ヒロさんの社労士営業 プライベートコンサル

ヒロさんの社労士営業
プライベートコンサル
平成 27 年 8 月
社労士事務所を楽しく経営する会
穂浪
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2015,
SYAROSHIJIMUSYOWOTANOSHIKUKEIEISURUKAI
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高士
ある夏の午後・・・
開業して1年。陽炎がメラメラと立ち上がる甲子園球場。街角のテレビでは高校野球の決勝
戦が始まっていた。
「今日はやけに暑いな・・・」
容赦なく照り付ける夏の日差し。けたたましく鳴く蝉の声。気力も体力も奪われている気が
した。
私は桜井健治。開業社労士だ。今まで飛び込み、異業種交流会、ダイレクトメール、ホーム
ページ作成など、あらゆる営業法に飛びつき、片っ端から試したが顧問はわずか1件。ほん
の時々スポットの仕事があるくらいだった。
27歳の夏に独立。開業には若すぎたのか。
それとも、口下手・人見知り・小心者と三拍子そろっている上に営業経験もないまま独立し
たのが無謀だったのか。
銀行の貯金残高が、
「そろそろ終わりだよ」
そう告げているようだった。妻も不安そうだ。
「今年の冬は越せるかな」
暗い気持ちのまま社労士会の研修に行った。
冷房の効いたホテルの会議室に入ると、私より2ヶ月だけ先に開業したYさんが楽しそう
にベテラン社労士の先生方と話をしていた。
彼とは、新人研修で一緒だったので親しい間柄だ。私より3つ年上だ。
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初めて会った彼は、明るく社交的と言うよりはむしろ一人静かにポツンといるタイプだっ
た。が、半年ぶりに会った目の前の彼は先輩たちと楽しそうに話していた。
そう言えばつい先日、知り合いの社長から彼の噂を聞いたのを思い出した。
かなり順調に顧問を増やしているようだって言ってたな。
私は彼の変貌ぶりが不思議でならなかったとともに、彼にいったい何が起きたのか興味を
おさえることができなかった。
社労士会の研修後、思い切ってお茶に誘ってみた。笑顔でOKだった。
ホテル1階のカフェレストランは混んでいた。
運よく空いた窓際の明るい席に座り、私はアイスコーヒーを、
彼はアイスティーを頼んで、乾いた喉を潤した。
「最近、どう?」
話のきっかけを作るかのように、口を開いたのは彼だった。
「いや~、なかなかお客様ができなくて大変ですよ。営業はマジメにしてるつもりなんです
けどね。Yさんは最近どうですか?」
さりげなく聞きたい話題になったことを幸運に思った。
「ここ半年くらいやっといい感じになってきたよ。スポットの仕事も結構もらっているし、
顧問は月1、2件ずつ増えているよ」
やはり、彼の仕事が順調なのは本当のようだ。
「へえ~。それはすごい。いったいどういう営業をしているんですか?」
基本的に同業者はライバルだ。でも、今の私にはそんなこと言っている余裕はない。思い切
って聞いてみた。
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「どういう営業・・・。う~ん」
「あ、答えにくかったらいいっすよ」
「いやそういうことじゃなくて・・・。桜井くん、恐らく僕が何か特別な提案や営業ツール
をやっていると思ってて、それを聞きたいということだよね?
でも何も特別なことをや
っているわけではないんだ。
」
「どういうことですか?」
「確かに半年前を境に営業が変わって仕事も受注できるようになったけど、それはある人
に営業について教えてもらったからなんだ」
やっぱり秘策があるんじゃないか。そう思ったことを見透かされたかのように彼は続けた。
「そのある人とは、まあ僕から言わせると営業のマスターで、スターウォーズのヨーダみた
いな人さ。営業の本質について、人とちょっと違う視点を持っている変わった人なんだ。た
またま知人の紹介で知り合ったんだけど、実に興味深い人さ。」
「で、その人はいったい誰なんです?」
「実は僕も正確な名前は知らないんだ。素性もまったくわからない。どこかの県の元社労士
ということしかわからないんだ。2年前に引退したらしいんだけど」
「何者なんですか? セミナーかなんかやってる人ですか?」
「いや、その人はプライベートコンサルしかやらない。しかも、紹介オンリーで、気に入っ
た人しかコンサルしてもらえないらしいんだ。幸い、私は気に入ってもらえたようで、2日
間でみっちり教えてもらえたけど」
「ミステリアスな方ですね。何を教えてもらったんですか?」
「実は、具体的な教えは言えないんだ。というのも、その人のコンサルは特殊で一人一人に
あった指導法なので、安易に教えないよう言われてるんだ。もちろん、営業の本質について
はいろいろ教えてもらったけど、大事なのは営業というものの視点を変え、自分の中に“営
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業システム”を作っていくことなんだ」
「営業システム?」
「ほら、よくわかんないだろ?」
「わかりません(笑)
」
「それに、営業の本質の部分が曲解されて伝わることを恐れているので、守秘契約を最初に
結ぶんだ。でも、その人を紹介することはOKなので、それならできるよ」
あーあ。やっぱりそうなるのか。それで5万も10万もかかるパターン・・・。
絶望的な気持ちになりながら一応聞いてみた。
「いくらくらいかかるんですか?」
「一回、1万円で全二回」
「そんなに安いんですか?」
ビックリして椅子から転げ落ちそうになった。
「まあ、その人はボランティアでやっているようなものだから、ホントはお金はいらないん
だけど、無料だと真剣にならないからってそういう設定にしてるみたいだよ」
「なるほど。それなら出せそうです。紹介してもらえますか?」
「いいよ。実際、コンサルしてもらえるかは会ってみないとわからないけど、連絡取ってみ
るよ」
「ありがとうございます。お願いします」
溺れるものは藁をもつかむとは自分のことを言うんだな。気が付けば話の流れと勢いで“そ
の人”のプライベートコンサルに申し込んでいた。
(以下、続く・・・)
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