IE08 高速開発基盤が引き起こす情報システム部門のあり方 要旨 はじめに 高速開発基盤とはなにか 近年、高速開発基盤が話題になる機会が増えてきているが、そもそも高速開発基盤とは どのようなものなのだろうか。 高速開発基盤の特徴としては、以下のような点が挙げられる。 ◆ GUI や設定のみでノンプログラミングで開発可能 ◆ メンテナンス性が高い ◆ 導入までの時間が短期間でかつ低コスト このような特徴を持つ高速開発基盤が注目されている理由としては、以下のような背景が 存在すると考えた。 ◆ 高速開発基盤を利用することにより、開発工程を大幅に削減することができコ スト削減・納期短縮につながる。 ◆ 品質は開発者に依存していた部分が大きいが、開発者に依存せずに品質の向上 ができる。 ◆ 開発だけでなく、運用・保守までも考慮されているクラウド型の高速開発基盤 が登場している。 さらに、市場環境の流れが速くなっている今、業務変化のスピードに対応でき、かつ品 質・コスト・納期(QCD)を最適化することができる基盤として注目が集まってきている。 高速開発基盤が引き起こす情報システム部門の変化 高速開発基盤の情報収集を行い、また現状の情報システム部と利用部門の関係性につい て書籍・事例等から検討した結果、当研究会では、今後の情報システム部存続の危機を感 じた。 高速開発基盤がさらに普及すると考えられる未来は、利用部門は課題解決のため自ら高速 開発基盤を用いて、独自に開発・運用を実施し、情報システム部門は、利用部門ないし会 社にとっても必要ない存在になってしまうと考えたからである。 情報システム部門の挑戦 「情報システム部存続の危機!」 この危機を脱するため、本研究では「超高速開発時代における情報システム部の新しいあ るべき姿」を具体化する。 品質・コスト・納期を最適化するために必要な以下 3 点の各評価指標において、情報シス テム部門がどのようにして利用部門に関わることで、情報システム部として高速開発基盤 の最大の価値をだすことができるかどうかを軸に検証を実施した。 2015 Beacon Users' Group IE08 高速開発基盤が引き起こす情報システム部門のあり方 要旨 ① コスト削減への挑戦 ~高速開発基盤での TCO 削減へ~ 利用部門だけでは把握できないハード的視点からの指摘・提案。 ② 品質への挑戦 ~開発者に依存せず一定の品質へ~ アーキテクチャを理解したうえでの、即時不具合対応や最適な機能拡張。 ③ 業務プロセスへの挑戦 ~ビジネス要件に素早く対応~ 要件から運用方針までを一貫して把握することで、最適な業務プロセス構築を実現。 高速開発時代における最適な品質・コスト・納期(Delivery)の優先度は、納期(Delivery) >コスト>品質であるが(図 1)、さらに3つの挑戦における検証結果として、 情報システム部は、コスト削減により自らのスキルアップを求めることが可能であり Delivery のスピードアップによりビジネス価値という品質以上の価値を生むことができる。 利用部門と共に企業経営への直接的な貢献を求める姿勢で実際に業務の最適化を行う情報 システム部門こそが今後の在り方だと本研究では結論付けた。 図1 「高速開発時代の QCD の優先度」 情報システム部は守りから攻めへ 現在、多くの情報システム部門は守りの姿勢が強いが、今後、高速開発基盤が普及して いく時代においては、情報システム部門は攻めの情報システム部門に変革し、新しい存在 価値を見出すことができると信じている。 2015 Beacon Users' Group
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