2016年度東京都予算に関する提案および要望 重点要望事項

2015年7月24日
東京都知事
舛添 要一 殿
東京都生活協同組合連合会
会長理事
伊野瀬 十三
2016年度東京都予算に関する提案および要望
東京都におかれましては、日頃より都民生活の向上に関するさまざまな施策を積極的に推進
していることに、あらためて敬意を表します。
現在、東京の生協は、約290万人の組合員を擁し、自治体別組織は東京都全体で世帯数の
32%を超え、9つの市では過半数を超える世帯が生協組合員となっています。生活協同組合
の公益性や社会的責任が一層高まるなか、協同組合の特性を活かしながら、期待される社会的
な役割を積極的に担っていく所存です。
東京都は、2014年12月に都政運営の新たな指針として、2024年までの10年間を
計画期間とする「東京都長期ビジョン」を策定されました。2020年のオリンピック・パラ
リンピックがより多くの国民の参加で開催されるとともに、大会を契機に誰にでもやさしく、
暮らしやすい東京のまちづくりが前進し、都民生活がさらに向上することが求められています。
東京の生協として、東京都の長期ビジョンなども踏まえて、組合員の生活を背景に消費者の
視点から、より一層強めていくべき重点要望事項と、生協の公益的・社会的な役割を発揮する
ための要望事項を下記のようにまとめました。290万の組合員が参加する東京の生活協同組
合を、東京都政との連携のパートナーとして位置づけていただき、来年度の予算に反映いただ
くよう要望いたします。
記
重点要望事項
重点政策.1
急速にすすむ少子・超高齢社会に対応し、誰もが安心して暮らし続けられる東京のまちづ
くりを実現する
(1)地域における高齢者・障がい者・こども等の見守り活動を支える社会福祉協議会や自治
会、各種ボランティア団体、生協をはじめとした協力事業者などがおこなう様々な取り
組みへの協力や支援を行うとともに、各自治体や諸団体との連携やネットワークが促進
されるよう、諸団体の情報交換の場を設けるなど対策を講じること。
(2)2015年度から実施された介護保険制度の改定にともない、都民に新しい制度をわか
りやすく周知徹底するよう国や区市町村と連携して必要な対策を講じること。また、都
内の各自治体ごとでサービスの大きな格差が生じるなど、都民が不利益をうけないよう
に国や区市町村と連携して情報交換を行い、提言や予算措置など必要な対応をとること。
(3)保育園待機児童を早急に解消するため、区市町村や事業者に対する子育て支援基盤整備
の包括的な補助を充実させること。あわせて、差し迫った待機児童解消の対策を講じる
ため、国への要請を行うと同時に、区市町村と連携して多様なサービスを活用した緊急
支援策を実施すること。また、学童保育の待機者対策も拡充させること。
(4)昨年「子どもの貧困対策法」が施行され、国を挙げての対策が始まっています。東京都
においても、国や各自治体、市民団体と連携し、将来にわたって格差が固定してしまう
貧困の連鎖の対策として、就学援助制度の充実を図ること。また、子どもの貧困の実態
把握(例:貧困を原因とする不登校、ひきこもり等)とその情報を公開するなど、必要
な施策を講じること。
(5)生活困窮者自立支援法が本年4月1日より施行され、各自治体では直営方式、又は委託
方式による自立相談支援事業等が実施されている。各自治体ごとに事業の運用に格差が
生じることがないよう東京都としても事業の実施状況について実態を把握し、必要な対
策を講じること。
重点政策.2
「東京都地域防災計画」をもとに、首都直下地震や風水害等に備えるための抜本的な対策を
強めると同時に、東日本大震災の被災地と被災者への支援を継続して推進する
(1)東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所の事故により、都内へ避難している被災
者の自立にむけた支援に継続して取り組むこと。また、避難している当事者(母子避難
者等を含む)の声や生活実態に即して住まいや就労対策、孤立化防止のための支援策を
区市町村や社会福祉協議会、ボランティア団体等と連携して講じること。
(2)首都直下地震への備えをはじめ、近年多発する局地的集中豪雨や台風などによる高潮等
風水害に対する備えを一層強化するとともに、都民にこうした被害の想定や事前の備え
などに関する啓蒙活動をより強めること。
(3)災害発生時に設置される東京都災害ボランティアセンターが実効性ある支援・受援機能
を発揮できるよう災害発生前から東京ボランティア・市民活動センターをはじめ、東京
災害ボランティアネットワークなどの市民団体と連携して、情報交換やネットワークの
仕組みの確立に努めること。
重点政策.3
再生可能エネルギーの普及・拡大を促進するとともに、一般家庭での節電・省エネや電力
自由化の施策を推進する
(1)事業用・家庭用の「創エネルギー」や「省エネルギー」、「蓄エネルギー」を対象とす
る設備機器等への融資や補助制度、各種減免制度を拡充し、再生可能エネルギーの普及
拡大を促進すること。また、再生可能エネルギーの普及拡大や省エネ・節電に取り組む
区市町村をはじめ、生協や民間事業者、NPO法人などとの連携や情報交換の場の設定
などの対策を講じること。
(2)2016年度から実施される一般の家庭を含めた「電力の完全自由化」を見据え、消費
者に不利益が生じないよう新しい制度の周知徹底をはかるとともに、電源構成の表示義
務の制度化など電力会社を選択する際に必要な情報を消費者が得られるよう、国や東京
電力などに対して必要な施策を求め、提案すること。
重点政策.4
都民が安心と安全な日常生活を実感する積極的な消費者行政を展開する
(1)今後も「地方消費者行政推進交付金」を含む安定した財源を確保し、消費者市民社会の
形成に参画する消費者の育成をめざす消費者教育を推進するための施策や、継続的・発
展的な消費者行政が執行できるよう国への働きかけ、東京都として区市町村への支援策
を講じること。
(2)「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」の
施行に向けて、東京都としても消費者団体等と連携して都民への制度の周知徹底をはか
ること。また、消費生活対策審議会の答申などを踏まえて、特定適格消費者団体への総
合的な支援制度の検討をすすめること。
重点政策.5
食品の安全と安心を確保する施策を推進する
(1)「食品の放射性物質の新たな基準値」を踏まえて、放射能汚染の検査・モニタリングを
強化するとともに、食品安全条例にもとづく安全性調査を行い、都民に的確な情報を迅
速、かつわかり易く提供すること。
(2)毎年のように発生する食の安全・安心を揺るがす食中毒事故や食材偽装事件等を踏まえ、
予期せぬ事故(主にO-157やノロウィルスの食中毒)や事件が起きうるとの予見性
をもったリスクマネジメント・リスクコミュニケーションの充実を図るべきであり、東
京都としても必要な施策を講じること。
重点政策.6
医療の安全・安心の態勢整備を図る
(1)地域における医療機関等との連携を引き続き強化するとともに、認知症の早期発見、早
期診断の対応など地域における認知症対策の支援や、在宅医療・介護の充実に向けた支
援策を強化すること。
(2)医療機関が医師や看護師の確保・養成に困難をきたしていることから、東京都としても
その支援策を強化することと共に、看護師の定着・再就業対策を引き続き強化すること。
(3)東京都における「地域医療構想」の策定にあたっては、都内各地域の実情や各医療機関
から病床の医療機能についての意見・要望を反映した形で医療計画を整備すること。
生協の公益的・社会的な役割を発揮するための要望事項
(1)東京都と東京都生協連の間で締結している応急生活物資供給に関する基本協定等につい
て、東京都や区市町村の新たな防災対策を踏まえ、定期的な連絡協議会等を通じてより
実効性の高い対策がはかられるよう施策を講じること。また、災害発生時を想定して実
施されている東京都の図上訓練等に生協をはじめ、ボランティア団体や応急生活物資の
確保を担う関連の幅広い民間事業者等が参加可能となるよう検討すること。
(2)生協の配送事業に大きな影響を与えている道路交通法にもとづく駐車規制に関して、荷
さばき時間に配慮した見直しをはかるとともに、規制強化地域における駐車スペースを
大幅に増設するなど対策をとること。とりわけ、区市町村との見守り協定や防災協定等
を締結した配送車両等については一時的な駐車ができるよう検討すること。
以上