サッカー用語で言うスキルとは、必要な時に必要なポジションにつける能力と

【スキル】
サッカー用語で言うスキルとは、必要な時に必要なポジションにつける能力と、要求さ
れるテクニックを正しく選択できる能力のことです。従って、スキルには的確な判断と正
しい選択が欠かせません。スポーツの中には、テクニックを重視するものがいくつかあり
ますが、サッカーは主に判断力を重視するスポーツです。何故そう言われるのか、いくつ
かの事実を簡単に分析してみると、
■サッカーは 90 分のゲームですが、ボールがインプレーなのは、せいぜい 60 分くらいで、残りの
30 分はそうではないのです。
■ボールがインプレーされている 60 分のうち、実力が互角の場合、各々のチームのボール所有時
間は 30 分ということになります。
■ボールがインプレーの間でも、ボールは空中にあったり、フィールド上の 22 人のどのプレーヤー
にも触れていない時間があります。
■チームの 1 人のプレーが、平均 2 分以上ボールをキープすることは不可能です。
質問:それでは、ボールがインプレーしている残りの 58 分間、そのプレーヤーは、何をしているの
ですか。
答〔
〕
【スキルフルプレーヤーに ~意図のある技術の表現~ 】
「サッカーとは、ボールをけって相手ゴールに運び入れるゲーム、すなわちパスゲームと考える」
いうまでもなく、シュートも、ゴールの中の GK の届かないところにボールを送り込むということで、
一種の「パス」と考えられます。
このことから、非常に重要なポイントが明らかになります。
「すべての技術は、次にキックするために使われる」
「サッカーの基礎技術」とは、正確なテクニックでは不十分です。「意図のある技術の表現」と考え
なくてはなりません。
いつ、どこへ、どんな強さで、どんな性格のボールをけるか、はっきりとした意図をもち、それを正
確に実行することが、プレーヤーには求められているのです。
これができる選手を、「スキルフルプレーヤー」と呼びます。
少年サッカーの指導で何よりも中心にしなければならないのは、少年たちをこうした「スキルフル
プレーヤー」にするという課題なのです。
【正確な技術と状況判断のできるプレーヤーに】
「意図のある技術の表現」であるサッカーの「基礎技術」(スキル)を少年たちに伝え、「スキルフ
ルプレーヤー」をつくるために、以下の点を考えなければなりません。
正確な技術とは、「思ったところにボールをコントロールする能力」です。「コントロール」とは、ト
ラップなどで止め、自分の支配下に置くことだけでなく、思ったところにボールを運ぶ、キックやヘ
ディングで送り込むことも含まれます。
まずボールを止めること。目標はどんなボールでもワンタッチで思うところにボールをコントロール
することです。 そこには、相手との駆け引きも含まれてきます。
最後にキック。状況や目的に応じて、いろいろな種類のキックができるようになることを目指しま
す。
高学年では、味方の 2 人以上の関係を知り、その関係のうえに立ってテクニックを使うことを覚
えます。これが「判断と意図を伴ったテクニック」、すなわち「スキル」です。
●判断すること
現代のサッカーは「スピードが決定的要素」といわれますが、そのスピードとは、単に走る速さだ
けでは不十分です。「判断の早さ」が、「スピーディーなプレーができる選手」には不可欠なのです。
●見ること
「見る」ことは、あらゆるスポーツに共通する大切な要素といえるでしょう。社会生活のなかでも、次
の行動を予測し、実行するための判断基準になります。
第 1 に、何を見るか。
ボール、味方、相手、自分の位置、ゴール そしてオープンスペースを見ます。
第 2 に、いつ見るか。
まずボールがないとき。次の展開を予湘し、「こんなことをしてやろう」と創造力を発揮させます。
次にボールを受ける直前。ここでは「情報の確認」が行われます。前の段階でつかんでいた情報
を確認し、状況を判断して自分のプレーを決断しなければなりません。
そしてボールをプレーしながら。ここでは「変化への対応」が求められます。予定どおりにプレー
が運ばないと判断したら、次のプレーヘとやり直しをしなければならないからです。
小学生年代では、首を振って「見る」ことを意識づけ、習慣づけることが目標となります。
●「見えていない」プレー
では、実際のゲームで「見えていない」と、どういうブレーになるのでしょラか。攻撃と守備の両面
で考えてみましょう。
攻撃面では、以下の 5 点があげられます。
1、自分より良いポジションにいる味方がボールを受ける状態にあるのにパスができない。
2、相手が「狙っている」方向に、パスやボールコントロールをしてしまう。
3、前を向くことのできる(振り向くことのできる)スペースがあるのに後ろにプレーしてしまう。
4、有効にオープンスペースにはいっていくことがでさない。
5、味方と同じスペースを狙って走ってしまう。
守備面での問題点は以下のとおりです。
1、ボールと相手の両方を常に視野に入れるという「守備の原則」を守ることができず、ポシション
の修正ができない。とくに小学生では、ボールぱかりを見すぎて、背後やサイドへのランニングに
応対できない。
2、危換なオープンスペースに気づくことができず、そこを相手に利用されてしまう。
●ルックアップ(顔を上げる)
たとえばゲームのなかで、いくら「見なさい」、「考えなさい」と言っても、見ることのできるプレー
ヤー、すなわち判断のできるプレーヤーと、見ることのできないプレーヤー、すなわち判断すること
のできないプレーヤーは歴然としています。見ることのできないプレ-ヤーは、いつまでたっても
見ることができず、いい判断が下せません。
その違いは、「姿勢」にあるのです。プレーのなかで、「ルックアップする(顔を上げる)」ことができ
れば、見ることは簡単です。見ることができれば、判断も伴ってきます。しかし姿勢が悪く、顔が上
がらないと、周囲を見るのは不可能です。
「判断の悪い選手」、あるいは「見えていない選手」の大半は、自分のところにボールがはいると、
顔が上がらなくなってしまうところに原因があるのです。
さらに、「顔を上げる」ことによって、味方に「わかってるよ」と示すことにもなります。
サッカーがスピーディーになっていくと、この「目を合わせる」ことが非常に重要になってきます。
「アイコンタクト」と言いますが、目と目で見つめ合って指示するわけではありません。サッカーでは、
目が合えば、 かなりの情報を伝え合うことができるのです。
●ボールをもっていないとき
チームメートがボールをもっているときに、パスを受けるポジションをとり、ボールをもっているプ
レーヤーにプレーの選択肢を増やしてあげることで、ゲームがスムーズに運びます。「ボールなし
の動き」は、スキルフルプレーヤーになるのに非常に重要な要素ということができるでしょう。
次のプレーは突破なのか、サポートして展開なのか、それとも、味方のためにスペースをつくるこ
となのか。それを的確にできる選手がスキルフルプレーヤーなのです。