理科授業の社会的構築場面における子どもの学習意図の分析 -中学校

科教研報 Vol.24 No.3
理科授業の社会的構築場面における子どもの学習意図の分析
-中学校理科雲発生のメカニズムの学習を事例として-
Analysis of Students’ Intention in Socio-Constructive Context of the Science Learning:
A Case Study on Conception of the Mechanism of Cloud Development in Junior High School Science
甲斐 初美
KAI, Hatsumi A
A
森本 信也
B
MORIMOTO, Shinnya B
東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科
A
横浜国立大学教育人間科学部
B
United Graduate School of Education, Tokyo Gakugei University A
Faculty of Education and Human Sciences, Yokohama National University B
[要旨]
本研究では,中学校理科の雲発生のメカニズムの学習を事例として,理科授業の社会的構築場面における子ど
もの学習意図の機能を明らかにし,こういった子どもの学習意図を重視した教師の具体的支援について提案した。具体
的には,次の二つの点が指摘された。
(1)教師の専門性に左右されない支援には,授業展開の学習課題の設定に関わる授業のプランニング,学習プリント
の準備と提示などのように,事前に準備することができる類のものと,疑問や感想などの自由な発話や机間指導の際の
自由な相談のように,授業中において単に許容すればよいだけのものとがある。
(2)教師の専門性に左右される支援には,子どもの既有知識に基づくプレテスト,子どもの科学概念構築過程におけ
る学習プリント,子どもの獲得知識に基づくポストテストのような自由記述式の学習成果に対する評価・分析と,科学
概念構築過程における他者との概念の交流である社会的構築場面での子どもの発話に対する評価・分析の二つがある。
[キーワード] 学習意図,科学概念構築,社会的構築,雲発生のメカニズム,教師の支援
1.問題の所在
持つ。
子どもは有意味な学習を行う際,与えられた情報
そこで,これらの教師の支援の機能を明らかにす
をそのまま自らの概念体系に組み込むのではなく,
るために,これらの教授方略に沿った理科授業実践
彼ら自身の意図によって情報を取捨選択し,それに
と子どもの科学概念構築過程の評価を行い,即時的
応じて概念体系を再構成している。このように,子
な教師の支援が求められる社会的構築場面における
どもの学習は,彼らの意図によって制御されている
教授行為に関する考察を行う。
ため,理科授業においては,これらを教師が支援し
2.研究の実際
ていくことが求められるである。
(1) 調査目的
こういった子どもの学習意図を重視した教師の具
体的支援には,教師の専門性に左右されないものと
中学校理科 2 分野「天気とその変化」の単元にお
左右されるものとがある。前者は,設備上や場面設
ける「雲発生のメカニズム」の概念を事例として,
定上の準備さえなされれば達成できる,いわば教師
子どもの科学概念構築過程における学習意図の機能
の支援に関するハード面であり,後者は,その運用
を考慮した理科授業を構想し,理科授業における社
に関わるソフト面である。このソフト面は,その多
会的構築の場面における教師の支援が,子どもの学
くが,授業内における即時的な対応に依存している
習意図に与える影響とそれが科学概念構築に与える
ため,このような子どもの学習意図を考慮した学習
影響を明らかにする。
に対する認識や教師の専門性,キャリアなどによっ
(2) 調査対象
Y 大学附属中学校第 2 学年 1 クラス 44 名
て,実質的な支援内容が大きく異なるという側面を
29
(3) 調査実施時期
容」からなる,子どもの保持する既有概念(古い内
授業実施時期:2008 年 11 月(配当授業時間 7 時間)
包)と科学概念(新たな内包)の対峙による科学概念
(4) 調査方法
への修正の局面
本調査では,理科の具体的授業場面において,学
③ 内包の変換:科学概念(新たな内包)による事象の
習意図を伴って構築概念が変容していく過程を明ら
解釈とパラフレーズ化の局面
(5) 調査内容
かにするために,以下に示す,科学概念構築の三つ
の局面から,理科授業を構成する。また,これらの
本調査で取り扱う「天気とその変化」の単元にお
学習の局面とその形態や意義を整理したものが,表 1
ける「雲の正体と発生のメカニズムの理解」の学習
である。
についての授業展開を表 2 に示す。雲発生のメカニ
① 外延の拡大:既有概念(古い内包)をもとにした事
ズムの学習は,図 1 に示すように,Ⅰ状態変化のメ
象の解釈の局面
カニズム,Ⅱ雲の正体,Ⅲ断熱膨張のメカニズム,
② 学習意図の構築:
「既有概念(古い内包)の適用可能
Ⅳ上昇気流発生のメカニズムの四つで構成されてお
性と限界の自覚」,
「科学概念(新たな内包)の必要性
り,それらは相互に関連し合っている。また,この
の自覚」,「科学概念(新たな内包)の有意味性の受
授業において使用した理科学習プリントとその記述
例を図 2 に示す。学習活動の構成である表 1 や授業
表 1 子どもの学習活動の構成
学習の局面
プレテスト
【1】外延の拡大の局面
科
学
概
念
構
築
過
程
【2】学
習意図
の構築
の局面
[1]既有概念
の適用可能
性と限界の
自覚
[2]科学概念
の必要性の
自覚
[3]科学概念
の有意味性
の受容
【3】内包の変換の局面
ポストテスト
学習の形態
展開の表 2 に示す 1~5 は,図 2 の 1~5 と対応し
ている。
学習の意義
(6) 調査結果
個人的構築
既有知識の評価
個人的構築 1
概念の構築
社会的構築 2
他者との概念の
交流
これらの一連の学習に則り,期待される科学概念
構築が最終的に行われたかどうか,すなわち,単元
学習後のプレテストにおいて科学概念が獲得されて
いたかどうかによって,学習パターンを分類した。
これらをさらに,最初の雲の正体と雲発生のメカニ
個人的構築 3
概念の再構築
社会的構築 4
科学概念として
の合意形成
個人的構築 5
概念の適用
個人的構築
獲得知識の評価
ズムの段階から一貫して,記述内容に変容が見られ
ない「個人的構築完結型」,自分の考えに他者の考え
を加えながら,概念を発展させていった「個人的構
築+社会的構築型」,最初の段階で雲発生のメカニズ
ムにほとんど言及できていない「社会的構築依存型」
の三つに分類した。
表 2 授業展開
授業展開
学習課題
学習課題の自覚化
イメージの共有化
雲の正体と発
生のメカニズ
ムの理解
(実験 1)
実験による検証
(実験 2)
実験による検証
これまでの学習の整理
と情報の提示
具体的内容
雲の正体は何であるかについて考え,その発生のし方を考える。
雲発生のメカニズムに関わる,水の状態変化と気温,気圧の関係について
の予想を整理し,実験の方法を構想する。(考えの交流)(合意形成)
ペットボトルに水滴を入れて密閉させ,ペットボトルに外から加圧したり
減圧したりすることによって,雲のできる様子を観察する。
実験 1 では変化がほとんど見られないので,線香の煙を入れることによっ
て,凝結核の役割を理解し,雲ができるときに起こるメカニズムについて
自分なりに整理する。
雲発生のメカニズムについてこれまでの学習を整理し,疑問点を集約す
る。(次の学習の見通し)
30
図2
1
234
5
5
5
①子どもの記述からの分析
表 3 は,子どもの各学習パターンにおける人数分
布を示したものである。この結果から,ほとんどの
子どもが,社会的構築に基づいて科学概念構築が行
われていた。
特に,
「雲のでき方」に関する科学概念が獲得され,
かつ,個人的構築+社会的構築型に属する子どもを
中心に,表 1 の 2 における子どもの社会的構築の側
図 1 雲発生のメカニズムの内容の構成
面を分析したものが,図 3 である。
表 3 学習パターンの人数分布
パターン
図 3 は,社会的構築場面の際に子ども聞き取った
人数
メモの記述と,この子どもの学習に影響を与えたと
科学概念構築過程
(n=44)
考えられる他者の概念の記述との関連を整理したも
個人的構築完結型
6(13.6%)
のである。図 3 にあるように,C32 の発話を受けて,
個人的構築+社会的構築型
30(68.2%)
社会的構築依存型
4(9.0%)
科学概念非獲
個人的構築+社会的構築型
2(4.6%)
得・評価不能
社会的構築依存型
2(4.6%)
ポストテスト
の成果
科学概念獲得
水の状態変化と雲発生のメカニズムについて,ある
いは, C17 の発話を受けて,雲の正体についての論
点についてのメモを取っている様子が見受けられた。
そしてこれは,教室全体での議論を通じて,固体状
3
1
5
2
図 2 理科学習プリントとその記述例
31
4
メモを取っている様子も見受けられた。
②教師の支援からの分析
ⅰ) 気温の変化に伴う状態変化と雲の正体の理解
「雲は水蒸気の集まり」とする C32 と「雲は水滴」
とする C17 の二つフォーマルな発話から,雲の正体
は,気体である水蒸気か液体である水滴なのかとい
う論点が明確になった。そこで,教師は,すべての
子どもたちが保持する「湯気のようなもの」という
雲のイメージを抽出し,湯気の状態をモデルで表し
た既習の活動を教室全体で想起させた。それにより,
C32 と C17 の雲のモデル図は同じであること,
「粒
がつながっているのか,つながらずに集まっている
だけなのかによって状態が異なる」ことを指摘し,
「つながらずにただ集まっているだけなら,気体の
状態で水蒸気の集まり,つながって集まっていたら,
液体の状態で水滴として区別したら」ということを
提案し,合意形成を図ったのである。
このように,ことばだけではなく,イメージやモ
図 3
デルを交えた表現を評価することによって,すべて
社会的構築おける聞き取りメモの記述とその
の子どもの,雲のイメージを承認し,科学の用語の
記述に関わる他者の概念との関連
適切な使用を促すことに成功しているのである。ま
た,C32 の発言を誤りとして棄却するのではなく,
態と液体状態と気体状態の厳密な区別と,そのどこ
論点の明確化に寄与した発言として敬意を表し,合
に湯気や雲が位置づけられるのかについての概念の
意形成の最終確認を C32 に求めることによって,有
強化へとつながっていったと考えられる。
能性を実感できるように支援しているのである。
さらに,C40 や C6, C5 の発話を受けて,上空で
ⅱ) 気圧の変化に伴う気温の変化と雲発生のメカ
はなぜ地上よりも気温が低いのかに関する気圧と気
ニズムの理解
温の関係についてのメモを取っている様子も見受け
教師は,ⅰ)での議論を踏まえ,雲発生のメカニズ
られた。そしてこれは,教室全体での議論を通じて,
ムにおける気温の変化に伴う状態変化と雲発生のメ
気圧と気温の関連を説明するための圧力と熱エネル
カニズムについて整理し,さらなるメカニズムの追
ギーの関連のイメージへとつながっていったと考え
究を,
「なぜ上空は気温が低いのか」と「なぜ温めら
られる。
れた空気は上昇するのか」の二つの疑問に集約した。
そして,C15 の発話を受けて,高気圧から低気圧
それを受け,C40 や C6,C5 が,前者の「なぜ上
に空気が流れ込むことによる上昇気流発生のしくみ
空は気温が低いのか」という疑問に対して,気圧の
についてのメモを取っている様子も見受けられた。
変化に伴う気温の変化について言及し始めた。まず,
そしてこれは,教室全体での議論を通じて,上昇気
C40 の「押さえつける力が弱くなると冷える」とい
流が発生するしくみについての概念の強化や,風の
うフォーマルな発話に対し,C7 はインフォーマルな
動きと雲の発生の関連についての議論へとつながっ
ていったと考えられる。また,C2 の発話を受けて,
放射熱による地上と上空の温度差の違いについての
発話として,「押さえられたらくっつくのではない
か」と指摘していた。このことから,C40 は,気圧
と気温の関係については予想できているが,それら
32
を結合させるエネルギーの視点や分子運動によるエ
ある「なぜ温められた空気は上昇するのか」につい
ネルギー発生のイメージは保持していないことが推
ての議題を再提示しようとした。しかし,
「雲はなぜ
察される。さらに,C6 は,「空気の粒は振動してい
落ちてこないのか」という C8 の発話から,その疑問
て,その空気のかたまりが膨らむと範囲が広がるの
はすでに子どもたちに内在化されていた。すなわち,
でぶつからなくなり,熱エネルギーが発生しにくい」
雲の発生のメカニズムの前提としての水の循環に着
のように,分子運動に関連させながら,断熱膨張の
目し,その循環の動力について思考し始めたと考え
イメージを説明しようとしていた。しかし,
「空気の
られるのである。教師は,水の循環に着目させるた
粒の振動」という馴染みのない用語の使用により,
めに,この C8 の発話を強調的に支持し,C8 と同じ
Cs である数人の子どもから,支持を得られなかった。
視点に立脚して,論理を展開し,
「蒸発して温められ
そこで,C6 と相談をしていた C5 が,満員電車のエ
た空気が上昇したあとどうなるのか」,また,「上空
ピソードで,
「混み合っているときには,気温が上昇
の雲は最終的にはどうなるのか」について率直な疑
する」ということを紹介し,C6 の発話に補足するこ
問を提示した。
とで,Ca である教室全体の子どもが,気温と気圧の
それを受け,C33 が,気流の流れに関する考えを
関連を熱エネルギーの発生という観点で,理解しよ
保持する C15 の発言を促していたため,教師も,教
うとする動きが見られた。
室全体のインフォーマルな雰囲気を一掃し,C15 に
これらの状況を踏まえて,教師は,教室全体での
発言を求めた。それにより,C15 は,
「高気圧を水蒸
イメージの共有化のために,「近くに粒があるなら,
気が多く含まれているもの」と仮定し,高気圧から
手を結んでもよい状態」を液体,
「その手の結びつき
低気圧への水蒸気の移動を気流発生の原動力として
が強くて,簡単には手を離せない状態」を固体とし,
捉えていた。この発話に対し,教師は,
「高気圧」と
その対にある気体を「絶対に手をつなぎたくないと
いう新規の科学用語を説明する手段として,
「空気の
いう状態」として表現し,
「このような状態の気体が
密度が大きいもの」として,パラフレーズ化するこ
狭い範囲に無理やりに押しつけられる状況」をイメ
とで,C15 の発言を教室全体で共有化しようと試み
ージさせた。それにより,先ほど,C40 の発話に対
た。しかし,すべての子どもである Ca によって,支
して,インフォーマルに「押しつけられたらくっつ
持が得られない状況を把握したため,
「雲が浮いてい
くのではないか」と発言していた C7 は,その状況の
られる状況」を「紙が浮いていられる状況」に置き
結果を「けんか」に喩えて,気圧の変化に伴う熱エ
換え,子どもたちに思考させた。その結果,C34 の
ネルギー発生のイメージを理解しようとしていた。
インフォーマルな発話に見られるように,下からの
また,C29 も,反対に「気体が広い範囲にいれられ
風という「上昇気流」の存在につなげることができ
た場合」について,
「冷戦」と喩え,断熱膨張につい
ている。
さらに,上昇気流による下からの支える力と雲の
て理解しようとしていた。
このように,教師は子どもの発言を教室全体で共
重力とのバランスに着目させることで,C8,C15,
有化するために,板書やパフォーマンスを用いて,
C5,C6 のインフォーマルな発話を促し,状態変化
イメージを表現したり,パラフレーズ化したりして
に伴う水の循環への話題に帰着させていることがわ
いる。こういったフィードバックにより,社会的な
かる。そして,このような一貫した論理展開に基づ
概念構築が図られることで,子どもは,インフォー
いて,子どもたちに,雲発生のメカニズムについて
マルな発言であっても,他者の議論と関わることの
の新たな個人的構築を促しているのである。
また,山の上は太陽に近いにもかかわらず気温が
意味を実感することができると考えられる。
ⅲ) 気圧の差に伴う上昇気流の発生と雲発生のメ
低い理由について,物質と熱エネルギーの保存の観
カニズムの理解
点から説明する C15 や C2 の発話を受けて,ヒート
ⅱ)までの議論を踏まえ,教師は,二つ目の疑問で
アイランド現象によるゲリラ豪雨についても言及す
33
ることにより,雲が発達するメカニズムについての
と考えられる。
強化を図っていると考えられる。
特に,この中でも,教師の即時的な反応が求めら
れるのが,他者との概念交流における子どもの発話
3.結語
に対する評価である。これには,説明や理論に矛盾
子どもの学習意図を構築するような教師の具体的
や不十分な点がある場合,それらを指摘する「子ど
支援に関して,次の二つの点が明らかとなった。
(1)
もの一貫性に基づく記述であるかに対する的確な評
教師の専門性に左右されない具体的支援とし
価」,発言した子どもの考えが他者の評価に曝されて
て,表 2 に示した授業展開の学習課題の設定に関わ
いるような場合に,考えの優れた点をクローズアッ
る授業のプランニング,図 2 に示したような学習プ
プしたり補足したりするような「表現に対するフォ
リントの準備と提示,他者の構築概念を整理した補
ローと適切な評価」,子どもの発言をパラフレーズ化
助プリントの準備と提示,ポストテストの準備と実
して教室全体に還元していく「表現に対するフィー
施のように,事前に準備することができる類のもの
ドバック」,子どもの素朴な疑問を許容したり,発言
と,疑問や感想などの自由な発話や机間指導の際の
をためらっている子どものために,教室の雰囲気を
自由な相談のように,授業中において単に許容すれ
整えたりする「授業におけるルールづくり,自由と
ばよいだけのものとがある。
安全の風土づくり」,子どもの発言の際に挟まれる相
このような支援は,子どもの個人的構築や社会的
槌に見られるように,子どもの発言を誠実に理解し
構築を要求することにつながるため,こういったハ
ようと努めることに当たる「自分なりの表現に対す
ード面を支援するだけでも,子どもの学習を無視し
る積極的な評価」が挙げられる。
た教師の画一的な授業を回避することが可能である。
このような子どもの記述や発話に対する評価・分
しかしながら,これらの支援は子どもに自由度を与
析,あるいは,それに基づく授業のプランニングや
えることになるため,教師が子どもの学習を評価す
合意形成となり得る科学概念の整理が,子どもの科
る術や学級全体のルールづくりの術を持ち合わせて
学概念構築過程に影響を与える学習意図を支援する
いない場合,子どもは,学習に対する見通しや価値
ものとなり得るかは,それが子どもの科学概念構築
を見出すことができず,思考だけでなく表面的な知
やその背景にある学習意図にいかに依拠し,しかも,
識の記憶さえも遂行されなくなるという危険性を孕
それを支援するための具体的な方法をイメージでき
んでいることにも,言及しておかなければならない。
ているかによって大きく左右される。このような意
また一方で,これらのハード面を整備することによ
味において,教師の理科の教科内容自体に対する専
って,教師が子どもの学習を評価する術や学級全体
門性とそれを運用するための教育的な専門性を持ち
のルールづくりの術を身につけようと動機づけられ
合わせているかどうか,あるいは,それらの専門性
ることも大いに期待できる。
の必要性を認識しているかどうかが,子どもの科学
(2)
教師の専門性に左右される具体的支援として,
子どもの既有知識に基づくプレテスト,子どもの科
概念構築が学習意図に基づいて遂行されるかどうか
の岐路であるといえるだろう。
学概念構築過程における学習プリント,子どもの獲
得知識に基づくポストテストのような自由記述式の
参考文献
学習成果に対する評価・分析と,科学概念構築過程
・森本信也・甲斐初美・森藤義孝(2006):
「理科授業
における他者との概念の交流である社会的構築場面
における学習者の科学概念変換に関する一考察」,理
での子どもの発話に対する評価・分析の二つがある。
科教育学研究,Vol.47,No.2,pp.51-64
そして,これらの評価に基づいて,表 2 や図 1 に示
したような授業のプランニングや合意形成となり得
る科学概念の整理,学習スタイルの徹底がなされる
34