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巻頭言
財務大臣政務官を
拝命して
財務大臣政務官
大岡 敏孝
昨年の 10 月に財務大臣政務官を拝命しました。任命する旨の通知は、麻生大臣から私の携帯に
直接電話がありました。その時には、まさか大臣から電話がかかってくるとは思わず、友人が大臣
の声マネをして私をからかっているのだと思って、大変失礼な対応をしてしまいました。今でも恥
ずかしい限りです。
さて、私の政治活動のスタートは浜松市議会議員だったのですが、そのころから一貫して財政健
全化・行政の高効率化を訴えてきました。「次の世代に負担を回さない」「行政の生産性を民間並み
に」が、地方議員時代からの私の主張です。また、民間企業勤務や中小企業診断士としての経験か
ら、
「成長と適正な分配を引き出す税」「納税・徴税のコストを少なく」という視点で、党の税制調
査会では繰り返し発言してきました。
そうしたことが評価されたのか、
「財務政務官」と言われた時には、小躍りしたくなるほどでし
た。あれもやりたい、これもやりたいというイメージが次々に湧いてきました。いつまで当選し続
けられるかはわかりませんが、今回をきっかけに財務省の職員の皆様の力を借りて、それらを一つ
ずつ形にしてゆこうと考えています。
とはいえ、私の政治家としての力量は米粒のようなものです。また、政務官の任期は事実上 1 年
しかありません。実力不足で時間も限られている……となると、大風呂敷を広げるよりは、やれる
ことからコツコツやろう、と思い直して仕事に打ち込んでおります。その中で、今力を入れている
のは、次の 3 つの政策です。
一つ目は「お酒」です。お酒を所管している財務省として、日本酒や焼酎、梅酒など、最高の技
術で作られた日本のお酒を世界に売り込めないか、知恵を絞っています。
二つ目は「中小企業」です。軽減税率の対応を進めていますが、「レジの買い替え」だけで終わ
るのはもったいないので、レジ改修を一つのきっかけとして、中小企業の「レジ周りから受発注ま
での合理化」をできないか、と考えています。
三つ目は「財務省の IT 装備」です。IT 以外に、公務員の生産性を上げる方法はあるのでしょう
か。私はありえないと見ています。近い将来、財務省が「外見は最も古いが、中身は最高の IT 装
備で近代化」となれば、全省庁、さらには日本中の自治体の IT 化が進み、公共部門の生産性が向
上することでしょう。おそらく、霞が関の働き方も大きく改革されると思います。「あの財務省が
変わる」ことが、最大のインパクトです。その最初の道筋を作れないか、と頑張っています。
政治を志した 20 代の時、日本の政治が時代の速さについて行けていないことを嘆いていました。
国民からの信頼を受け、日本の可能性を引き出し、世界から期待を集めるような日本政治を作りた
い、と願ってこの世界に飛び込みました。しかしながら、そこで気づいたのは、政治は大きな艦船
のようなもので、簡単に進む方向を変えることはできないということです。しかも、国を動かす力
を持つには、ある程度の当選回数が必要だということです。それで、40 歳の時に無理を承知で、
静岡県議を途中辞職して滋賀県に引っ越し、当時の総務大臣と戦うという大勝負に出たのです。1
回や 2 回の落選は覚悟して。幸いにして、今は当選 2 回となりました。これからも、最初の志を忘
れず、人から受けた厚意を忘れず、世界中の人々から憧れられるような日本をつくれるよう、全力
で取り組んでまいります。
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ファイナンス 2016.4