(AD) ヨーイ! アクション! <入場> (口上) 時は今から約90年前の昭和3年、 宮城県名取郡玉浦村に、この物語は始まります。 (タイトルコール) ナッパくんとカイコちゃん、きしゃにのる! 1 1ー1 「はああーーあ」 白菜のナッパ君が庭でひとり、暇そうにため息をついています。 あんちゃん達は今朝早く、馬車に乗って駅へ出発してしまいました。 東京に行くんだそうです。 小さいナッパくんはおいてけぼり。 「今頃あんちゃんたち、汽車さ乗ったかなあ…」 2 1-2 「あれ~~~?!」 すすり泣く声が聞こえます。 ちっちゃいまゆ玉のかいこちゃんです。 「どうすたんだ?」 「うぇーん、お姉ちゃんたちはきれいなべべにしてもらうんだって言って、 み~んな行っちゃったの。でもわたすはちっこいからダメだって…!ひとりぼっち…」 「じゃ、オラとおんなじだなぁ~」 (ウェーン) かいこちゃんは泣き止みません。 「あーあ、汽車さ、のってみでえなあ…」 ナッパくんは空を見つめます。 3 2-1 二ノ倉のばあちゃんが、孫の三輪トラックさのっけられて、 サケやスズキやカザミガニをもってやってきました。 「いだかあ?今朝のとりたて、もってきたどー!」 母屋に向かって大声で叫んでます。 孫のあんにゃが魚が入ったカゴをおろすと 「んで、ばあちゃん、おらは東京さ送る魚、届けでくっから。 帰り、迎えさ、くっからな!」 「ああ、わがった!きいつけてなあ!」 4 2-2 あの木箱の魚、東京さ行くんだ・・・・ ナッパくんとかいこちゃんは顔を見合わせると、うなずき、 誰にも気付かれないように三輪トラックの荷台に飛び乗りました。 5 2-3 「どっこいしょっと」 岩沼の街中の大きな魚屋さんにくると、魚が入った木箱をおろし、氷を入れると あんにゃは店の人と話しを始めました。 「今だ!あっちのトラックが駅さ、いくトラックだ。」 飛び乗ってホッとする間もなく、トラックはすぐに駅に着きました。 6 2-4 向こうの貨物線にナッパくんのあんちゃん達の姿が見えます。 「あ、あれにのればいいんだ!」 ナッパくんはかいこちゃんをかかえると線路を渡り始めました グワーン! 急行列車が通り抜けて行きました。 7 3-1 ナッパくんとかいこちゃんははじきとばされて・・・貨物車の中へ! 「ナッパ!」 「あんちゃん!」 「こ、こ、こんちは!」(かいこちゃん) 「ナッパ、おめ、なにしてんだ!」 その時、貨物車の扉が閉まり、ゴトンと汽車が動き始めました。 8 3-2 どれくらい揺られていたのでしょう 真っ暗な貨車の中でもあんちゃん達といれば平気。 「東京ってどんなどこ?」(かいこちゃん) 「うーん」 あんちゃん達も初めてなのでよくわかりません それでもしばらくすると… (東京~とうきょう) 9 3-3 「あんちゃん達はこれから築地や神田の中央市場ってどころに行ぐ。 んでも生糸姉ちゃん達は確か、 横浜がら船さのってアメリカさ行ぐって言ってたなあ」 「え~~!」 かいこちゃんはもうがっかり。 10 4-1 「ナッパ!お前、かいこちゃんを横浜まで送ってやれ!」 「うん!」 「ありがと!」 「あのおっきなズタブクロもったおやじさんは船に乗るにちがいねえ! きっと横浜からアメリカ行きの船さのるべ!」 ナッパくんはその大きなズタブクロにしがみつき、なんとかはいりこめました。 もちろんかいこちゃんも一緒です。 11 4-2 あんちゃんの言った通り、太っちょの船乗りは横浜行きの汽車に乗ります。 しばらくすると潮の香り。海の近くに来たことがわかります。 そろってズタブクロから顔を出すと (ボーーー!!!) 船の汽笛、初めて聞くおおきな汽笛の音にナッパくんもかいこちゃんもびっくり! 横浜の停車場につきました。 「さあ、イギリスにいくか~今度はいつ日本に戻ってこれるかなあ~」 「イギリス!?」ふたりはあわてて飛び降りました。 12 5-1 「アメリカにはどしたら行けるんだろう? 生糸の姉ちゃん達はどの船にのったんだべがー!」 波止場のはずれでボーと海を眺めているとナッパ君とかいこちゃんの前を・・・ 13 5-2 大きなシルクハットをかぶった三毛猫が通り過ぎ、そして振り返ります。 「ユータチ、ドーシタノカナ?」 「アメリカへいく生糸姉ちゃん達を探してるんだども…」 「キイトネエチャン?ア、ソレ、私がのるフネねきっと!ついてらっしゃい」 14 6-1 大きな船の前までついて行くと三毛猫が言います。 「きっとこのフネね。でもユーはダメだね。カイコダケだよ。」 「わがってる、かいこちゃんを頼む!」 「OK!」 そういうと三毛猫はシルクハットの中にかいこちゃんを入れ、ともづなを渡り、船へ。 15 6-2 ちょうど生糸姉ちゃんも積み込まれたところでした。 「ねえちゃん!」 「かいこ!どうすてここへ…?」 (ボーーー!) 16 6-3 出航の時間です。 「かいこちゃーん!元気でねえ~!」 「ナッパくーん、ありがとう!」 紙テープが飛び交い、船は岸壁から静かに離れていきました。 17 7-1 「あーあ、行っちゃった……。」 同じ船を見送りに来ていた中華料理屋のおやじさんがナッパくんをみつけました。 「チッチャイケド、イイハクサイネ!ウチニクルカナ?」 18 7-2 ナッパくんは 「うん!」 と、うなずくと おやじさんの肩に飛び乗りました。 横浜の中華街はとっても賑やかな街のようです。 19 7-3 おしまい (キャスト紹介) 退場 (AD) ハーイ! カット! 20
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