日本株の見通し-日銀による緩和措置を受けて

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フラッシュ・レポート
日本株の見通し - 日銀による緩和措置を受けて
年 月 日
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社
日本銀行は、
年 月 日の金融政策決定会合において、「マイナス金利付き量的・質的
金融緩和」を導入することを決定しました。追加緩和の概要は、金融機関が保有する日本銀行
当座預金に▲
%のマイナス金利を適用(具体的には、日本銀行当座預金を3段階の階層構
造に分割し、それぞれの階層に応じてプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用)するというも
のです。同決定を受け、同日の金融市場は大きく変動しました。以下では、同決定を受けた
弊社日本株式運用部の見解を概説いたします。
月 日に発表された「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は二つの意味でサプライズでし
た。『緩和はない』との予想が大勢を占める中で行われたという事実と、日銀当座預金への付利
の引き下げに関して黒田総裁が何度も否定発言をしていたにもかかわらず、引き下げだけに
止まらずマイナス金利の導入にまで踏み切ったという点です。
『サプライズだった』との評価において市場の見解が一致する一方で、その効果となると、発表
直後の株式、外国為替、債券市場の激しい値動きが示すように、現段階で予測するのにかなり
難しい面もあるのも事実です。しかしながら、日本株の見通しを考える上で、今回の措置が
いくつかのプラス材料を提供したことは間違いないと考えています。
その第一は円相場への効果です。多くの投資家が、日米金融政策の方向性の違いから今年も
緩やかなドル高を想定していたにもかかわらず、中国等の景気減速や原油価格の急落に伴う
「リスク・オフ」 (リスク回避の動き)の流れの中で、安全通貨としての円買いが進行し、 月後半
には ドル=
円台を付ける局面がありました。そして、多くの輸出企業が
円程度
の為替水準を前提にしていると考えられるため、
円を超えるような円高が進めば、今後の
企業業績の悪化要因になると懸念が広がっていました。しかし、今回の緩和措置により、少なく
とも
円を超える円高がすぐにも進展する可能性はかなり低下したと思われ、投資家の不安
心理の払拭にも効果があったと考えています。
第二は、日銀金融政策の「限界説」を大きく後退させ、市場参加者にいわゆる「黒田マジック」に
対する期待感を繋ぎとめた点です。今や日銀は日本の国債市場で最大の買い手となり、投資
家の中にも、『追加緩和はおそらく次が最後、あっても効果は限定的』との懐疑的な見方が
広がっていました。 月の補完措置の発表も「限界説」をより勢いづけた面があったことは否め
ません。しかしながら、マイナス金利の導入により、今後はマイナス幅の拡大余地が
生まれ、少なくとも当面は「限界説」の封印に成功したと言えるでしょう。今後についても、景気
や金融市場動向次第では、日銀が必要な手を打ってくるといった一種の安心感の醸成が進む
ことも考えられます。
当資料は、インベスコ・アセット・マネジメントが情報提供を目的として
年 月
のです。当資料をご利用の際は、 ページ目の「ご注意事項」をご覧下さい。
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日現在の日本株式運用部の見解をもとに作成したも
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翻ってみますと、年初からの世界的な株式市場の混乱は、中国株式や原油価格市場の大幅な
下落、人民元からの資金逃避懸念がその主な要因でした。しかし、 月下旬以降は、中国の
株式市場こそ依然として下落基調から脱し切れないものの、人民元相場は落ち着きを取り戻し
(図表 )、原油も、米国での寒波襲来もあり、米国の
先物価格は底値から 割近くも回復し
ました(図表 )。米国株式市場も、中国株との相関が明らかに低下傾向にあるなど、ここに来て
中国株離れの傾向が鮮明です(図表 )。そういった点では、中国に対する不安が原油安で
増幅されたことによる世界的なリスク・オフが一服し、株式市場でも、値幅調整の後、底入れ
から底打ちをうかがう絶妙のタイミングで、日銀による援護射撃が行われたという見方も可能だ
と考えています。
図表 : 人民元の対米ドルレートの推移
(人民元/米ドル)
年 月
出所:
年 月
、
図表 : 米国原油(
年 月 日~
年 月
年 月
日の引け値。
)先物価格の推移
米ドル バレル
年 月
出所:
年 月
、
年 月 日~
年 月
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年 月
日の最期近限月の引け値。
日現在の日本株式運用部の見解をもとに作成したも
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図表 : 米国と中国の株価指数の推移
米国
ポイント
指数 左目盛
中国 上海総合指数 右目盛)
ポイント
年 月
出所:
年
、
年 月 日~
年 月
月
年 月
日の引け値。
他方、ファンダメンタルズ面では、 月 日現在で日本企業の約 割の
年
月期決算
が発表されましたが、それらを見ると、今年度前半頃に見られた増益モメンタムが低下している
印象が否めません。米国の自動車販売等は好調であるものの、中国や
など新興国の
景気減速、商品市況の下落、大手スマートフォンメーカーの生産調整に加え、訪日外国人に
よる爆買いの一服などにより、これまで堅調が続いて来た企業業績に鈍化の兆しが見られます。
また、足元の不透明なマクロ環境などを受け、 - 月に発表される
年度業績の期初計画
では、多くの企業が慎重な前提を置いてくる可能性が高く、その実態が見えて来る年央あたり
までは投資家も大きく動き辛い展開となることが想定されます。
今回の日銀の金融緩和は大きな安心材料を市場に提供したことは間違いありません。 月の
欧州中央銀行(
)の追加金融緩和策への期待を高める結果ともなり、株価の下値不安は
かなり後退した可能性があります。一方で、年初来の急落を一部埋めるような反発の可能性は
残っていますが、ファンダメンタルズ面では、当面、日本株全般の押し上げにつながるような
材料に乏しいことも事実です。したがって、株式市場では、これまで以上に投資家が個々の企業
業績動向に関心を払う傾向が強まると見込まれます。株価の面では銘柄ごとの格差が生まれ
やすい状況で、銘柄選択能力の巧拙がよりはっきり成果の違いとなって表れてくるとも言えます。
こういった難しい局面こそ、本当の意味での運用力が発揮されるのではないかと、私たちは考え
ています。
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