女性活躍に資する制度検討WG とりまとめ

女性活躍に資する制度検討ワーキンググループ
とりまとめ
平成 27 年 11 月 20 日
自由民主党 女性活躍推進本部
女性活躍・働き方改革・地域コミュニティ推進力プロジェクトチーム
女性活躍に資する制度検討ワーキンググループ
はじめに
女性の活躍促進は「待ったなし」の課題である。
我が国の総人口は、2008 年を境に減少に転じており、人口減少社会に突入した。社
会の支え手である 15 歳から 64 歳までの生産年齢人口も、1990 年代に減少を始めてい
る。人口減少社会は、我々に2つの課題を突き付けている。1つは、消費者が減少す
ることによる日本国内のマーケットの縮小である。そして、もう1つは、労働力人口
が減少することによる供給面での制約である。
人口減少への対応は、まずは少子化対策であることは論を俟たない。安倍内閣は、
消費税増収分の一部を子ども・子育て支援に充てるなど、少子化対策に総合的に取り
組んでいるところである。今後も、そうした取組みを国を挙げて一層強化していかな
くてはならない。しかしながら、人口減少には慣性があり、それらの取組みが奏功し、
人口動態に良い影響を及ぼすようになるには時間がかかるため、長期的に取り組んで
いくべきものである。
こうした長期的な少子化対策に取り組みつつも、喫緊の課題として求められている
のが、女性の活躍促進であり、地方創生である。当ワーキンググループの親会議であ
る「女性活躍・働き方改革・地域コミュニティ推進力プロジェクトチーム」の本年6
月の提言1にもあるように、
「『女性活躍』は『地方創生』と不可分の関係にある」ので
あり、「女性活躍は地方創生と相俟って、我が国の持続可能性の確保に必要不可欠」
である。女性の活躍については、我が国では、後に詳述するように戦後高度成長の過
程で、専業主婦が一般化し、就労よりは家庭や地域活動の中での活躍が大きなウェイ
トを占めていたが、今後の我が国の社会を展望すれば、人口減少の中で持続的な成長
と活力を維持していくためには、職場での活躍も不可欠となっている。
この点、近年、女性の労働参加が進んできているとはいえ、就業を希望しながらも
育児や家事等との両立が困難であるなどとして就業を諦めている女性が 300 万人以上
もいるとされることは、人口減少社会である我が国の引き続き大きな問題である。ま
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平成 27 年 6 月 9 日
自由民主党女性活躍推進本部
1
「女性活躍推進本部
提言」5~16頁
た、現に就業している女性であっても、育児や家事等との両立や制度的要因などから
就業調整を行っている女性が一定程度存在するとの指摘もなされている。
人口減少という逃れられない課題を克服し、持続可能な社会・経済を確保するには、
女性の活躍は欠かせない。女性も労働力として社会で一層活躍すれば、我が国が直面
する労働力人口の減少も補われる。また、職場に新たな価値観をもたらすことで、新
たな製品やサービスを生み出すことにもつながる。各世帯においては、ダブルインカ
ムの実現により家計収入が増加し、家計消費の底上げにも貢献しよう。大きな社会の
移行を見据えた取組を、着実な手順を踏みながら、進めていくことが必要である。
これまで直接的に又は間接的に女性の活躍を阻んできた要因を取り除き、我が国の
最大の潜在力ともいえる女性の力を活かす取組みを加速させることが今こそ求めら
れている。社会の変化の移行期にあることを考慮すると、一度に全てを見直すことは
困難であるかもしれないが、変化する社会を生きる若い世代が、見通しを持って選択
ができるよう、中期的にどのようなことをどのようなスケジュールで見直していくの
かということを提示することも重要であると考える。
以上のような問題意識の下に、平成28年度税制改正・予算編成を控える中、当ワ
ーキンググループとして以下のように現時点でのとりまとめを行う。
1.
税制における女性の多様な働き方への対応について
(1)配偶者控除の改善について ~働きたい女性が働くことを応援し、子育てを行
う若い低所得世帯を支援するために
配偶者控除は、昭和 36 年に所得税において、その後、昭和 41 年度に個人住民税に
おいて導入された。まさに日本的雇用システムが形成されてきた時期に当たり、年功
型賃金や終身雇用を特徴とする正社員を中核として、有期契約労働者や短時間労働者
等の非正規雇用者が補完するという枠組みが構築された。このような背景の下で、正
社員の夫と専業主婦の妻からなる世帯が、夫婦世帯の標準的なモデルとなった。
1990 年代以降、経済のグローバル化等を背景として、我が国の労働市場や産業にも
構造変化が生じ、日本的雇用システムを維持することは困難になっていった。女性の
働き方にも変化が現れ、「共働き世帯」の数が、正社員の夫と専業主婦の妻からなる
世帯の数を上回るようになり、従来の夫婦世帯の標準的なモデルには変容が生じてい
る。また、生産年齢人口が減少していく中、持続可能な経済成長や社会の活力を維持
するには、働きたいという意思のある女性の活躍がこれまで以上に重要である。
こうした社会・経済の構造変化に税制面においても対応していく必要があることは
言うまでもない。配偶者控除については、配偶者の収入が 103 万円を超えると納税者
本人が控除を受けられなくなるため、女性の就労を抑制する原因となっているとの指
摘がある。こうしたいわゆる「103 万円の壁」については、昭和 62 年から配偶者特別
控除の創設によって、配偶者の収入が 103 万円を超えた場合でも世帯の手取り収入が
減少することのない仕組みとなっており、税制上は壁が解消されている。
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しかし、税制上の壁は解消されている一方で、103 万円という基準が心理的な壁と
して影響しているのではないか、企業の配偶者手当の支給基準として援用されている
ため手当の面で壁があるのではないか、といった声がある。パートの収入が 103 万円
を超えることのないようにパート自身が就労時間を調整するといった事例も見受け
られており、単に世帯の手取り収入の逆転現象が生じないような税制上の措置が講じ
られているだけでは必ずしも十分とは言えない。また、パート世帯について、妻(夫)
が基礎控除の適用を受けると同時に、夫(妻)が配偶者控除等の適用を受けている、
いわゆる「二重の控除」の問題も指摘されてきている。
こうしたことを踏まえれば、働きたい女性が働くことを応援し、女性の活躍を促進
するという観点からは、103 万円という基準が生じる現在の配偶者控除を見直す必要
がある。この点、昨年 11 月に政府税制調査会がまとめた「働き方の選択に対して中
立的な税制の構築をはじめとする個人所得課税改革に関する論点整理(第一次レポー
ト)」においては、大きく分けて、①配偶者控除の廃止(A案)、②配偶者控除に代え
て、配偶者の所得の計算において控除しきれなかった基礎控除を納税者本人に移転す
るための仕組み(移転的基礎控除)の導入(B案)、③配偶者控除に代えて、夫婦世
帯に対し配偶者の収入にかかわらず適用される新たな控除(いわゆる夫婦控除)の創
設(C案)、という3つの案が提示された2。
この点、A案については、女性の就労調整の一因とされる配偶者控除を端的に廃止
するものであって、分かり易く、女性活躍の観点からストレートに支持し得るものだ、
財政収支にも相当プラスで子育て支援等の財源にもなるといった意見があった一方、
単なる廃止では、これまでに配偶者控除等の制度を前提に人生設計をしてきた女性を
中心とする方々を十分に説得できるのかとの疑問や、増収分を用いていかなる子育て
支援の充実を図るのかの議論も必要といった意見が呈された。B案については、比較
的見直しの影響額が少なく、二重の控除を解消できる精緻な案と見る意見もあったも
のの、分かりにくく、パート世帯をはじめとする国民に説明がしにくいのではないか、
働き方に対する中立性は必ずしも確保されないのではないかといった懸念もあった。
むしろ、C案について、人口減少社会において、女性活躍と少子化対策をともに達成
するに当たり、これから結婚して夫婦となり家族を作る若い世代を応援する良いメッ
セージである、これにより家庭で子育てしたり地域の活動で活躍する専業主婦にも配
慮しつつ、夫婦ともに働く世帯をサポートすることができる、等と評価する声が多か
った。他方、C案は、具体的な制度の設計次第ではあるが、財政収支上減収となり得
るので、税収中立の下で改正を行うためには経済力のある世帯に負担を求める必要が
生じ得る。この点、子育てを行う若い低所得世帯を支援する観点から、議論を深める
必要がある。
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配偶者控除及び配偶者特別控除を廃止した場合(A案)
、財政収支上、国・地方合わせて 1.1 兆円程
度の増収が生じる。また、移転的基礎控除の導入によっていわゆる「二重の控除」が解消された場合
(B案)、国・地方合わせて 0.2 兆円程度の増収が生じる(平成 27 年度予算ベース)。なお、夫婦世帯
を対象とする新たな控除を創設した場合(C案)には減収が生じ得るが、減収としないためには制度
設計における工夫が必要。
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いずれにせよ、配偶者が就労調整を考えなくても良い仕組みとするために、妻(夫)
が収入 103 万円を超えて働いても夫(妻)の税負担に影響を与えないようにするとと
もに、経済的な理由で結婚に踏み切れない若者がいるという状況も踏まえ、所得の低
い方々や若い方々の負担に十分に配慮しながら、所得税全体の見直しを進める中で丁
寧に検討するべきである。何よりも本件は、国民一人一人の価値観に関わるものであ
ることから、国民的な議論を更にしっかりと深めていく必要がある。
また、女性の就労を促進する観点からは、配偶者控除の見直しだけでなく、併せて、
社会保険に係るいわゆる「130 万円の壁」や「社会保険適用の壁」についての見直し
や、企業の配偶者手当の支給基準に関する見直しも重要であり、特に中小企業の雇用
実態に配慮しながら、これら諸制度の見直しや企業に対する要請を行っていくべきで
ある。別途、国家公務員の配偶者手当の見直しについても、人事院において早急に検
討を進めるべきである。
(2)仕事と家庭の両立の観点からの子育て支援税制について
我が国の女性の労働力率(労働力人口が 15 歳以上人口に占める割合)を年齢階層
別に見ると、結婚・出産に当たる年代に低下し、育児が一段落した時期に再度上昇す
るという、いわゆる「M字カーブ」を描いてきた。最近では、M字カーブが緩やかに
なりつつあるものの、出産や子育て等の理由により、仕事を続けることを希望してい
るにもかかわらず、離職を余儀なくされている女性は依然として多く存在している。
仕事と育児の両立については、本年4月にスタートした子ども・子育て支援新制度
によって、幼児教育・保育・子育て支援の「量的拡充」及び「質の向上」が図られた
ところである。しかし、認可保育所等が開いていない時間帯での勤務や残業、休日の
勤務などをせざるを得ない親もおり、その際に不可欠な保育サービス利用への支援は、
女性活躍の推進に当たって非常に重要である。そこで、こういった支援ニーズに応え
るべく、一定の要件の下で、保育料やベビーシッター代に係る控除3を導入すべきとい
う強い意見があった。一方、所得の低い方々は所得税を払っておらず控除では裨益し
ないこともあり、子育てに焦点を当てるのであれば、むしろ、各種の子育て支援の給
付の拡充や時間外・延長保育を含む認可保育所等における保育などの公的なサービス
を拡充していくべきという意見もあった。
これらの意見も踏まえ、公的なサービスの充実に加えて、上記のような支援ニーズ
を踏まえた税制面での対応や社会保障給付の面での対応について幅広く早急に検討
すべきである。
(3)ひとり親の子育て支援について
配偶者との死別や離婚ののち子供を養育しているなどの世帯に対し、所得税及び住
民税の算出において一定の所得控除が受けられる税制優遇制度として、寡婦控除があ
るが、婚姻歴のない、いわゆるひとり親世帯には適用されない。しかし、近年非婚の
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厚生労働省の試算によれば、ベビーシッターや認可外保育施設の利用料を特定支出控除の対象とした
場合の減税見込額は、約 8~87 億円(粗い試算)
。
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ひとり親世帯が増えていることなど4から、非婚ひとり親世帯が負担する保育所の保育
料等を算出する際に、寡婦控除のみなし適用を行って計算する自治体が増えてきてい
るが、一部のサービスに留まっている。
寡婦控除の理念から、即座に適用拡大することは困難であるが、子育て支援や生活
困窮化解決の観点から、寡婦控除と同等の控除措置をとるべきであるとの意見があっ
た。一方、本件についても、所得の低い方々は所得税を払っておらず、控除では裨益
しないこともあり、児童扶養手当といった給付の拡充で対応すべきではないかとの意
見もあった。いずれにせよ、少子化対策等を講ずる中でひとり親対策に重点を置いて
いく必要があると考えられる。本件についても、税制面での対応や社会保障給付の面
での対応について幅広く検討を行うべきである。
なお、これは決して非婚を推奨するものでなく、婚姻を望んでも果たせなかったひ
とり親が多数であり、寡婦と同様にひとり親での子育てをしていることに鑑みて支援
されるべきである。
2.社会保障制度における多様な働き方への対応について
(1) 問題の背景
我が国の社会保障制度は、正社員やそれに準ずるフルタイム労働者を被用者保険に
加入させる一方、パートタイム労働者については、被用者保険の被扶養者としてカバ
ーすることを念頭に構築されてきた。
この仕組みは、正社員の夫とパートタイム労働の妻のカップル、即ち、職務内容が
無限定な正社員と補助的・定型的業務のパートタイム労働者からなる世帯を前提に考
えれば、合理的な仕組みであり、それ故に今日まで根強く残っているが、今日この構
造が労働側、雇用側双方から変質する中で、見直しの必要性が高まっている。
かつて、パート労働者と言えば、一般に主婦パートや学生アルバイトを思いうかべ
るものであったが、今日では、男性や中高年齢層がパート労働に従事するケースが著
しく増加し、パート労働によって生活を成り立たせている者も増加している。また、
職務内容が無限定の正社員においてワーク・ライフ・バランスが課題となる一方、パ
ートタイム労働においても、かつては正社員が担っていた基幹的業務への進出が進み、
正社員と事実上職務内容が同じパートタイム労働者や、役職に就くパート労働者の数
も増加している。
これまで様々な制約から労働市場で十分に活躍の場を与えられなかった女性や高
齢者等について、それぞれが社会の中で活躍し、自らの力を発揮するとともに、労働
力人口の減少が続く中で社会としても活用していくことのできる環境づくりが求め
4
平成 23 年度の全国母子世帯等調査によれば、離婚 80.8%、非婚 7.8%、死別 7.5%であり、無視出
来ない数にのぼっている。
また、ひとり親世帯の年金就労収入を見ると、母子世帯全体で 181 万円であるのに対し、非婚世帯
は 160 万円と低くなっている。この点、税負担は寡婦控除の適用がない分だけ高いことに加えて、保
育料や公営住宅の利用料が、死別や離別の母子世帯に比べて、寡婦控除の適用がない所得を基準に算
定されることで税負担増を上回る負担増になっていることが指摘されている。
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られる中で、労働時間の長さのみを尺度に被用者保険の適用・不適用を決めている今
の社会保険制度の対応は、見直しが迫られていると考えられる。
(2) 就業調整問題解決の方向性
現行の社会保険制度は、原則、週 30 時間以上労働する者を被用者保険に適用する
とともに、被用者保険の適用を受けない者のうち、年収 130 万円以下で被保険者に扶
養される者を被扶養者としてカバーする仕組みとなっている。
この仕組みのもとで、雇用者側は被用者保険の適用による保険料負担(事業主負担)
を回避するために労働時間を抑え、労働者側は被扶養者の認定基準である 130 万円を
意識して保険料負担(被用者保険の本人負担あるいは国民年金の保険料負担)を回避
するために労働時間を抑えるという、双方の保険料回避行動の結果、いわゆる就業調
整問題が発生していると言われている。
パート労働が、働く側にとっては家計補助的な労働であり、雇う側にとっては補助
的・定型的な労働である限りにおいては、双方にとって不都合はなかったと考えられ
るが、上記のようにパート労働が変質し、家計の中心であったり、正社員と同様の職
務内容となる実態がある中では、労働者に対する保障という意味でも、また、職務に
対して均衡のとれた処遇を図り、時間制約のある労働者の能力を引き出す意味でも、
不都合が生じている。また、それは労働力人口の減少等が見込まれ、労働を供給する
側の制約が強まるにつれ、今後も拡大していくものと考えられる。
このための基本的な解決策は、やはり被用者保険の適用拡大であろう。被用者保険
の適用拡大については、社会保障・税一体改革で一定の要件5を満たした推計 25 万人
を対象に平成 28 年 10 月に実施されることが既に決まっているが、実施状況を踏まえ
てその後3年間のうちに見直しの検討を行うことが附則に規定されており、施行後直
ちにその見直し作業に着手すべきである。
加えて、適用拡大の対象を拡げるだけでは問題解決には十分ではない。即ち、適用
対象を拡げていくとしても、制度的にはどこかで線を引いて適用対象を明確にするこ
とが必要となり、その前後で現在の「130 万円の壁」と同じ問題が起きる懸念を払拭
できないからである。これを防止するためには、雇用側、労働側双方の保険料回避行
動が生じないようにする制度的な工夫の検討が不可欠と考えられる。
社会保障制度の設計には、他制度との整合や実務的な問題、企業経営に与える影響
等、多面にわたる検討が必要となるが、保険料回避行動が生じないという観点に絞っ
て考えると、次のような方向性での検討が必要ではないか。
5
平成 28 年 10 月に施行される被用者保険の短時間労働者への適用拡大の対象者は、①所定労働時間が
週 20 時間以上、②月額賃金 8.8 万円以上(年収 106 万円以上)
、③勤務期間 1 年以上見込み、④学生
でない、⑤従業員(従来の基準で被用者保険の適用対象となる労働者数)501 人以上の企業、の5つの
要件を満たす者である。
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保
険
料
負
担
3/4≒130 万円ライン
①標準報酬下限の引下げ
保険料(事業主負担)
②適用下限以下の雇用へ
の事業主保険料賦課
③被扶養者に対
保険料(本人負担)
する一定の保険
料賦課
賃金
① 労使ともに過重な保険料負担とならないよう標準報酬月額の下限を引き下げることの検討
現在、年金制度における標準報酬月額の下限は、40 時間労働を前提に最低賃金を考
慮して 9.8 万円(平成 28 年 10 月以降は 8.8 万円)に設定されているが、これを、パ
ート労働と最低賃金を考慮した水準に引き下げ、被用者保険の適用によって保険料負
担により急激に手取りが減少することを避けることを検討すべきと考える。
厚生労働省の審議会(社会保障審議会年金部会)の資料では、最低賃金の最も低い
水準で週 20 時間労働をしたとすると、5.8 万円程度となると示されており、これが一
つの目安になり得るとも考えられる。
② 適用下限以下の雇用に対しても、事業主負担を課すことの検討
諸外国の年金制度においては、わずかな収入があればその収入に対して保険料負担
を課することが一般的である。また、一定所得以下の場合、被用者保険の適用を外れ
ることが可能となっているドイツにおいても、事業主負担に関しては、適用を外れた
被用者の分も含めて、企業が支払った賃金全体を対象に賦課されている。このような
仕組みであれば、どのような賃金であっても企業の負担は発生するため、企業は保険
料回避行動が不可能になり、最も効率的に労働力を活用できる雇い方を模索できるこ
ととなる。労働力供給制約の強まる我が国においても、中小企業に配慮しつつ、検討
すべきと考えられる。
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③ 適用下限の保険料水準に接続する形で被扶養者にも一定の保険料負担を求めることの検討
現在でも、雇用者側は社会保険料を負担してでも働いてほしいと考えているのに労
働者側が扶養の範囲内でと言って労働時間をセーブしたり、賃金の引上げに難色を示
すことがあると指摘されている。小さな子どもがいるなどにより条件に合う働き口が
見つからない人への配慮は必要であるが、事業主だけではなく被扶養者にも一定の保
険料負担を求めるようにすれば、労働者側の保険料負担回避行動も無意味になると考
えられる。国民健康保険の保険料は被扶養者がいるとその分均等割の保険料が増える
ようになっていることも考えると、被用者保険においても、適用下限の保険料水準に
接続する形で、被扶養者にも一定の保険料負担を求めることを検討すべきと考えられ
る。
平成 28 年 10 月の被用者保険の適用拡大後の検討に当たっては、上記の方向性も含
めて議論を進めることが適当と考えられる。
加えて、平成 28 年 10 月の適用拡大においては、従業員数 500 人以下の企業の事業
所は一律に適用拡大の対象外となっているため、人手不足感が強い中小企業が、人材
確保のために被用者保険の適用をしようと思ってもできず、人材確保努力を阻害しか
ねないことが指摘されている。この点については、平成 28 年 10 月の施行を待たず早
急に見直すべきである。
8
女性活躍に資する制度検討ワーキンググループ
平成27年7月15日
顧
問
川
馳
猪
崎
二
口
邦
郎
浩*
子
田
義
孝
相
談 役
櫻
座
長
森
事務局長
滝
波
宏
文
事務局次長
穴
見
陽
一
委
小 倉
鬼 木
木 村
白須賀
豊 田
山 田
丸 川
二之湯
將
員
小
池
百合子
石
崎
徹
野
田
聖
子
大
金
島
津
村
野
子
田
島
井
敬太郎
めぐみ
佳 和
淳*
英 樹
長
吉
峯
川
誠
ゆうみ
まさこ
信
誠*
弥 生
貴 樹
真由子*
美 樹*
珠 代*
武 史
大 岡
加 藤
小 林
田野瀬
福 田
敏
鮎
鷹
太
達
大
宮
みずほ
周 司
沼
本
孝*
子
之
道
夫
*10月
9
政務三役に就任