講評 - 福島市教育実践センター

「保育改善専門講座の指導を終えて」
福島市教育委員会学校教育課
指導教諭
田中まゆみ
はじめに
今年度も,2名の先生が自己課題の改善を目指し,積極的に,真摯な姿勢で取り組ま
れたことに敬意を表したいと思います。
この講座は,教師力の基礎である「教師文化」の継承を図り,「結果の出せるプロの
教師」の育成を目的として行われています。受講された先生方は,悩みと不安を感じな
がら,試行錯誤で始まります。そして時には挫折を味わいます。それでも見えてくる課
題に果敢に挑戦し,気付きを得,自分が変わるきっかけに出会い,4回目の研究保育の
頃には成長してきた姿へと変わっていきました。そこに関わらせていただいたことは,
私自身にとって,とても幸せなことだと感謝しています。
指導方法の不断の見直し
「中央教育審議会
教育課程企画特別部会における論点整理」の中の,これからの時
代に求められる人間の在り方についての抜粋です。
・
社会的,職業的に自立した人間として,高い志や意欲をもって個性や能力を生かし,
主体的に判断できる人間であること
・
社会の中で自ら問いを立て,解決方法を探索して計画を実行し,問題を解決に導き
新たな価値を創造していくとともに,新たな問題の発見・解決につなげていくことの
できる人間であること
とされていました。その姿を押さえ,教師に求められるものは,「指導方法を工夫して
必要な知識,技能を教授しながら,それに加えて,子どもたちの思考を深める発言を促
したり,気付いていない視点を提示したりするなど,学びに必要な指導の在り方を追及
し,必要な学習環境を積極的に設定していくことが求められる。」とされています。
つまり,教師としてこれからの時代を捉え,子どもたちの変化・成長を見取り,自ら
の課題を捉え,指導方法を不断に見直し,改善していくことが求められているわけです。
受講された先生方は,まさに,日々の保育の中で見出した自らの課題に対し,見直し
改善に取り組まれたということだと思います。
保育の基礎・基本
この講座は,5年程度の経験の教師を対象としています。今は,具体的な指導方法や
教育内容を積み重ねている時期だと思います。教師は,経験を積み重ねるにしたがい,
一人ひとり課題が変わってくると思います。教師は,経験を積むほど,子どもの見取や
保育技術は熟達していくはずですから,それぞれのキャリアステージに応じた研修の必
要性があります。しかし,どのステージの教師でも,課題をとらえるためには,自らの
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保育を振り返ることが必要です。理論や技術のみではなく,教員としての基本の部分を
「自分は忘れてはいないか,意識しているか」を,節目節目に,立ち返ることが大切で
はないでしょうか。
◇
教師としての魅力
◇
幼児は,特定の大人との人間関係を中心とした生活から,興味関心,他者との関係が
広がり,依存から自立に向かいます。その過程の中の幼稚園という場では,模倣の天才
である幼児が,最初に模倣のモデルにするのが教師です。願いをもって生活する教師の
姿,言動を模倣する。さらに仲間の模倣へと広がります。だから教師が魅力的でなけれ
ば,子どもたちの育ちのスタートは切れません。
-見えている相手の姿は,鏡に映った自分の姿-
・
子どもたちの話を,前かがみの姿勢で,目を合わせて聞いていますか?(熱心に
聴いてくれているというメッセージ)
・
表情は,言葉より自分の感情や人柄まで一瞬で伝えてしまいます。常にいい顔で
いようと心がけていますか?
・
◇
教師自身が,笑顔で子どもとともに,遊びや生活を楽しんでいますか?
授業成功の極意から基本を学ぶ
聖徳学院大学
◇
玉置教授の「主体的に学ぶ生徒を育てる」という中学校数学に関して
の講演の中で,「物わかりの悪い教師になれ!」「教師は,1番大切なことを子どもが
気付き,言うことができるしかけをする。」と話されていました。子どもの言いたいこ
とを先回りして言ってしまうと,子どもは考えなくても済んでしまう。子どもからでて
きた言葉を大切に認めて,ほめて,価値付けることが大切だと。幼児もまったく同じだ
と思います。
おわりに
この講座の中で,改めて「好きな遊びと一斉活動を相互に生かしあうことは,子どもの
変化・成長を促すことに通じる」ことを強く感じることができました。また初任の時代が
終わったら「保育を構想する」ことに挑戦する必要があると思いました。
ある程度の遊びの見通しや活動の段階を踏まえ,願う姿をもつ。→幼児の興味,考え,
気付きを把握する。→どんな体験,経験をどのように展開していくといいのか,教材,環
境の構成,援助を考える。→実践する。→振り返り再考する。→実践する。
少し苦しい時もあるかもしれません。それ以上に,気付きや友達と共感できた喜び,遊
びの充実感などを味わった幼児のとびきりの笑顔,意欲的な姿をみることができるでしょ
う。教師としての最高の幸せの時です。
この1年の取り組みは,ステップアップのための1歩目です。この機会を生かし,今後
の実践における成果と先生方のますますの成長を期待しています。
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