(福祉部会Vol.1)”社会福祉法人制度改革” 省令等改正に向け議論スタート

お知らせ
“社会福祉法人制度改革”
福祉部会 Vol.1
28.04.20
省令等改正に向け議論スタート
~社会保障審議会 福祉部会~
厚生労働省 社会・援護局は、平成 28 年4月 19 日(火)
に「第 16 回社会保障審議会福祉部会」を開催した。この社会
保障審議会は、平成 29 年4月1日施行分の社会福祉法改正に
関する省令・政令等で定める事項に関して、議論を行うもの。
今回提示された論点は、①評議員会の員数に係る経過措置②
会計監査人の設置法人③控除対象財産の算定方法④地域協議
会について。
①評議員会の員数に係る経過措置については、法律上、一
定の事業規模を超えない法人について、施行から3年間、評
議員の数について4人以上とすることとしているが、この事
業規模をどうするか。委員のなかからは、▼収益2、3億円
程度で事務職員が不在の法人もあることなど小規模法人の事務的能力が不十分▼評議員について
は、識見のみならず、信頼できる人であること、競合の法人の関係者ではないことなど、現実的
には対象が非常に限定され、選任が困難であること▼中学校圏域に7つの法人があるような場合、
それぞれの法人で評議員の対象者を選任することが困難であるため、評議員会同士の連携を考え
てはどうかなどの意見があげられた。
②会計監査人の設置法人については、法律において一定規模を超える法人に会計監査人の設置
を義務付けているが、この事業規模をどうするか。
「社会保障審議会福祉部会報告書」においては、
収益 10 億円又は負債 20 億円以上とされているが、具体的な基準はこの福祉部会での議論を踏ま
えて、政令で定めることとなっている。現状、収益 10 億円以上で約 8.0%、負債 20 億円以上を
加えた場合でも約 8.2%となっている。この点、各委員からは、▼保育所には事務員の配置がなく、
事務量が増えるので費用等の手当も考えるべき▼社会福祉法人に会計監査と同水準の監査を求め
ることは負担が大きいことから簡素化が必要▼適切な財務処理をしている、適切な財務諸表の作
成ができることが前提にある。中小規模法人には適切な財務処理、正確な財務諸表作成ができる
ことを目的とした簡便な方法がよいのでは▼会計監査人設置について、民間企業は5億円以上と
なっている。会社法は当然内部統制、コンプライアンスも適用され、投資家はじめ対外的に公開
しなければ信用を得られない。今回の法改正が透明性の向上とガバナンスによってたつものであ
ることを踏まえるべき、といった意見があった。
③控除対象財産については、純資産から 1)社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等 2)
再生産に必要な財産 3)必要な運転資金を控除した額を再投下対象財産としている。この点、1)に
ついては、財産目録上に控除対象財産に該当するか否かのチェックにより、その額を把握するも
のとなる見込みであるが、2)については、
(減価償却累計額×建設単価上昇率)×一般的な自己資
金比率+α(修繕等)が例示されている。減価償却によって、法人内に自己資金が蓄積され、建
替え時期には現在の建物と同等の建替えを行うための資金が留保されるが、一方で現在の建築単
価は従前に比べ上昇していること、建替えの際は、借入金や補助金等があることを踏まえ、上記
のような算式により求める案が示されている。この内容については、高度に専門的な議論となる
ことから、別途「社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会」においても協議を行うこととし
ている。
④地域協議会については、地域公益事業を行う社会福祉充実計画の作成にあたり、
「地域協議会」
等の意見を聴くこととされているが、この地域協議会をどう設定するか。委員からは、▼市区町
村をまたぐ社会福祉法人の場合、法人全体でどう割振りをし、どの地域で再投下するのか具体的
なルールが必要、▼財務諸表をみる限りでは、県単位で地域協議会を設置しておけばよいのでは。
圏域をまたいでいる法人は借金が多く余裕財産はないことから、問題はおきないのではといった
意見があった。福祉部会は平成 28 年6月頃まで開催され、7月以降に所轄庁・法人に対する説明
会等を進める見込みとなっている。本福祉部会審議の状況は以下 URL にて確認できるため、参
照されたい。
福祉部会掲載 URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126700
(担当) 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 社会福祉法人改革対策本部
℡:03-5211-7700 fax:03-5211-7705 MAIL:[email protected]