制御&監視向け! 小型ネットワークCAN通信入門

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制御&監視向け!
小型ネットワーク CAN 通信入門
回転数[rpm]
第 2 回 常時接続イメージ! 制御向け CAN 通信の特徴
等速制御
500rpmでUP中止
500
400
300 モータ 回転数
UP
200 起動
100
0
0
1
2
3
回転数300rpmへ
等速制御
ブレーキ+停止
4
5
6
7
8
CANパケット通信A:モータの回転
数をモータ制御マイコンからメイン・
マイコンに50msごとに通知
CANバス
通信状態
中村 俊夫
9
10 11 12 13
時間[秒]
(a)モータの回転数
14
15
16
17
18
CANパケット通信B:モータの回転数
UP指示をメイン・マイコンからモータ
制御マイコンに50msごとに通知
4000
4100
4200
4300
4400
4500
4600
時間[ms]
モータの回転数上昇監視と回転数制御を常時行う
4700
4800
4900
5000
(b)CANバスでやりとりされる制御データ
図 1 CAN 通信の対象は ms オーダの分散制御
特徴 1:制御システムに向く
制御用ネットワークには「リアルタイム性」
「 信頼
性」
「 システムの壊れにくさ(可用性)」が求められま
す.CAN 通信の特徴と合わせて説明しておきます.
● 理由 1:リアルタイム性がある
制御システムにおいては「規定時間内に仕事を終わ
らせる」という動作が必要です.ネットワークにおい
てもその要求を満足させる必要があります.
例えばあるマイコン制御でセンサが ON した後,
50ms 以内にモータを ON しないと制御タイミングを
逃してしまうようなケースがあり得ます.
常に「時間」を意識して制御する必要があり,リア
ルタイム制御といいます.CAN の場合はネットワー
ク通信においてもリアルタイム制御を意識した通信設
計が行われています.
▶ CAN が対象とする制御時間
CAN が対象としている制御時間は,1ms/2ms/5ms/
10ms/20ms/50ms/100ms…というms 単位が中心にな
ります.これは制御対象の応答速度などで決まります.
2016 年 2 月号
例えば 1μs で A-D 変換を終わらせ,その結果を加工
し,5μs 後に D-Aコンバータに出力しないといけない
ような制御を,CANを使って分散処理することはでき
ません.CAN はマイコン・ソフトウェアの上位層で実
行するような,大きな処理の流れで利用することを想
定しています.モータ制御用マイコンの場合だと,モー
タの起動 / 加速 / 停止 / 角速度取得 / 電流取得 / 異常検
出などの制御が相当します(図1)
.モータそのものは
ns 〜μs オーダでマイコンが制御するとしても,1ms,
10ms,100msといった粗いオーダの制御に使います.
● 理由 2:信頼性が高い
制御用ネットワークでは,異常を検知したら受け付
けない,あるいは他の機器に受けさせないことで,通
信機器間のデータの一貫性を保つ必要があります
CAN 通信では,データ構造をフレーム(送受信され
る基本的なデータ単位のこと)と称して細かく規定さ
れており,そこに信頼性を高める仕組みが組み込まれ
ています.
誤りを検出するための符号 CRC(巡回冗長符号)は
他の通信プロトコルにおいてもよく用いられます.他
にも CAN の場合は送信側も受信側も常に CAN バス
第 1 回 I2C とイーサの中間くらい ! ローカル機器間ネットワーク向け(2016 年 1 月号)
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