2月5日

2月
5日
箱家勝規
少数派の意見
今から30年以上も前のこと、小学校で6年生を担任していた頃、ズボンをいつもは
いていた女の子が、中学校でスカートの制服になることの悩みを話してくれた記憶があ
ります。その時には、「慣れたら大丈夫だから」と返した記憶があります。
今思えば、もっと丁寧に対応すべきだったのですが、「女子はスカートをはくのが当た
り前」という意識しかなかったのでしょう。思い出すだけで恥ずかしくなります。
今から十数年前のことですが、小学校で勤務したときに、教員が児童の呼称をすべて
「さん」づけをしていました。それまでの経験では、男子には「君」づけをすることばか
りでしたので、はじめは少し違和感を覚えましたが、しばらく経つと慣れて自然に使え
るようになりました。
大津市内では早くから男女混合名簿を使用していますし、呼称について、今ではどこ
の学校でも配慮していることです。
平成27年4月に文部科学省から、「性同一性障害に係
わる児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」
の通知文が県教育委員会あてに出されました。
この中で、「いかなる理由でもいじめや差別を許さない
適切な生徒指導、人権教育等を推進することが、悩みや不
安を抱える児童生徒に対する支援の土台となる」と示され
ています。
私たち大人の中には、自分と少し雰囲気が違う人を見ると、
「ちょっと変わっている人」
という表現をしてしまうことがあります。いじめや差別をすることはいけないこととわ
かっていても、このような発言は出てしまう傾向があります。
これは、まさに差別を生み出す一歩になっていると思っています。「あなたとは違う」
という表現をすればするほど、その傾向は強まっていくのです。
「ズボンをはきたい」と言った女子のように少数派の人たちは、多数派の人たちの考え、
意見を知らず知らずに押しつけられて、ものも言えずにじっと我慢をしているのかもし
れません。まずは、そのことから気付く努力が必要な気がしています。