東北支援人材サミット ○日 時:平成 27 年 1 月 22 日(木) 13:30~16:45 ○会 場:TKP ガーデンシティ仙台 ホール D(仙台市青葉区中央 1-3-1) ○参加者:約 70 名 ○プログラム 開会挨拶 東北経済産業局 局長 趣旨説明 東北経済産業局 地域経済部 守本 憲弘 次長 山家 一郎 <ファシリテーター> ディスカッション 東北大学大学院経済学研究科 教授 地域イノベーション研究センター長 藤本 雅彦 氏 (1) 支 援 力 向 上 の た <パネリスト> めの人材育成につい 東北芸術工科大学共創デザイン室 課長 安孫子 裕 氏 て 東北IM連携協議会 事務局長 佐藤 亮 氏 仙台印刷工業団地協同組合 針生 英一 氏 理事長 (2) 支 援 ノ ウ ハ ウ を 一般社団法人 MAKOTO 代表理事 竹井 智宏 氏 共有するためのアク 株式会社イーノス 代表取締役社長 橋本 明 氏 ションについて 代表取締役 稲葉 雅子 氏 (株)ゆいネット (株)プロジェクト地域活性 代表取締役 望月 孝 氏 株式会社日本政策金融公庫国民生活事業 南東北地区統轄 鎌倉 浩二 氏 中小企業基盤整備機構東北本部 統括プロジェクトマネージャー 小島 壯司 氏 ■趣旨説明 議論に先立ち、東北経済産業局より趣旨説明とこれまでに開催した分科会の報告、今回サミットで議論い ただきたいポイント等について説明を行いました。 (詳細は別添資料参照) ■ディスカッション ディスカッションに先立ち、各支援機関の出席者より各支援機関の取組について紹介いただき、相互理解 を深めた後、本サミットにおける論点について、参加者間でディスカッションを行い、会場からも意見や質 問を受け付けました。 1 ○ディスカッションでの主な発言 ディスカッション(1) 支援力向上のための人材育成について →各種支援組織の事例を受けて、人材育成に必要な点を議論。 地方で仕事をうみだし、地元が成長企業を生み育てることが日本の未来を切り開くこと。地方創生のた め、これから創業を支援する人のための講座を考えている。 支援機関の中で懸命に活動する支援人材ほど孤軍奮闘になりやすい。また、行政区割をまたいで広域で 活動することが必要であり、スキルアップを図ろうとする同じ志を持った支援団体との連携促進が必要。 支援人材の育成のために、組織として大事なことはビジョンの共有ではないか。 また、人材育成については、 「机上の学習」と「体験」の両軸で実施する必要があり、組織で実施する 仕組みが必要。セオリーをもった指導教官から受け継ぐこと、支援の場数を踏むことの両方が大事。 組織内で個々の能力を上げるための仕組みの構築も重要なポイント。 起業支援はオーダーメイドであるため、手間を惜しまない人でないと企業支援は難しい。そういった人 材を発掘するための目利きが重要。 創業当初は複眼的な視点が必要であり、複数の目で分析することが重要。また、フレキシブルな支援体 制にするために、外部の支援のプロのネットワークと濃い関係を積極的につくっていくべき。 ディスカッション(2) 支援ノウハウを共有するためのアクションについて 過去3回に共通するキーワード=『人脈ネットワーク』 →なぜこれが重要なのか?これをどう養うか?何を育成するのか?そのためにはどのようにするのか? 「課題をみつけて解決する力」 、 「親身になる力」、 「企業のビジネス、事業のため、適切に、一方通行的 でなく支援すること」 。経験者の力を借り、自らも経験しなければ支援できない。 プロジェクト型支援を実施しており、企業の立ち位置とゴールを明確にして、手段を整理し、各要素に 必要なスペシャリストを配置する「ストラテジークエスチョン」を常に考えている。外部の人材を活用 すれば人やメニューは十分。各要素を有機的に組み立てるノウハウやネットワークを作ることが必要。 せっかく中小企業大学校等で研修を受講しても、研修を受講させた企業・組織がそもそも研修を活かし た高度な支援を認めない、求めていないことや、そのような環境では実践が伴わないために活用できて いない(しない)ことが多い。まず機関・組織がどう活用するのかという思想・理念を持つべき。 過去と異なり、今は支援機関や金融機関同士で連携が進んでいるが、創業支援ではまだ支援スキルが足 りない。企業「目利き力」の向上、そのために教育の場、多くの企業をみて経験を積むことが必要。 例えば大企業等に案件をつなぐこと、ネットワークをつくること自体は難しくない。案件自体のバリュ ーをつくり、「提案に足る内容」にすることが難しい。名刺交換だけでなく、自分の行っている内容に 共感してもらえて初めて本当の意味での人脈となる。まずは自身のバリューを高める必要がある。 伴走型の支援を行う上では、創業前は考えがまだもやもやしている人が多く、聞く力が必要となる。 また、支援されたい人は支援する人が起業について熟知していると思ってやってくる。起業の支援側も、 自分が起業すること、場数を踏むためビジネスプランを自分でつくる必要がある。 分科会でも経営者が支援人材に回ることが多いという発言があった。民間で個人、自社の使命を「地域 の活性化」と位置づけ実践している人材を「広義の支援人材」と定義できるのでは。現役経営者で、か つ支援している人材が東北には多く、支援人材ネットワークに入ると現在進行形の生の情報も伝わる。 2 下図(当日資料14ページ)は、創業予定者・創業者・経営者が連携し、先輩が後輩を支援するという ストーリーを意識。 たとえば金融機関などの「伴走型支援人材」に求められるのは、医療の世界でいえば「ホームドクター」 であり、幅広く事業を概観してアドバイスしていく存在。一方、専門的支援人材は、明確になった課題 をその分野について専門的に支援していくことが求められる。この二つの資質は異なるため、育て方や 経験のさせ方も異なる。分けて考えるべき。 セーフティーネット支援と成長支援は異なり、必要なスキルも異なるので、組織を明確に分ける必要が ある。すみ分けることで少ない予算でも効果的な支援ができる。そのため支援機関同士の連携が重要。 中小機構の職員としては、伴走型として、経営者と専門家の方をつなぐことが役割。この力を育てるた めには専門家に同行し、どういう視点で見ているかを現場感覚で見ていく必要があり、専門家に職員が 同行して一緒に経営者の方とお話をしている。HP でも支援者向けのツールを公開しているので活用し てほしい。 ※中小機構東北 HP:http://www.smrj.go.jp/tohoku/ 分科会の中で、支援を受けた企業の方から「最初の支援者とは合わないと思ったが、しばらく間をおい て別の人を呼んだらうまくいった。振り返って考えると、最初の方が言っていることは正しかったが、 その時の自分達では消化できなかった」というコメントがあった。 → 見極める人が伴走型にいると助かるのではないか。専門家を呼ぶ際に、事前知識の有無で、(成 功するかはともかく)前段階で失敗してしまう件数が減るのではないか。 → 伴走型を一次支援とすると、ここでの振り分け方で二次支援の有効性が変わってくるのでは。 起業支援は職人的でブラックボックスになっていて実体がよくわからない。そのためディスクロージャ ーされていると進むのではないか。競争原理を導入すると、色々とレベルアップするのではないか。 4年前に中小機構の会議に出席した際、結論の一つとして支援人材を育てるためにはノウハウ移転をす る場を増やしてはどうかというものがあった。 → たとえば、仙台でほかの東北地域の人を受け入れて一緒に課題解決する経験を積むと良いのでは 3 ないか。 “目利き人材育成事業”というノウハウ共有の場に行くことで勉強になった。 → 補助金を出すからノウハウ共有もしっかりしてくださいというように、ノウハウ共有と補助金を セットでおこなうとよいのではないかと思う。 ノウハウで何を共有するか、ということでは、これまでの話では「知識」ではなく「スキル」や「態度」。 → 「スキル」・「態度」をどう共有するのか。一般的に「経験学習」と「モデリング学習」によら なければ移転できないとされている。どういう場を作るのが良いと思うか。 これまでも言及されているが、個人と組織を診断できるかが重要であり、目利き診断の支援設計が必要。 専門家が自分の専門分野に持ち込もうとして失敗することもある。 現実的な話をすると、スーパーマンの育成はあきらめた方がいい。大枠のメニューをつくり、適切な人 材に引き合わせる人材の育成を目指すべき。 目利きができて橋渡しができる人材を活かす業務体系に改善しなければならない。教育体系をうまく組 み込む必要がある 伴走型の立場では、企業が持つ様々な経営課題をどうやって解決するかについて、専門家よりもコーデ ィーネーターとしての役割が強い。支援を受ける企業側の成果はどれだけ経営が改善したかであるが、 それだけではなくその企業の地域貢献までを見据えた支援が重要。 実践共同体の中で学習する機会を増やす必要がある。 支援者を支援する仕組み作りも進めていく必要がある。 (左)プレゼンテーションの様子。この後、活発な意見交換が行われました。 (右)会場からもご意見をいただきました。 <会場からの質疑・意見> 自分たちは、極力「支援」という言葉は使わないようにしている。理由は「支援する側の責任感の醸成 (共同プロジェクトとして参画するため、上から目線の廃止)」 「支援される側は与えられるという認識 になる(自主性をもってもらう) 」という二点。 知識ノウハウの偏在性があるのでそれをくみあわせる必要がある。ノウハウと資金などの相互補完性な ど、連携してお互いに協力する必要がある。 現場の事業者はいろんな状況があり、「わかっていても動けない」「わからないから教えてほしい」「わ かっているし動けるけどノウハウがない」などの様々なシチュエーションがある。そういった状況に応 じて、インナーブランディングが有効ではないか。 細かいニーズを拾った人が人事異動でいなくなっては困るので、継続的にその地域で問題を拾い続ける 人が必要。人が変わると取組が終わることもあるので、継続するための何かしらの支援が欲しい。 4 <まとめと今後の流れについて> 伴走型支援人材と専門的支援人材では理想とされる人材像が異なる。 それぞれ必要な知識、スキル、態度の育成を考えた場合、知識の習得は既存のスキームで足る。スキル や態度が育成のポイント。スキルや態度は「経験学習」「モデリング学習」による必要があるので、そ のための場を支援する必要がある。 既に実践している共同体の場をうまく活用できるのではないか。例えば、すでに各機関で実施している プロジェクトをネットワーク化して支援することなどはできないか 特に伴走型支援人材の「スキル」と「態度」をもった人をどのように育成していくのかが課題であり、 これらの育成はノウハウの共有により、取組が促進する。 支援人材ネットワークは現状限定的であるが存在しており、このネットワークを母体にしつつ、より多 くの人(企業側も含め)に参加してもらうとよい。 次年度は具体的なアクションに移せるように案を作っていく。 本サミットでいただいた意見を踏まえて事務局で報告書を作成し、機会をとらえて情報共有を図る。 ■参加者アンケート 5
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