情報社会学科

Department of Socio-Information Studies
情報社会学科
■ 情報社会学科の教育理念 ………………………………………………………
社会の情報化とネットワーク化が進み、私たちの生活はとても便利で快適なものとなりましたが、
その一方で、プライバシー侵害や著作権の問題、人間関係の希薄化の問題など、新しい問題が次々
に生じています。情報社会学科では、情報技術や情報システムの可能性や危険性などを理解したう
えで、主にメディアとコミュニティという 2 つの観点から情報社会の目標や課題を考えていきま
す。そして、多様な専門家との協働の場を形成し、新しい情報社会をデザイン・実現できる人材を
育成します。
■ カリキュラムの特徴 ……………………………………………………………
情報社会学科では、情報社会の仕組みと諸問題を考察・分析する社会的視点・知識を形成し、情
報技術や情報システムの本質を理解して人間、環境、情報技術が調和する情報社会を構想し、企画・
提案・実践する能力を育成します。そのためにメディアとコミュニティという 2 つの学習体系、さ
らにその土台となる「基盤領域」、2 つの学習体系をつなぐ「融合領域」という学習領域が置かれて
います。フィールドワーク・実習を通じての問題解決能力、国際感覚やコミュニケーション能力、
情報収集・分析力、プレゼンテーション能力などの育成を目指します。
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■ 履修科目例 ………………………………………………………………………
4年次
卒業研究
3年次
都市地域政策論
公共圏論
メディア文化論
地域情報マネジメント
異文化コミュニケーション論
サイバーテクノ思想論
フィールドリサーチ
情報学方法論演習
ジャーナリズム論
コミュニティ系
2年次
社会調査法
コミュニティ・デザイン論
都市デザイン論
メディア系
情報社会思想
グローバリゼーションと社会
電子メディア論
メディア・スタディーズ
ネット文化産業論
1年次
パブリック・ガバナンス論
コミュニティ・メディア実習
美術とメディア
情報学総論
社会調査論
メディア・リテラシー
プログラミング
コミュニケーションスキルズ
情報社会概論
学習マネジメント
リーディング スキルズ
コミュニケーション・メディア史
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Department of Socio-Information Studies
情報社会学科
■ 授業紹介 …………………………………………………………………………
メディア・スタディーズ
週末の天気、昨日のメジャーリーグの試合結果、タレントの結婚。メディアのおかげで、私たち
は実に多くの情報を知っています。けれども、メディアを介して知ることと現実に体験することは
同じではありません。人間は自分の顔を直接眼で見ることができない代わりに鏡を使いますが、鏡
の中の顔は左右逆になります。メディアが映し出す世界とは、鏡に写った映像のようなものです。
講義で「静大情報学部生」のイメージを書いてもらったところ、右下のような画像が出来上がり
ました。もちろん情報学部生全員がコンピュータおたくではありません。これらは誰が見てもわか
りやすいよう特徴を誇張して作られた表現です。このような「加工」や「選択」は、私たちがメディ
アを使って情報のやりとりをするときに必ず起こってくることです。
メディアが私たちの世界を映し出す仕組みを理解すると、私たちの考え方やものの見方、コミュ
ニケーションにメディアがどのように関わっ
てくるのかが具体的に見えてきます。
情報化とともに新しい情報技術が次々と開
発される中、私たちはメディアの単なる受け
手からメディアの使い手=情報発信者へと変
わってきています。この授業では、メディア
の社会的役割やメディア表現の持つ可能性と
課題をしっかり意識することで、これからの
情報社会におけるメディアのあり方を受講生
自身が考えるための土台を作っていきます。
■ 卒業後の進路……………………………………………………………………
情報社会学科の研究室出身者の多くは卒業後、情報の共有や創造に関して蓄えた力を活かして、
メディア企業や広報・広告の職種、あるいは ICT 業界に進みます。また社会デザインへの問題意識
を発揮する場として公務員や金融機関、運輸・交通業などに進む学生、大学院に進学し、さらに研
究を深める学生など、進路は多様です。
■卒業生の進路
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情報の共有と創造
情報社会学科
コミュニティ
理系入試
文系入試
メディア
大学院
進学
メディア企業
ICT業界
広報・広告
通信・放送・情報サービス
情報活用とデザイン
公務員
保険・金融
交通・都市基盤
企画・営業・サービス
高岡智子 研究室
音/音楽と社会の関わりを学問する
鑑賞したり演奏したりするだけが「音楽をする」ことでしょうか。高岡研究室では、映画、ア
ニメ、ゲームなどを中心に、その音/音楽がつくられたのはなぜか、政治、社会、技術との結び
つきから読み解いていきます。
わたしたちの身の回りに溢れる音/音楽は作曲家や編曲家や演奏家によってのみつくられてい
るわけではありません。自然の音はもちろん、コンサート会場に集まる観客の声や熱気もまた音
/音楽を構成する一部です。その一方で、米軍がイラクで使用している非殺傷兵器 LARD など音
響兵器が開発されています。20 世紀以降、音/音楽は
ときに積極的に政治、社会、技術の力を活用し、また
ときに否応なくそれらの力に翻弄されているのです。
少し堅苦しいことを書きましたが、面白いこと、な
んだかヘンだと思うこと、これらを突き詰めていくこ
とが研究の第一歩だと考えています。音楽について考
え、音/音楽がつくられた社会の仕組みを解き明かす。
音楽の社会的な側面に触れることで、世の中をあらた
な視座から見つめることを目指しています。
ゼミ合宿で訪れた松本市美術館中庭にて
中澤高師 研究室
「情報」による紛争解決を考える
中澤研究室では、迷惑施設問題の研究を通じて、現代社会の抱える矛盾を解明し、解決に向け
たコミュニケーションのあり方を模索しています。ごみ処理場、刑務所、飛行場、基地、社会福
祉施設、原発、あるいは風力発電といった施設は、その「必要性」が主張される一方で、周辺地
域にあたえる影響から地域住民の反対を引き起こしています。この問題を解決するためには、対
立する個人・集団間のコミュニケーションのあり方を分析し、どうすれば相互理解を形成するこ
とができるのか考える情報学的なアプローチが必要になります。また、迷惑施設問題は、民主主
義、科学コミュニケーション、環境的正義、
地方自治、差別・偏見、社会経済的格差、地
域社会構造、政策形成など、現代社会におけ
る様々な重要テーマと密接に繋がっており、
学生は自らの問題意識にもとづいて学習・研
究 を 広 げ て い く こ と が で き ま す。皆 さ ん に
とっても他人事ではないこの問題、一緒に考
えてみませんか?
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