展望 JAの進むべき道 進化するJA出資型農業法人と生産部会 昨年の農協改革では、農業者の所 字から 4 ~ 5 年で黒字化し、調査対 得向上などに直接結び付かないマス 象の法人のうち 7 割が、黒字を達成 コミのJA批判やJA全中批判が展 している。JAによる農業経営は、 開された。 地域営農ビジョン大賞の審査委員長 一方、現在、全国のJAでは第27 も務める東京農業大学谷口信和教授 回JA全国大会決議の「農業者の所 の表現を借りれば、当初の「地域農 得増大」 「農業生産の拡大」 「地域の 活性化」を実現するため、JAの営 大西茂志 (JA全中常務理事) 業の最後の担い手」から「地域農業 の最後の守り手」 、さらに「地域農 業の最後の攻め手」の存在になりつ 農経済を中心とする自己改革の実践 が取り組まれている。特に組合員の高齢化と つある。 担い手の減少で、農業基盤を支えるJA自ら また、同様にJAの園芸の生産部会も自ら の農業経営への取り組みが急速に拡大し、そ 新規就農者の育成機能を果たしつつある。こ の役割も進化しつつある。JA自らの農業経 うした部会ではJA、行政とも連携し 2 年間 営はJA出資型法人が1993年農業経営基盤 で簿記、栽培管理技術、就農・資金利用計 強 化 促 進 法・ 農 地 法 改 正、 JA 直 営 型 は 画、部会員による OJT 実践研修、その上で就 2009年農地法改正により誕生した。現在、 農し新規就農者が部会員数、面積の半数以上 その数は毎年増加し、出資型法人は2015年 8 を超え、産地の維持に貢献している。天敵な 月現在570、JA数で45都道府県249に達し ど新技術の導入にも積極的に取り組まれてい ている。事業分野も当初の水田・作業受託か る。 ら周年農業実現のため複合経営、作目も果 自己改革の成果の実現には、JA出資型農 樹、施設園芸、酪農・畜産と拡大しつつあ 業法人や生産部会などJA自ら生産に直接関 る。また、新規就農者の育成、耕作放棄地対 与する取り組みが最も効果的である。この成 策、直売所支援、 6 次化、さらに中山間地の 功はJAグループが経営資源をいかに集中で 維持、野菜・果樹・畜産の産地の維持などそ きるかにかかっている。全中としても、経営 の機能も向上しつつある。また、水田経営で モニタリング等による経営支援体制の構築、 は100ha を超える大規模法人も出現している。 ネットワークによる組織化、全国交流会等の 経営面でも、設立当初の税引き前当期利益赤 支援をさらに強化していく。 2016/02 月刊 JA 17
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