奥行きが知覚できる立体視画像の生成と処理 Stereoscopic image generation and processing （工学研究院・先端情報科学部門）安部文子 清水郁子* *連絡先 １．はじめに 近年，3D映画が大ヒットしたり，3D テレビや3Dゲーム機などが数多く発売 されたりして，奥行きを知覚することが できる3次元ディスプレイを備えた機器 が身近になってきました．3次元ディスプ レイに提示する画像は， 「立体視画像」と 呼ばれています．本稿では，立体視画像 の生成と処理について，我々が行ってい る研究を紹介します． E-mail: [email protected] 置の差のことを視差といいますが，視差 は対象の奥行きに反比例します． 立体視画像は左右の目に提示するため の 2 枚の画像の組なので，ステレオカメ ラと呼ばれる特殊なカメラを使って得る ことが出来ますが，我々は，特殊な機材 を使わず，普通のカメラで撮った画像か ら立体視画像を生成する技術，立体視画 像の編集のための処理をする技術を開発 しています（図２）． ２．立体視画像の生成と処理 人間は2つの目を持っていて，普段あま り意識しませんが，左右の目に映る像は 微妙に異なっています．実は，左右の目 に映る像の違いは，対象の奥行き（目か らの距離）に依存します．3次元ディスプ レイなどでは，1枚の画像の中に写ってい る物体それぞれの奥行きに応じて，左右 の目に映る位置を変えて提示することで， 物体の奥行きを知覚させています．左右 の目に提示するための2枚の画像の組を 立体視画像と呼びます． 図２ 図１ 左右の目の立体視 左右の目に映る画像の差は，対象の奥 行きによってどのように異なるのでしょ うか？図１のように，左右の目を上から 見た断面を考えると，遠くのものほど右 目と左目で投影される位置が異なること がわかります．左右の目に投影される位 立体視画像の生成と処理 立体視画像の生成や処理において重要 なのは，画像のどこにどのような物体が あるのかを認識することです．我々は， 立体視画像の生成や処理のもとになる立 体視画像の認識手法についても研究して います（図３）． 図３ 立体視画像の認識のための領域分割
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