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(事後評価)
患者別に機能発現する階層構造インプラント
実施機関:大阪大学(研究代表者:吉川
秀樹)
実施期間:平成 22~26 年度
プロジェクトの概要
全く新規な設計思想により、患者が個々に求める骨機能(骨質の自発的改善能・衝撃吸
収能・骨格形状への適合能)発現に向けた基盤技術の獲得に成功している。本手法は階層
構造を巧みに利用した骨関節インプラント自体の高機能化と周囲骨への骨質付与の両輪か
らなり、
“患者毎に最適化された骨機能を発揮するインプラント”の開発へとつながり得る。
新規インプラントでは、従来型の平均骨格情報に基づくインプラントとは一線を画し、機
能再建術を受けた患者に対し、これまで不可能とされた活動的な生活を提供することを目
指す。本事業では、同技術の臨床応用に向けた開発展開を図り、患者毎に機能を最適化し
たインプラントの実用・製品化を加速する。
(1) 評価結果
実施期間終
総合評価
目標達成度
成果
研究計画・実
了後におけ
中間評価の
施体制
る取組の継
反映
続性・発展性
S
s
s
a
a
a
総合評価:S(所期の計画を超えた取組が行われている)
(2) 評価コメント
本プロジェクトでは、患者が個々に求める骨機能の発現を可能にするインプラントの開
発に向けて、基盤となる骨質類似機能を有する材質・構造の開発、患者個々の骨格形状に
最適化した接合子等の開発、そして患者個々の骨格形状に最適化した人工股関節大腿骨コ
ンポーネントにと、開発を段階的に進めている。新規要素技術を盛り込んだこれらインプ
ラントの薬事承認を段階的に取得しつつ開発を進め、ハードルが高いと考えられた、患者
毎に機能を最適化したカスタムメイド・インプラントの承認取得に至る堅実な開発戦略に
基づく展開である。多くの機関間の連携のもとに、多岐にわたる検討を効果的に実施して、
着実に開発を進めており、接合子等小規模インプラントに関してはすでに薬事承認を取得
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して実用化された。人工股関節インプラントについても薬事承認の申請を目前にその準備
段階にあって、将来の最終目標とするカスタムメイド・インプラント開発に手が届く段階
に達しており、その実用化に向けた展開状況より、総合的に所期の計画を超える優れた取
組と高く評価された。今後、臨床試験実施により開発インプラントの機能的な優位性が明
らかにされて、実用化がさらに促進されることを期待する。
・目標達成度:骨類似機能を発揮するインプラントの開発に向けて、計画に基づき着実
に開発を進めて所期目標を達成した。さらに骨質を改善する異方性表面構造を有する人
工股関節臼蓋コンポーネント及びカスタムメイド骨接合プレートについてすでに薬事承
認を取得して実用化され、人工股関節インプラントについて承認申請目前の段階にあり、
当初開発ハードルが高いと考えられたカスタムメイド・インプラントの開発に手が届く
段階にあることから、目標を超える進捗と高く評価できる。
・成果:基盤となる骨質類似機能を有する材質・構造の開発が着実に進められ、人工股
関節臼蓋コンポーネントや接合プレートの開発に応用されて、いずれも薬事承認が得ら
れた。さらに、次の開発段階である人工股関節大腿骨コンポーネント開発にもその基盤
技術として応用され、キャダバートライアル力学試験を既に終了し、承認申請の準備段
階に入っていること、また、これら取組の過程及び成果が次世代医療機器評価指標作成
作業において参照され、審査ガイドラインの作成に大きく貢献していること、など、優
れた成果として総合的に高く評価できる。また、インプラント開発にあたり、骨の接着
面の生物学的指標の評価も行ない、本プロジェクトにて開発した素材及び構造の優位性
を示す検討を進めている点も、開発インプラントの価値を高める取組として注目される。
・研究計画・実施体制:多数の参画機関による共同プロジェクトであるが、その効果的
な取組推進に向けて、分担機関間の打ち合わせを高い頻度で行い、個々の機関の活動が
相互に有機的に機能する結果となっており、優れた計画・実施体制であったと評価でき
る。安全性・有効性評価に詳しい分担機関も、ハードルの高いカスタムメイド・インプラ
ントの開発に向けた、効果的な開発戦略策定に大きく貢献しており、注目される。
・実施機関終了後における取組の継続性・発展性:人工股関節臼蓋コンポーネント及び
カスタムメイド骨接合プレートはすでに薬事承認を取得して実用化が図られ、人工股関
節インプラントの開発も承認申請目前の段階にあり、将来の最終目標とするカスタムメ
イド・インプラントの開発にも手が届く形で、産学連携による開発体制のもとに取組の
継続性・発展性が確保されており、評価できる。今後、コストに見合う高い機能性が開
発インプラントの臨床試験にて証明され、より付加価値の高いカスタムメイド・インプ
ラントの開発につながって、本市場における我が国のプレゼンス向上につながることを
期待する。
・中間評価の反映:中間評価での指摘事項について、見直し後の計画に適切に反映され、
後半の取組に生かされた。
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