「ひとつの朝」の意味すること

リリオだより
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雑学シリーズ 105
逃れたそうです。それで今の人間は全てノアの子孫ということになりました。
2015/3/3
「ひとつの朝」の意味すること
この歌は、
「時の狩人」
「樹よ」
「ひとつの朝」の 3 曲からなる混声合唱組曲『ひ
とつの朝』の中の1曲です。
「ひとつの朝」単独としては、1978 年に NHK 全
国合唱コンクールの高等学校課題曲として作られました。
そして 1984 年には2度目の高等学校課題曲になった合唱の名曲です。
自分とその家族だけ避難するとは、なんとジコチュウな、ノアという人は!
この歌で「ノアたちのように箱舟に乗って旅立とう」とは、他人のことはほ
っといて自分だけ箱舟に乗って逃れよう、と教えているのかなあ?
そんなアホな。これでは若者たちへの教訓にならないですね。
だぶん、作詞者はこのように示唆していると思います。
若者よ、ノアが人間の元祖なら、選んだ道の元祖と言われる人になれ、と。
これはちょっと考え過ぎたかな?
中学生・高校生向けに「青春の旅立ち」がテーマになっています。
人生のスタートラインに立ち、次なるステージに向けて新たな旅立ちをする
若者たちのために、片岡輝さんはこんな詩を作りました。
抽象的な表現で分かりにくい詩ですが、私なりに解釈しました。
旅立ちを決めた朝、別れ、勇気、愛、孤独など、旅立つ先には様々な出会いが
ある。人生は楽しいことばかりではない。
そうその通り。これはよく分かります。
だから若者たちよ、それに対応できる覚悟をしておけ、と言おうとしている
まぶしい光の洪水に
世界が沈まないうちに
のなら分かりますが、そうではないのです。
さあ 箱舟に乗って旅だとう あのノアたちのように
人生の荒波で船が砕けないうちに
「光」とは「未来」を指している、と私は解釈します。
あらゆる可能性に溢れた輝かしい未来ではありますが、明るい未来ばかりで
はありません。そこには危機という未来もあります。
「未来」を切り開く力を養い、危機にはまり込まないように歩んで行こう、
両手をひろげて鳥のように飛び立とう
生きる喜びを求めて
けどね、人生の荒波で船が砕けそうになっても、
逃げ出せないのが人生なのです。
ということかな。
でもタカが歌ですから、そんなクソまじめに考えるのは やめときますわ。
ところで「ノアの箱舟に乗って」という喩えは分かりにくいですね。
そう、以前に中村扶実さんからこんな手紙を頂いたことがあります。
そもそも「ノア」とはどんな人?
「歌詞というものは、厳密な意味はさておき、言葉の美しさを感じ取って歌
旧約聖書「創世記」によると、全ての人類の元祖ということになっています。
え?アダムとイヴと違うの?
アダムから数えて 10 代目の子孫がノアです。
ではなんでノアが人類の元祖なの?
今から 4400 年前、地上には悪が満ちたので、神は
うことに命がある。感じる心を大切に」。
(「リリオだより」47 号参照)
なるほど、歌詞というものは屁理屈よりも、語感や言葉の美しさを優先させ
るものなんや。ナットク。
結局、片岡さんが伝えたかったことは、若者たちに必要なものとは、自分た
ちで変えていこうという「勇気」ということかな、と思っています。
地上の全ての生き物を洪水で絶滅させました。
アダムとイヴから増殖した人間もこの洪水で絶滅した!
いい歌です。これを聴くと私のような老人でも元気をもらえます。
ところが、ノアとその家族と動物たち(オスとメス)が箱舟に乗って洪水を
でもね、
「旅立ち」は、もうちょっと先にしたいですなあ。
亀岡弘志(記)