県中地区医療福祉関連教育施設連絡協議会

「県中地区医療福祉関連教育施設連絡協議会」の準備会報告について
一般社団法人福島県看護学校協議会
12月1日、福島県の県中地区にある医療・福祉系の大学・専門学校、10校の関係者
が集って「県中地区医療福祉関連教育施設連絡協議会」の準備会を開いた。
福島県には看護学校20校加盟する「一般社団法人福島県看護学校協議会」があり、そ
れぞれの学校によって教育課程等、立場が違う中、看護学校同士が連携を取り、看護教育
向上のため、様々な事業を行っている。今回はその看護学校のみの枠組みを超えた、新た
な連携の形を模索するため、初会合を持った。
「看護学校協議会」は違う立場の他学校を知ることにより得たものを自分の学校にフィ
ードバックし、より有意義なものに転換し、学校運営に役立てることが、大きなメリット
の一つになっているが、今回の看護系の学校に留まらない連携も、看護学校は他業種の教
育機関から、他業種の学校は看護教育機関から、
「他業種の教育現場」を学び、双方に新た
なメリットをもたらすことが期待できる。
このような学校運営におけるメリットの他に、教員個人の教授スキルの向上、学校の教
育水準の向上、地域の様々な養成機関連携による地域全体の教育水準の維持・向上、その
地域の学生確保、基礎教育から地域医療を担う人材の育成、地域医療の保全、活性化まで
繋がっていく多様な可能性を秘めている。東日本大震災や原発事故の影響を少なからず受
けている本県では、県外からの受験生は減っている。当然、一度県外に流出した学生の U
ターン、県外で基礎教育を受けた学生の県内への就職も多くは望めない現状もある。本県
に限らず、他県においても18歳人口が減少し続けている今、地域の医療人材の育成、確
保は多くの地域での課題である。また近年、医療系の総合大学では職種間で連携・協働す
る能力を学生時代から養うため、学部を横断し、チーム医療教育を行っており、学生にと
って魅力になっている。この現状において、看護師めざす学生の確保という私たちの立場
に限ってみても、看護学校同士の連携のみでは、事足りない時代が迫ってきている。地域
の多職種の医療、福祉人材の養成機関が一体となって、地域の教育を支え、水準向上を図
り、その地域の学生にとって魅力的な医療・福祉教育地域にしていくことが求められてい
る。学生にまずは自分の地域の医療、福祉の学校に目を向けてもらい、その中から、看護
学校に多くの目を向けてもらえるようにしたい。看護学校に入学してからも地域の中で、
先述した大学の様なチーム医療教育ができれば、学生にとって大きな魅力になるともに、
看護基礎教育の時からチーム医療を経験でき、大きな財産となる。
この日は、本県の保健福祉部医療人材対策室の責任者もオブザーバーとして同席した。
「この地区のいずれかの学校に入学すれば様々な医療関係職種のことが学べるという仕組
みは全国的にも PR できる。入学希望者の増加、ひいては医療人材の確保に繋がるのでは
ないか」という意見があった。県の関係者にとっても医療人材の確保は直近の課題であり、
今回の新たな枠組みでの私たちの活動に対して期待を頂いたと自負する。
準備会に参加した学校の構成は次の通りである。
薬学部の大学(薬剤師)
、工学部の大学(臨床工学技士)
、家政学部の大学(管理栄養士、
介護福祉士、社会福祉士)
、理学療法士、作業療法士、介護福祉士養成の専門学校、言語聴
覚士、救急救命士、臨床工学技士、介護福祉士、看護師養成の専門学校、介護福祉士養成
の専門学校2つ、看護学校3つの計10校。他職種の養成機関に看護学校から声をかけた
理由は、看護師を養成している数が他の職種のくらべて多いこと。多くの学生を抱えてい
る看護学校が主となり、他の医療、福祉職の養成にあたっている教育機関にご協力を頂く
のが、新たな枠組みを作るのには近道になる。この日は一案として、各学校の学生が集ま
り、病院に寝泊まりしながらお互いの専門性を理解し合う合宿形式のワークショップ、教
職員同士が教育内容について情報交換し合うワークショップの開催などを提示した。今後
も、この10校で活動内容等を協議検討し、有意義な活動単位となるようにしたい。