再生可能エネルギーの買取義務者の変更に対する意見を提出しました

2015 年 11 月 24 日
経済産業大臣
林 幹雄 様
資源エネルギー庁再生可能エネルギー導入促進制度改革小委員会
委員長 山地 憲治 様
再生可能エネルギーの買取義務者の変更に対する意見
東京都生活協同組合連合会
会長理事 伊野瀬 十三
当会は、東京都内で285万人の組合員が加入する79の生協が構成する生活協同組合連合会です。
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の甚大なる被害を教訓とし、2011年に「東京都
生協連の目指すエネルギー政策」を定め、原子力発電の依存率を可能な限り引き下げ、再生可能エネル
ギーの普及・拡大などエネルギー政策の転換をすすめていくための諸活動をすすめています。
さて、9月25日に行われた「第2回再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会」にて、固
定価格買取制度(以下FIT)における再生可能エネルギーの買取義務者についての検討が行われ、買
取義務者を送配電事業者に一本化する方向で論議がされています。国民のエネルギー選択の権利が狭ま
ることや、再生可能エネルギー発電の広がりが停滞する懸念から、以下の通り意見を申し述べます。
記
FITの買取義務者として送配電事業者だけではなく、小売電気事業者も対象にするよう求めます。
理由1.国民のエネルギー選択の権利が狭まることへの懸念
送配電事業者が全てのFIT電源の買取をすることになると、小売電気事業者が再生可能エネルギー
由来の電力を特定・表示して消費者に供給することは事実上困難になります。小売電気事業者がFIT
を利用しない方法で再生可能エネルギーを購入するという選択肢はありますが、消費者が日常的に活用
できる価格で提供することは現実的に困難な環境となります。
地球温暖化や原子力発電所等問題の解決や地方の活性化に向け、積極的に再生可能エネルギーを普及
拡大し、利用したいという消費者や事業者は少なくありません。再生可能エネルギーの価格が多少高く
とも選択しようというグリーンコンシュマーやCSRを果たそうとする企業等がエネルギーを自らの
意思で自由に選べる権利や活動の広がりを阻害する懸念が否めません。消費者にエネルギーの電源構成
などの情報公開が担保され、消費者自らがエネルギーを選択できるような制度となるよう求めます。
理由2.再生可能エネルギー発電の広がりが停滞してしまう懸念
この間の再生可能エネルギー発電が全国的に広がりをみせている理由として、発電事業者・小売電気
事業者双方にとってFITを活用した安定的・継続的な事業が見通せる環境が整っていることに加え、
FIT以外の事業的インセンティブや地域活性に向けたメリットも見込めることがあげられます。
発電事業者にとっては、買取義務者が送配電事業者に限定されてしまうと、小売電気事業者が今まで
電源確保のために支払ってきたプレミアム収入がなくなるとともに、地域おこしの一環として再生可能
エネルギー事業を軸とした都市部との連携をすすめてきた地方団体や事業者にとっても、中長期的な視
点で事業を断念せざるえない事態にもつながる可能性があります。
一方、小売電気事業者にとっても、市場競争を優位にすすめるための再生可能エネルギーや地域限定
といった付加価値が利用できなくなるため、今まで以上に低コストの電源調達が必要となります。しか
しながら、低コストの観点だけでは、既存の大型発電設備を持っている事業者が圧倒的に有利に立って
おり、小規模な小売電気事業者が参入もしくは事業継続することは難しくなります。
私たちは、東京電力福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさせないために、原子力発電に
依存しない持続可能なエネルギーとして再生可能エネルギーの普及、拡大を最優先にすすめるべきであ
ると考えます。FITは、再生可能エネルギーの普及、拡大に大きな役割を発揮しています。買取義務
者を送配電事業者に一本化することによって、これまで築きあげられた上記のような様々な取り組みが
抑制されることのないよう求めます。
以上