。かつて弟に出し抜かれた兄が、仕返しをする話です。受
験生の学力を考慮して、適宜傍訳と注を施しています。古典の知識としては、例年通
り「歴史的仮名遣い」「主語判別」を出題しました。
出典 『十訓抄』
問一
歴史的仮名遣いのことばを現代仮名遣いに書き直す問題です。
問二
傍線部直前の指示語の内容を把握する問題です。直前の文に施されている傍訳を
参考にすればそれほど難しくはなかったと思います。
問三
助動詞「ん(む)」の訳し方を問う問題です。「む」の主な意味は、推量と意志
の二つです。また、「む」が「ん」と表記されている事もあるという知識も問うてい
ます。
問四
傍線部の主語を問う問題です。特に古文の文章では、主部(誰が)と述部(どう
だ)とのつながりがしっかり意識できているかどうかは重要です。そういう観点で文
章を読むことができているかどうかを確かめています。
問五
古語の解釈についての問題です。文脈から正答が得られるかどうかを問うていま
す。下にある「御興」という語とのつながりで解答する必要があります。
問六
係り結びの法則を理解しているかどうかを問う問題です。
問七
問題文全体の要点が理解できているかどうかを問う問題です。傍線部の直前にあ
る「たがひにはかられたりける、をかし」や「先年の答」の内容の理解に基づいて、
「筆者」の感想を理解するのがポイントです。注までしっかり目を通して全文を解釈
し、解答する必要があります。