看護必要度の記録~B評価について

看護必要度の記録
B評価項目について
平成27年6月1日
急性期病棟看護師
チェックに際しての基本的な考え方
B項目共通事項
1.
義手、義足、コルセット等の装具を使用している場合は、装着後
の状態に基づいて評価を行う
2.
調査対象期間内で、指示変更があった場合や、急変等で患者の
状態が変化した場合は、自立度の低い方にチェックする
3.
状態項目では、医師の指示によって、その動作が制限されてい
る場合には、「できない」又は「全介助」とする。この場合指示に
係る記録があること
4.
動作が制限されていない場合には、動作を促し、観察した結果
を評価する。動作の確認をしなかった場合は、通常、介助が必
要な状態であっても「できる」または「介助なし」とする
5.
ただし動作が禁止されているにもかかわらず、患者が無断で当
該動作を行ってしまった場合には「できる」とする
寝返り
・仰臥位から(左右どちらかの)側臥位になる動作
・患者自身が1人で何かにつかまって寝返りが出来る場合は「何かにつかま
ればできる」
・寝返りの際に看護師が患者の手を取りベット柵につかまらせる場合は
「できない」
1、できる
何にもつかまらず、寝返り(片側だけでよい)が
1人でできる。
2、何かにつかまればできる
べッド柵、ひも、バー、サイドレール等につかま
れば1人で寝返りができる。
3、できない
介助なしでは寝返りができない。
起き上がり
・寝た状態から上半身を起こす動作
・装具使用の際は、装具装着後の状態を評価
1、できる
1人で起き上がることができる。べッド柵、ひも、バ一、
サイドレール等につかまれば起き上がれる場合、電
動べッドを一人で操作して起き上がる場合も含む。
2、できない
介助なしでは1人で起き上がることができない場合、
途中までできても、最後で介助が必要な場合も含
む。
座位保持
・上半身を起こして座位の状態を保持すること
・支えとは椅子、車椅子、ベット等の背もたれ、座位保持装置
等
・ベット等の背もたれによる支えは、背あげ角度がおよそ60
度以上を目安とする。
1、できる
支え、つかまりなしで座位が保持できる。
2、支えがあればできる
支え、つかまりがあれば座位が保持できる。
3、できない
支え、ベルト等で固定しても座位が保持できない
移乗
・ベッドから車椅子へ、ストレッチヤーなどに乗り移れ
るか否かを評価
・立つ、数歩歩く等、患者自身の力が出せており、看
護師等が介助を行っている場合は「見守り、一部介
助」となる
1、できる
介助なしで移乗できる場合。
2、見守り.一部介助が必要
事故防止の為見守る、手を添える、倒れないように体幹を支える
こと。
3、できない
自分では移乗が全くできないために、抱える、運ぶ等の介助が行
われている場合、イージースライダー等の移乗用具を使用する場
合
口腔清拭
・口腔内を清潔にするための一連の行為を評価
・歯ブラシやうがい用の水を用意する、歯磨き粉を歯ブラシに
つける等の準備、歯磨き中の見守りや指示、磨き残しの
確認を含む
・舌への薬剤塗布、口腔内吸引の場合は含まない
1、できる
口腔清潔に関する一連の行為全てが自分でできる場合。
2、できない
口腔清潔に関する一連の行為のうち部分的、
全面的に介助が行われた場合。
食事摂取
・経口栄養、経管栄養が対象。中心静脈栄養は含まない
・朝食、昼食、夕食、捕食等の食事単位で評価を行う
・患者が食亊を摂るための介助、患者に応じた食事環境を整え
る介助を評価する
1、介助なし
自分で食事が摂取できる場合。食止めや絶食の場合。
2、一部介助
食卓で皮をむく、ほぐす等の介助や食事中に摂取の為に一
部介助が行われた場合。見守りや指示が必要な場合。
3、全介助
自分では食べることができず、全面的に介助されている場合。食
事開始から終了までにすべてに介助を要した場合。
食事摂取
• 一般食、経口訓練食、水分補給食、経管栄養食の全てを
指し、摂取量を問わない
• 経管栄養の場合も介助の程度によって同様に判断する
• 家族の食事介助は含まない
• 看護師等の行う、食事の温め、果物の皮むき、卵の殻む
き等は「一部介助」とする
• セッティングしても患者が食事摂取を拒否した場合は「介
助なし」とする
・ 評価に含まれないもの
厨房での調理、配膳、後片付け、食べこぼしの清掃、車い
すに座る、エプロンを掛ける等の準備
衣服の着脱
・衣服の着脱を看護師等が介助したかどうかを評価
・衣服とは患者が日常生活上必要とし着用しているものをいう
・パジャマ、ズボン、パンツ、オムツを含む
1、介助なし
介助なしに自分で衣服を着脱できる場合。
自助具等を使って行った場合も含む。
2、一部介助
衣服の着脱に何らかの介助が行われている場合。
途中までは自分で行い、最後にズボン・パンツ等を上げる介助が発
生している場合。
看護師等が手を出して介助しないが、転倒の防止等のため、見守り
や指示が行われている場合。
3、全介助
衣服の着脱行為のすべてに介助を要した場合。
看護必要度のチェック項目の評価
♦「手引き」を正確に読み理解する。
♦事実をありのままに見て判断する。
♦思い込みに注意する。
♦記録による客観性を確保する。
評価の手引き「アセスメント共通事項」
• 評価は、観察と記録に基づいて行い、推測
は行わない。当日の実施記録が無い場合
は評価できないため、A項目では「なし」、B
項目では自立度の一番高い評価とする
• 第三者が、後日、監査を行う際に、記録から
同一の評価を導く根拠となる記録を残して
おく必要がある
• 項目ごとの記録を残す必要はなく、経過記録
の中にモニタリング及び処置等が記録されて
おり、第三者がみてわかりやすい簡潔な記録
であること
• 記録は媒体の如何を問わず、当該医療機関
で正式に承諾、保管されているものでなけれ
ばならず、医師の指示記録と当該病棟の看
護師等による記録だけが評価の対象となる
患者の状態が分かり看護が見える記録
受け持ち看護師は患者がどういう状態にあった
か、どのような看護を行ったかを簡潔明瞭に記
録する
評価の根拠が分かる記述、第三者の追認が出
来る記録が求められる
看護が見える記録=看護の質を表す
記録例
車椅子で移動した。筋力低下と振戦があり、ベットから
起き上がる際、ベットコントローラーを手渡しベットを上げ
るよう伝えたが、途中で「難しい」と訴えあり。そのため看
護師が途中から介助した。車椅子の移乗はベットの左
側に車椅子を置き、患者に車椅子の手すりを触ってもら
い、立位をとり看護師が体幹を支えるとゆっくり足を動か
し、移乗出来た。経管栄養を看護師が全介助で実施。プ
リンを車いすに座り摂取した。蓋は看護師が開け、ス
プーンを渡すと自力で摂取し、誤嚥の徴候はない。口腔
ケアは物品を準備し、歯ブラシを渡すことで実施でき、磨
き残しを介助した。視力がほとんど無い為、自分ででき
ることを増やすため、環境を調整する。(295文字)
簡潔明瞭な文章を書く
1 1文を長文にしない
2 不必要な言葉、なくても意味が通じる言葉を
省く
3 同じ言葉、同じ表現を繰り返さない
4 本質が伝わる出来るだけ短い言葉を選び、
端的に表現する
5 関連づけられる内容は、書く場所をまとめる
6 タイトルをつけ、番号を振るなど、読みやすい工
夫をする
7 脈絡を考え文章を書く
不要な言葉の削除
車椅子で移動した。筋力低下と振戦があり、ベット
から起き上がる際、ベットコントローラーを手渡し
ベットを上げるよう伝えたが、途中で「難しい」と訴え
あり。そのため看護師が途中から介助した。車椅子
の移乗はベットの左側に車椅子を置き、患者に車
椅子の手すりを触ってもらい、立位をとり看護師が
体幹を支えるとゆっくり足を動かし、移乗出来た。経
管栄養を看護師が全介助で実施。プリンを車いす
に座り摂取した。蓋は看護師が開け、スプーンを渡
すと自力で摂取し、誤嚥の徴候はない。口腔ケアは
物品を準備し、歯ブラシを渡すことで実施でき、磨き
残しを介助した。視力がほとんど無い為、自分でで
きることを増やすため、環境を調整する。
記録修正
起き上がる際、ベットコントローラーを自力で操
作するも、筋力低下と振戦があり、途中で「難し
い」と訴えあり介助した。体幹を支えると数歩歩
き車椅子へ移乗した。経管栄養は全介助で実
施。車椅子に座りプリンを経口摂取。蓋を開け、
スプーンを渡すと自力で誤嚥なく全量摂取。自
身で歯磨きを行い、磨き残しを介助した。視力
がない為、できるところは自分で行えるよう配慮
し、できないところを介助した。(193文字)
記録の要点1
根拠の表現について
・病名
・症状
・機能
・障害 など
記録の要点2
評価のために外せないポイント
・「座位保持」⇒角度が分かるように表現
・「衣服着脱」⇒何の衣服を着替えたのか
・「ドレナージの管理」⇒挿入、抜去の時間
まとめ
特にB評価に関わる項目に関する記録は、患
者の身体の状態と実施したケアを個別性を重
視しながら記述する。有事象はもれなく記録
する
その日の看護のポイントとなる事実を端的に
記述する