きっかけ ンクである三 菱UFJリサーチ&コンサル 一 企 業 側としての立 場で初めて仕 事をし 体 等が発 注する調 査やコンサルティング業 てみて、 これまで県 職 員として意 識せずに それまでは教育や福祉分野を主に担当し 務を多く手 掛けています。 また親 会 社であ 民 間 企 業の中に入 って仕 事をする中で、 ティング株式会社名古屋本部です。所属し てきましたが、 県 職 員としてキャリアを重 る三菱東京UFJ銀行をはじめ系列のグル 非 常に多くの刺 激を受けました。 この会 社 済んでいたことが多くあることに気 付かさ ねる中で「役所の常識は社会の非常識」な ープ企 業と連 携して、 同エリアにおける民 会社では研究員の肩書をもらい、出向し と感じました。 仕 事に対するモチベーションが非 常に高い てくるスタイルであるため、 一 人ひとりの 多くの刺激を受けた んて言われることもあり、 一 人の社 会 人と 年目程度 では成果主義が徹底されており、各研究員 〜 間 主 導の大 規 模プロジェクトなどにも取り ありました。 そんな中、県庁には採用 の職員を民間企業に派遣する人事制度があ ることを知りました。 それまで仕 事 上であ ろやヒアリング調査先などに出張する機会が 職 務 環 境についても、日 中は顧 客のとこ への参加などの業務を行いました。その際、 多いため、 持ち出し用パソコンや携 帯 電 話 月頃は営業や企画競争入札 とで、 役 所では経 験できない民 間の感 覚や 役所や民間企業の担当者とのやり取りが多 が全員に支給され、顧客や会社との連 絡調 た当初の 〜 センスを学べるチャ ンスだと思 っ たため、 かったのですが、 こちらの話を最 後まで聞 庁内公募に手を挙げました。 整に円滑に取り組める環境となっています。 状 況に応じて自 宅での業 務も可 能なため、 いてもらえなかったり、 ヒアリングの依 頼 会社の概要 私が出 向させていただいたのはシンクタ とがありました。 また裁 量 労 働 制がとられており、 仕 事の 5 12 や面 会のアポイントを取るにも苦 労するこ 4 8 まり接 点のなかった民 間 企 業に籍を置くこ 民間企業の立場になって気付いたこと して自 分を見つめた際に漠 然とした不 安が ていた政策研究事業本部は、主な顧客が東 【しじ だいすけ】 1979年愛知県一宮市生まれ。 2002年愛知県庁入 庁。総 務部、健 康 福 祉 部、教育委員会の後、民間企業派遣を経て 現職。 れました。 ※2015年4月より振興部に観光局が新設 海北陸エリアの行政機関であり、国や自治 志治 大輔 は自ら営業し、企画書を書いて仕事を取っ 間企業に 年間出向しました。 愛知県産業労働部観光コンベンション課 組んでいます。 1 私は愛知県庁に入って 年目の時に、民 12 民間企業への派遣を 経験して <シリーズ連載:今求められるキャリア開発 第 47 回> 40 可能です。 育 児の両 立に向けて柔 軟に取り組むことも として自宅で業務を行うなど、仕事と家事・ 時 期によっては早めに帰 宅し、 テレワーク いう意 識が社 員 全 体に共 有されていると感 人にとどまらず、 会 社の存 廃に直 結すると ながりかねないため、 一つのトラブルが個 会社の信頼低下や入札参加資格の停止につ 組み込まれています。 そうしたトラブルは 語とは無 縁でしたが、 こうした状 況に直 面 私 自 身、 それまでの県 庁での所 属では英 いることに衝撃を受けました。 を対 象とした主 要プロジェクトが始まって また、多くの自治体で海外市場や国際機関 他にも、会社の拠点は名古屋だけでなく、 し、英語の文献や海外HP、国際電話の対 応などをもがき苦しみながら経 験する機 会 じました。 東 京と大 阪にもオフィスがありますが、 い ずれもテレビ会 議 設 備が完 備された会 議 室 感じる 」 ことができました。 会 社では仕 事 民間企業に身を置くことで「経済を肌で 続き英 語 力 向 上に対するモチベーションを 業 務で英 語に触れる機 会があるため、 引き この点、 県 庁に戻 った現 在の所 属でも、 となりました。 一 方で、 コンプライアンスは徹 底されて の受 注 具 合や発 注 元の発 注 単 価などから、 保つことができています。 人 間、 必 要に迫 民間企業での経験で学んだこと います。 例えばパソコンの情 報セキュリテ その時々の経済・景気の動向を肌感覚とし られると嫌でも勉 強するものだし、 それな が多数あり、各拠点間の情報共有や連携を ィや著作権侵害を未然に防ぐため、日常業 て実感しました。自治体側でも産業振興部 促す環境が用意されています。 務の中にそれらをチェ ックするシステムが りに慣れていくものですね(笑)。 また、会社の他の研究員との普段の会話 受ける一 方で、 公 務 員として痛 感したこと 会 社での業 務を通じてたくさんの刺 激を 行政が見習うべきと思ったこと 局を中心に、地域経済の動向をウォッチし ていますが、当事者の立場で感じる貴重な の中でも、売上や決算に関する言葉に接す もありました。 機会でした。 る機会があり、社会人として最低限の会計 際交流など一部の部署に限った話だと思っ それまでは、 県 庁における海 外の事 柄は国 「 海 外への意 識 」 も大きく変わりました。 面する機会となりました。 が始まっており、 その必 要 性にいち早く直 式会計の概念を導入した新しい公会計制度 行 政においても、 いくつかの自 治 体では複 る接し方も、民間企業の方は顧客に対する ろがありました。 また職 員の来 訪 者に対す 室の一 角のオープンスペースしかないとこ ることが多い一方で、一部の役所では執務 民 間 企 業では応 接スペースが完 備されてい する対 応に差があることに気 付きました。 と多くの民間企業を比べると、来訪者に対 ず民間企業を訪問しましたが、一部の役所 会社の出張で、役所だけでなく大小問わ ていました。それが、会社での業務を通じて、 丁 寧な対 応・ 振る舞いを心がけていると感 の知 識は必 要だと痛 感しました。 この点、 産業振興や環境エネルギー、観光・コンベ じることがありました。 許認可などの業務を有する役所と民間企 ンションなど多くの仕 事で海 外の動 向を注 視しなければならないことを認 識しました。 Vo l . 12 1 41 業とでは仕 事 内 容が異なるため、 一 概には 比 較できないと思います。 ただ、 行 政は権 限を有するなど社会的に影響力があるため、 来 庁 者は対 応する職 員のしぐさや振る舞い をよく見ているし、印象に残ります。 役 所は「 サービス業 」 と言われたりしま すが、 こうした点は自 分 自 身これまであま 務めるクラスの方 々など、 県 庁での自 分の 方々や、国や自治体の有識者会議で座長を テレビへ 頻 繁 に 出 演 するエコノミストの トワークを築くことができました。 新 聞や ープ企 業や様 々な顧 客など多くの人 的ネッ が、 その間に研 究 員の方 々をはじめ、 グル 事 交 流 」 が始まっていることを身 近で感じ 世話になっています)。いわゆる「官民の人 私が県 庁に戻 ってからも公 私にわたってお またま私の派遣先の企業出身であったため、 間企業出身の方がおります(この方は、た 調 整を担う部 署にも公 募により選ばれた民 業 出 身の方がおりますし、 また政 策の総 合 今後、行政の課題が複雑化・多様化する 立 場では話すらできないような人たちと一 また、 一 緒に仕 事をする中で、「 この人 中、 こうしたケースは増えていくものと思 ています。 はすごい」「こういう人になりたい」と思え われ、官民の人事交流を通じて、組織が活 緒に仕事をさせていただきました。 る人に出 会うこともありました。 行 政・ 民 性化していけばいいと思います。 今後のキャリア形成に向けて 間の立場に関係なく一人の社会人としてす ごいと感じましたし、 そういう人は顧 客で ある役所をはじめ、他の様々な業界関係者 業をはじめ、 この地 域の様 々な立 場の方か 自分自身も役所の中だけでなく、民間企 でなく、 官 民が一 体となって課 題に取り組 目白押しです。そのため、今後は行政だけ リニア開 業に向けて大きなプロジェクトが 愛 知 県・ 名 古 屋 市では、2027年の ら信 頼される職 員になっていきたいと思い んでいく必要があると感じています。 からも一目置かれている存在でした。 ます。 そうした中、 この地 域 全 体が一つにまと に派遣された形ですが、最近では民間企業 今回の私のケースは、役所から民間企業 クホルダーを総 合 調 整していける役 割を担 した経 験や人 脈を活かして、 多くのステー アビジョンとして、 今 回の民 間 企 業に出 向 まって進んでいくために、 私 自 身のキャリ 出 身 者が行 政の主 要なポストにつくケース っていきたいと思っています。 民間企業から役所に入るケースも も増えてきています。 自分自身、 年後に振り返った時に、 「民 間企業に出向した 私の派遣先でも、前述のように公共政策 を扱う業種であるため、既に中央官庁に出 グポイントになった 」 と思えるよう、 今 回 り意 識してこなかった点であり、 一 人の社 会 人として普 段から心がけていかなければ 向している事 例があり、 また自 治 体に対し の貴 重な経 験を活かして、 今 後のキャリア 年間が自分のターニン と改めて感じました。 ても部 分 的に同 様のことが行われつつあり 愛知県庁でも、現在の副知事には民間企 を積み重ねていきたいと思います。 20 ます。 年間でした 民間人で尊敬できる人に出会う 会社に出向していた期間は 1 1 42
© Copyright 2025 ExpyDoc