トランプ次期大統領で強含む米ドル(対円)

楽読
(ラクヨミ)
2016年11月14日
Vol.
1,164
トランプ次期大統領で強含む米ドル(対円)
~持続性のカギは今後のインフレ動向か~
米国大統領選挙において、トランプ氏が次期大統領に選出された後、米ドル(対円)は大きく上昇する展開と
なっています。
その背景には、トランプ氏の勝利演説が融和的だったことで市場の不安が和らいだことが挙げられます。ま
た、同氏が公約に掲げている大型減税やインフラ投資などが米国経済の追い風になるとの見方からインフレ
期待が高まったことや、こうした公約を実行すると10年間で5.3兆米ドルに達するとも予想される財政赤字を
補うため、米国債の増発が必要との見方が強まったことなどから、米国債が売られて金利が上昇し、日米金
利差が拡大したこともあります。さらに、同氏の選出を受けて金融市場が大きな混乱に至らなかったことで、
FRB(米連邦準備制度理事会)による12月の利上げ観測が引き続き根強いことも背景にあるとみられます。
選挙期間中、トランプ氏は過激な言動が目立ち、移民の制限や保護貿易などの極端な政策を公約に掲げて
いました。今後、実際に移民の流入を制限し、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉や中国など主要輸入
国に対する関税の導入などの保護主義的な貿易政策をとった場合、労働力不足やコスト上昇などが生じて、
景気悪化やインフレにつながる可能性があります。
ただし、上下両院議会で過半数を維持した共和党は、伝統的に自由貿易や財政規律を重視し、小さな政府
を理想とするなど、トランプ氏とは考え方が異なる部分があります。今後、トランプ氏が極端な政策を推進して
も議会が現実的な案に修正していくとの見方もあり、今後の米国議会が注目されます。
足元の米ドル高は期待先行の側面があるものの、景気回復が続き、インフレ率の緩やかな上昇が続く米国
において、大型減税やインフラ投資など大規模な財政拡大に踏み切れば、インフレ期待の高まりから利上げ
圧力につながるとみられ、今後の米ドルの上昇を支える要因になると期待されます。
米ドル(対円)と日米金利差の推移
(円)
125
(2016年1月初~2016年11月14日*)
*日米金利差は11月10日まで、為替は14日13時時点
米国のインフレ率の推移
(%)
(%)
2.4
2.5
日米金利差※(右軸)
120
2.2
115
2.0
110
1.8
105
1.6
(2013年1月~2016年9月)
消費者物価指数(食料、エネルギー
除く)、前年同月比
2.0
1.5
100
米ドル(対円、左軸)
1.4
1.0
PCEコア・デフレータ、前年同月比
0.5
※米国10年国債利回り-日本10年国債利回り
95
16/1
16/3
16/5
16/7
1.2
16/9 16/11 (年/月)
0.0
13/1
14/1
15/1
16/1 (年/月)
(信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
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