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建コン九州支部 九州・沖縄の8県3政令市との意見交換会を総括
工期設定や最低制限価格設定・表彰制度で一歩前進、技術力による選定は要望継続
九州・沖縄8県3政令市との意見交換会の総括記者会見(建コン九州支部)
建設コンサルタンツ協会九州支部(村島正康支部長
略称:建コン九州支部)は4日、九
州地方整備局及び九州・沖縄の8県3政令市との意見交換会の総括と平成28年度方針につ
いての記者会見を行った。この中で、平成27年度の意見交換会は計14回開催し、労働環
境の改善につながる適正な工期の設定や設計変更(工期、金額)については、ほとんどの自
治体が適切に実施し、設計変更ガイドラインも3自治体が策定済みないし策定中と回答、前
向きで一歩前進。今後、他の自治体においても期待していきたい。技術力による選定では、
業務成績評価結果や技術力の活用を要望しているが、事務量の増大などを理由になかなか進
まないのが現状。しかし、業務表彰制度の導入で、検討中を含め5自治体あり、少し前進し
ていると分析。平成28年度意見交換会の基本方針は、改正品確法の運用指針理念の実現に
向けた取組みや技術力による選定で、品質向上への貢献やデータ、資料などを提示し、具体
的な提案をしていくことにしている。
記者会見には村島支部長(西日本技術開発㈱)、柴田貴徳副支部長(㈱福山コンサルタント)、
森尾有副支部長(㈱千代田コンンサルタント)と対外活動部会の田中清部会長(第一復建㈱)、
対外活動委員会の横矢直道委員長(㈱福山コンサルタント)ら7人が出席。村島会長は冒頭
の挨拶で「昨年の意見交換会では改正品確法の基本理念を踏まえ①担い手の育成・確保のた
めの環境整備、②技術力による選定、③品質の確保・向上を柱として要望と提案を行った。
担い手の育成・確保については会員アンケートの結果等に基づいて具体的な要望提案を行い、
理解を示していただき、前向きな回答を得たが、技術力の選定はわれわれが思ったほど進捗
せず、今後も要望と提案を続けていきたい」などと総括した。そのあと、田中対外活動部会
長と横矢対外活動委員長が意見交換会の概要説明を行った。
意見交換会の要望と提案は①魅力ある建設コンサルタントに向けた担い手の育成・確保の
ための環境整備、②技術力による選定、③品質の確保・向上の3点を提起。改正品確法の基
本理念である「担い手の中長期的な育成・確保」と「公共工事の品質確保」を実現するため
の具体的な方策としても認識し、建設コンサルタント企業の「経営の安定化」が必要不可欠
だとしている。九地整との協議では①若手・女性技術者活用試行業務と労働環境改善試行業
務について、課題を提案し、次年度に試行業務として反映。②繰り越しが必要な場合は積極
的に発注者に申し出を行い、結果を事務連絡で周知。③「いきいき現場づくり」
(案)に対し
ての意見集約と実施要領の検討。④「発注者・工事会社・設計者」をセットとする広報の仕
組み検討などを行っている。
自治体との意見交換では、
「担い手の育成・確保」と「公共工事の品質確保」について、ほ
とんどの自治体が理解し、特に適正な工期の設定や設計変更(工期及び金額)は適切に実施
していると回答。設計変更ガイドラインは3自治体が策定済みないし策定中で一歩前進と言
えるが、実務者レベルまで浸透していないのが課題だとしている。ポロポーザル方式や総合
評価落札方式など技術力の選定は、事務量や期間等の問題、技術的に高度な業務の選定への
課題、選定結果に対する説明責任の問題などがあり、遅々として進展がない。業務成績評価
結果の活用については、表彰制度導入に反映させる自治体が検討中も含め5自治体と一歩前
進。しかし、指名基準への要件など技術力による選定への活用には今、一歩と結論付けてい
る。
平成27年度各自治体の新たな取り組みについては、
「最低制限価格」について2自治体が
80~85%を設定、「予定価格の公表」で1自治体が事後公表、「業務表彰制度」で1自治
体が平成28年度から導入、
「三者協議」も1自治体で実施することなどが明らかになった。
平成28年度については①受発注者共通の課題である改正品確法の基本方針を踏まえ、運
用指針を基準として、その理念の実現に向けた取組みのあり方、②九州地方整備局とは本部
主催の意見交換の討議結果を踏まえ、
「業務円滑化調整会議」において継続的に協議、③自治
体との意見交換会は、わずかであっても着実に前進することを目標に、議論を積み重ねてい
く、④「技術力による選定」などの進展しない事項に対しては、データや資料を提示し、具
体的に提案していくこと等を基本方針としている。