丸亀市橋梁長寿命化修繕計画

丸亀市橋梁長寿命化修繕計画
平成大橋
平成 27年 1月
丸亀市 建設水道部 建設課
1.長寿命化修繕計画策定の背景および目的
(1)背景
丸亀市が管理する道路橋(橋長2m以上)は、平成26年11月時点で517橋存在してい
ます。一般的に老朽化の目安となる建設後50年を経過する橋梁は、現時点では、13橋で全
体の3%です。しかし、このまま推移すれば、20年後には117橋(23%)を占めるな
ど、建設後50年を経過する老朽化橋梁は急増することになります。
近い将来、適正な維持管理を行わなければ老朽化による落橋や通行止めが発生し、長期間の
通行制限による社会的損失が発生するほか、膨大な架替え経費が短期的に発生し大きな損失を
生じることが懸念されます。
現在(平成26年)
13橋(3%)
20年後(平成46年)
117橋(23%)
図1.1 建設50年を超える橋梁数の推移
(2)目的
前述の事態を防止するためには、橋梁の状態を客観的に把握・評価し、中長期的な観点か
ら、いつ、どの橋梁にどのような対策を行うのかが最適であるかを考慮し、橋梁長寿命化のた
めの計画的かつ効率的な管理を行うことが不可欠です。
そこで、従来の対症療法的な橋梁管理から、計画的かつ効率的な予防管理へ転換し、橋梁の
長寿命化による修繕等にかかる経費のコスト縮減を図るとともに、地域の道路網の安全性・信
頼性を確保するため、「橋梁長寿命化修繕計画」を策定します。
(3)丸亀市の橋梁の状況(橋梁点検結果)
長寿命化修繕計画の基礎資料とするため、平成20∼25年度に橋長2m以上の橋梁517
橋に対して橋梁点検を実施しました。この点検結果によると、健全性の高い損傷区分a, bの橋
梁が90%、劣化が進みつつある損傷区分cの橋梁が8%となっています。また、健全性の低
い損傷区分d, eの橋梁が2%あり、これらの橋梁については優先的に修繕を行う予定です。な
お、緊急対応が必要な橋梁はありませんでした。
c, 8%
b, 7%
d, 1%
e, 1%
凡 例
損傷区分
a, 83%
a;
b:
c:
d:
e:
損傷なし
局所的に損傷が発生している
損傷が発生している
局所的に著しい損傷が発生している
著しい損傷が発生している
図1.2 丸亀市の橋梁の状況
図1.3 コンクリート橋の損傷状況
図1.4 鋼橋の損傷状況
※ 各損傷区分の統計は、部材および損傷の種類毎の損傷区分を集計した。
2.長寿命化修繕計画を策定する対象橋梁
今回、丸亀市が管理する道路橋517橋(平成26年11月時点)を対象として長寿命化修
繕計画を策定しました。以下に道路種別毎の丸亀市の管理橋梁数と平成26年度計画策定橋梁
数を示します。
表2.1 丸亀市の管理橋梁数と平成26年度計画策定橋梁数
市道1級
市道2級
市道その他
全管理橋梁数
109
58
350
うち橋長15m以上の管理橋梁数
19
6
26
19
6
26
うちこれまでの計画策定橋梁数
うちH26年度計画策定橋梁数
109
58
350
合計
517
51
51
517
※ H21年度に橋長15m以上の橋梁51橋に対して長寿命化修繕計画を策定しました。今回は橋長15m
以上の橋梁を含めた橋長2m以上の橋梁517橋に対して長寿命化修繕計画を策定しました。
土器川橋 (昭和10年架設)
桜谷橋 (平成10年架設)
図2.1 丸亀市管内の橋梁
3.健全度の把握及び日常的な維持管理に関する基本方針
(1)健全度の把握の基本的な方針(定期点検の実施)
橋梁の架設年度や立地条件等を十分考慮して橋梁点検を実施するとともに、長寿命化修繕計
画で対象とした橋梁については、「橋梁点検マニュアル(案):平成26年9月(香川県土木部道
路課)」に基づいて、定期点検(5年に1度)を実施し、橋梁の損傷度を早期に把握します。
(2)日常的な維持管理に関する基本的な方針
橋梁を良好な状態に保つため、日常的な維持管理として、道路パトロール、清掃などを行い
ます。
図3.1 定期点検の様子
4.対象橋梁の長寿命化及び修繕・架替えに係る費用の縮減に
関する基本的な方針
(1)背景
これまでの橋梁維持管理は、劣化が顕著化した時点でその都度、劣化状況に応じた修繕を行
う「対症療法型」であり、そのような維持管理では60∼75 年の寿命といわれていました。
それを「予防保全型」の修繕を行い、橋梁寿命を100 年に長寿化することにより、予防保全
による修繕費等は増加しますが、長期的な視野で橋梁の更新をなくすことにより、修繕と更新
(架替え)を合わせたライフサイクルコスト(LCC)の縮減を可能にします。
図4.1 長寿命化のイメージ
(2)LCC 試算、最適工法の設定
予防保全による長寿命化を考慮して、
現時点から50年目をLCC計算の目安
とし、そのLCCが最も安価となる最適
な修繕時期・工法案を橋梁ごとに設定し
ます。
図4.2 修繕タイミングの決定方法
2015
(3)最小LCC の算定
現時点から50年間を長期計画と位置
工法を行った場合にかかる年間の総コス
2045
2055
2,500,000
2,000,000
100,000
1,500,000
80,000
60,000
1,000,000
40,000
累積事業費(千円)
LCC試算で設定された最適な補修時期、
2035
120,000
事業費(千円)
づけて、今回策定する517橋に対して、
2025
140,000
500,000
トを最小LCCとして計算します。
20,000
0 2015
2025
2035
2045
2055
0
年
図4.3 最小LCC のイメージ
2015
(4)予算平準化の実施
最小LCC として算定された50年
て、予算の平準化を行います。
2045
2055
2,500,000
2,000,000
1,500,000
80,000
60,000
1,000,000
40,000
500,000
20,000
0 2015
2025
2035
2045
2055
年
図4.4 予算平準化のイメージ
0
累積事業費(千円)
100,000
事業費(千円)
部材の損傷度、橋梁の重要度を勘案し
2035
120,000
間のコストに対して、1年間の修繕に
にかけることが可能な予算を踏まえ、
2025
140,000
5.橋梁長寿命化修繕計画による効果
長寿命化修繕計画を策定する517橋について、今後50年間の事業費を比較すると、従来
の対症療法型が124億円に対し、長寿命化修繕計画の実施による予防保全型が19億円とな
り、コスト縮減効果は105億円となります。
また、損傷に起因する通行制限等が減少し、道路の安全性・信頼性が確保されます。
14,000
6,000
予防保全型
事業費
予防保全型
対象療法型
12,000
対症療法型
5,000
予防保全型(累
積) 対象療法型
105億円の縮減
事業費(百万円)
4,000
10,000
8,000
3,000
6,000
2,000
4,000
1,000
累計事業費(百万円)
予防保全型
累積事業費
2,000
0
0
2015∼2024年
(今後10年間)
2025∼2034年
(今後20年間)
2035∼2044年
(今後30年間)
2045∼2054年
(今後40年間)
2055∼2064年
(今後50年間)
図5.1 長寿命化修繕計画の効果
※ 上記の費用は、今後点検や修繕を実施していく過程で見直す可能性があることから、固定されるも
のではなく、またこの計画により将来の予算を担保するものではありません。
6.計画策定担当部署および意見をいただいた有識者
(1)計画策定担当部署
◇ 丸亀市 建設水道部 建設課
問い合わせ先:0877-24-8813
(2)意見をいただいた有識者
今回の計画策定に際しては、検討会を行い、
有識者より助言をいただきました。
◇ 有識者
香川高等専門学校
准教授 林 和彦
図6.1 意見聴取会の様子