神奈川県立湘南台高等学校に於けるシチズンシップ教育について 校長 川口 英一 まなびや 「高校は、生徒の自己実現を支援する学舎である。生徒の援助者としての意識を強く持 って、深い生徒理解に基づき、教科指導、教科外指導に取り組んでいただきたい。」 平成25年4月、本校の職員に向け、校長として、そのように話しました。 自己実現とは、簡単に言えば、「なりたい自分になる」ということですが、勿論、わが まま勝手に生きるということではありません。また、進路実現とも違います。進路実現は、 重要なことではありますが、自己実現に至る一つのプロセスに過ぎません。 自己実現とは、かけがえのない存在である自分自身として、より良く生きる、充実した 人生を送るということであると考えます。 100人いれば、100通りの自己実現があるでしょう。 一人一人の生徒にとって、様々な自己実現の形が、可能性が広がっていると言えます。 同時に、すべての生徒にとって共通した将来像もあります。 それは、数年後には「主権者になる」ということです。卒業後の進路は個々に違っていて も、将来、主権者として一票の権利を行使するということ、市民として、その義務と責任 を果たすということです。 主権者として、市民として、自ら考え、判断し、行動できる、「良き市民」として積極 的に社会に関わることのできる、その「基盤となる力」を育むのが高校三年間であり、本 校の教育活動すべてが、将来の主権者、良き市民づくりに収斂されていく、そのように考 えます。 シチズンシップ教育は、一般的には、キャリア教育の一翼を担うものと整理され、神奈 川県教育委員会も、政治参加教育・司法参加教育・消費者教育・道徳教育を4本柱として 説明しておりますが、本校では、これは、言わば「狭義のシチズンシップ教育」であり、 寧ろ、キャリア教育を含む教育活動のすべて、教科指導・教科外指導すべてが、将来の「良 き市民づくり」に収斂されていくという考え方から、これを「広義のシチズンシップ教育」 と呼んでいます。 平成 22 年度から 24 年度の3年間、「総合的な学習の時間」と現代社会や政治・経済な ど公民科の科目が連携して、政治参加教育と司法参加教育を中心にシチズンシップ教育の 推進に取り組んで参りました。平成 25 年度からは、 「総合的な学習の時間」を核としつつ、 公民科だけではなく、すべての教科・科目が、「広義のシチズンシップ教育」の観点に立 って教科指導に取り組むことにしました。 良き市民として主体的に生き、積極的に社会参画するには、情報を分析し判断する力、 整理して表現する力等が必要となります。すべての教科・科目に於いて、習得・活用・探 究のプロセスを学習に取り入れ、個人学習・グループ討議・全体協議等、学習のねらいに 即した学習形態を工夫、研究、実践し、本校に於けるシチズンシップ教育の取り組みを、 さらに充実したものにしたいと考えております。 -1-
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